冬季キャンプ

ここ何年か、ずっと冬になるとキャンプに行っています。もともと人が多いところが嫌いなため、気温が下がり始めてから行くキャンプは性に合っています。

今回も千葉のキャンプ場に行ってきました。平日だったこともあり貸し切りです。

夜間の冷えが厳しくテントには霜が降りましたが、ひとりで焚火の火を見つめる贅沢な時間を楽しんできました。

料理が終わると、あとは焚火を眺めるだけ
霜の降りたテントに落書き

デスクトップPCのアップグレード

5年半ほど前に初代Core i3からRyzen 5 3600へとアップグレードした我が家のPCを、再度アップグレードしました。CPUの換装です。 wakimiunten.hatenablog.com

前回のアップグレードでは筐体を残してDELL製のマザーボードをASROCK製に変更するという大掛かりなものでした。なにしろ使っていたDELLのPCが古かったため爆発的な性能向上を果たしたことを今でも覚えています。

さて、

「もう10年くらいハードの変更はしたくない」

などと言っていたのですが、今回Ryzen 5 3600からRyzen 7 5700Gへとアップグレードしました。理由となった動機はいくつかあります。

  1. C++言語で書いたプログラムが大きくなり、ビルドにほんのちょっと時間がかかるようになった。
  2. 起動時の待ち時間の長さにずっと引っかかっていた。
  3. 夏場のファンがうるさい。

ひとつひとつは大した問題ではないのですが、3つセットになるとだいぶ気分が悪くなります。特に2.ですが、ネットで検索してもこんなことを言っているのは私くらいです。なぜかというと、これは解決済みの問題だからです。Zen 2アーキテクチャがリリースされたころまでAMDのプロセッサはBISTの時間が長いことで不評を買っていました。その後AMDはアップデートファームウェアを提供し続け、ユーザーから文句が出ない程度までこの時間を短縮しました。

私もそれらのBIOSを試してみたのですが、そのたびにBSODを食らって閉口したという経緯があります。多分CPUがハズレ個体だったのでしょう。 wakimiunten.hatenablog.com

CPU換装

と言うわけでRyzen 7 5700Gに思い切って換装しました。

5年半の間お疲れ様

古い革袋に新しい酒

偶然ですがどちらのCPUもデートコードが第21週です。

今回の換装ではCPUクーラーも変更しました。Ryzen 5 3600についていたAMD純正のクーラーを、Thermalright製のものに変更しています。ヒートパイプ付きのクーラーはこれが初めてです。

fTPMのトラブル

換装後、fTPMのトラブルに悩まされました。もともと私のボードには別売りのTPMを付けていました。一方で最近のBIOSを使うとAMD CPU内蔵のfTPM機能を使うことができ、今はこちらが主流です。ところが、デバイス・マネージャで見るとfTPMのドライバが正常動作しておらず、そのためWindows Helloによる指紋認証等が使えません。BIOSの設定を変更してハードウェアTPMを使うようにしても、リブートすると設定がfTPMに戻る始末。

進退窮まってハードウェアTPMを抜いたところ、ようやく正常動作しました。多分、ハードウェアTPMを挿した状態でのテストをしていないのでしょう。

換装後の使い心地

使い心地ですが、当たり前のようにちゃんと動いています。起動時のBISTの時間は大幅に短縮されました。また、ファン音も静かになりました。今回GPU内蔵CPUということで、GPUボードを取り去ったため筐体内熱源がだいぶ減っています。夏場の騒音が軽減されることを期待しています。

ビルド時間については時間が45秒から35秒に短縮されました。体感できるほどではないですが、精神衛生上非常にいいです。

と言うことで、ソケットAM5へのアップグレードを見送り、しばらくはソケットAM4で行くことになりました。あと5年くらいこれで使えるといいなと思っています。

眼鏡を新調した

昨年会社を辞めて引退したため、生活形態が変わりました。それに伴い、メガネを新調しました。実際には、以前使っていたレンズの交換になります。

メガネ これまで 今後
A 近-近 : 読書、モバイルPC 遠- 近 近重視:日常用
B 単焦点 近: デスクトップPC 続投
C 遠- 近 遠重視:運転用 続投
D 単焦点 遠 :散歩 実質引退

変えたのはAですね。読書から散歩まで幅広く使えます。

今後はAとBを主に使って、バイクの運転時にはこれまで通りCを使うことになります。以前は合掌可能な視野の広い単焦点レンズを好んでいたのですが、老いて調整が効かなくなったためこんな感じになりました。Dはずいぶん前にバイク運転用に買ったのですが、この眼鏡ではとうとうガソリンの残量すら読めなくなったためCを作ったといういきさつがあります。

鳥展を観てきた

国立科学博物館の『鳥』展を見てきました。

toriten.exhn.jp

600点以上の剥製が展示されることが目玉ですが、いざ行ってみるとポスターにある通り「ゲノム解析」がかなり前面に押し出されています。ゲノム解析による分類の影響は甚大で、『目』のレベルで大幅変更された事例などがわかり易く解説されています。

剥製はいずれも美しく、当日用意していたのに持っていくのを忘れたPentaxのパピリオ双眼鏡があればどれほど堪能できたことかとまだ唇を噛んでいます。年が明けたらまた行こうかな。

映画『侍タイムスリッパー』

映画『侍タイムスリッパー』を劇場で観てきました。大変すばらしい映画でした。

既にメディアで大々的に報じられていますが、この作品は自主製作映画であり当初は単館上映でした。それが口コミで評判になりあれよあれよという間に全国規模の上映になりました。上映9週目でついにランキングのトップ10入り。興行成績は4億円を突破。まだまだ伸びる勢いです。

さて、私は映画館に足を運ぶときにはほとんど邦画の実写映画を観ません。『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』を除くと最後に見たのは数年前に4Kリバイバル上映されていた『七人の侍』だった気がします。その前はというと…30年以上前に渋谷で「最後のフィルム上映」と称して上映された『七人の侍』だった気が。日本を舞台にした映画だとスコセッシの『沈黙』を映画館で見ましたが、あれは邦画に数えていいのかな。

これほど邦画を見ない理由は、言ってみれば日本映画を信用していなかったからです。若いころに劇場で観た『さよならジュピター』にほとほと嫌気がさしたことをずっと引きずっていたとも言えます。無論『さよならジュピター』を日本映画の物差しとするのは間違っていますし、それ以降評価の高い映画はたくさんリリースされています*1。それにひどい洋画もたくさんリリースされていますし観てもいます(『マッシブタレント』はひどかった。今年だと『フォールガイ』『エイリアン ロムルス』)。そう考えると、食わず嫌いが長すぎたのでしょう。

さて、『侍タイムスリッパー』を観たからには一言書かねばなりません。

邦画を舐めていました。ごめんなさい。

この映画はきわめて良質な『時代劇』であり、かつ、きわめて良質な『映画を撮影する人たち』のドラマでした。自主製作映画であるという言い訳が寸分も感じられない点も好感触です。

侍が現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてくる。そう聞いて最初に考えるのはコメディです。実際、この作品では140年前の侍である高坂新左衛門(こうさかしんざえもん)と現代社会との間で起きる摩擦はコメディとして描かれていて、特に前半においては重要な部分です。しかし、この映画ではコメディが過度なものにならないよう非常に丁寧に脚本が書かれています。特に光るのは前半で高坂新左衛門の受け入れ先となった寺の和尚夫婦です。この二人の醸し出すべたべたの関西ホームドラマの空気は、高坂新左衛門が心に抱えて口にできない問題を「まぁまぁ。なんや知らんけどええがな、ええがな」と笑い飛ばしてしまいます。また、後半で登場する映画監督は侍だけにしかわからない問題と現代のギャップを監督自身が狂言回しとなることで観客の笑いを引き受けています。こういった受け皿を周囲に配置することで、「侍が現代に来た」というコミカルな設定が過度に高坂新左衛門を笑い者にしない点は見事でした。

主人公の高坂新左衛門は剣の腕こそたつものの、長男でないため家督を継がない下級武士です。まっすぐな正義感と弱いものを守る良心はあるものの政治については深く理解しておらず、『斬れ』という藩命を疑うことなく、それで世の中が良くなると信じています。その彼が暗殺の途中に現代にタイムスリップしてしまいます。世の中をよくする仕事の途中で違う世界に放り出された彼は、なんとか新しい世界になじみますが、それで侍であることを忘れられるわけではありません。その彼が、ショートケーキを食べて泣くシーンが前半の見どころの一つです。自分が食べているおいしいケーキは高級品ではなく下々の者に至るまで街のケーキ屋で買えると聞いた彼は

「日本(ひのもと)は良い国になった」

と涙を流します。やがて彼は師匠について斬られ役として映画撮影所での職を得ます。そして刀を竹光に持ち替え、髷(まげ)をほどいて髪を短くし、草鞋(わらじ)をスニーカーに履き替えます。

ところが、後半流れが変わってきます。斬られ役の演技が大俳優の目に留まり新作時代劇の敵役に抜擢される高坂。もろもろの問題を乗り越えて良い雰囲気で迎えた前半の慰労パーティーで、彼は自分が過去に遺してきた会津藩がどうなったか知ってしまいます。もはや彼は単純に「日本(ひのもと)は良い国になった」と喜ぶことはできません。ということは、彼の仕事も中途半端のままということです。

現代人に明かせない自分の素性。そして終わっていない自分の仕事。それらと向かうために最後の殺陣に挑む、というのがクライマックスのシーンです。このシーンが本当に良いのです。撮影現場からカメラが切り替わって向き合う二人の侍になります。そこで音がうるさいのです。撮影機材の音が画面に紛れ込んでいるのです。そして「ああ、うるさいな」と思う頃にその音がすっと途切れるのが、憎たらしいほど緊張感を盛り上げてくれました。

『侍タイムスリッパー』は何気ないシーンから重要なシーンまで非常に気を配った見事な脚本*2と撮影技術に支えられた名作と呼べる映画でした。特にチャンバラが好きな人ならば、あの緊張感をぜひ劇場で味わってほしいものです。

*1:そもそも『さよならジュピター』は日本「特撮」映画の物差しと考えるべきだった

*2:どのシーンも映画撮影所で撮影された上質の時代劇なのですが、途中、天守閣を背景にしたあからさまな合成のシーンがあります。ここも事前にグリーンバックの撮影シーンを見せることで、観客を映画作りに引き込むという憎い演出でした。

西富士から見る紫金山・アトラス彗星

10月14日に、富士宮で単車キャンプをしてきました。当然、狙いは紫金山・アトラス彗星です。

不安定な天気が続きましたが幸い当日は晴天に恵まれ、肉眼での観望もかないました。で、Pentax K-5でパチリ。

紫金山・アトラス彗星 Pentax K-5

いやぁ、久しぶりにK-5を夜空に向けたので、蓋をして差分用の写真を撮るのを忘れまして。どれが星でどれがイメージャーの欠陥かわからない始末です。とはいえ、肉眼よりもくっきりと撮影することができて満足です。

『ハニワと土偶の近代』

東京国立近代美術館で企画展『ハニワと土偶の近代』を見てきました。

タイトルだけで見に行ったので現地についてびっくり。私が考えていたよりもはるかに素晴らしい企画展でした。当初「ハニワの展示」くらいにしか思っていなかったのですが、実際のハニワはほとんどありません。というか、あったのかな?企画展が主眼に置くのは「日本人はハニワをどう見てきたか」という視点の歴史です。

その中で特に印象に残ったのは明治後期から太平洋戦争までの時期におけるハニワの役割の変遷です。当初「万世一系の天皇家というイメージを固めるための宮内庁による陵墓発掘調査」の過程で出てくる副葬品であったのが、あれよあれよという間に対内的にも対外的にも日本のイメージシンボルとなっていく姿が丁寧に解説されています。

特に、「ハニワの姿から神代を描いた絵画へのフィードバック」により、神代のイメージが固まり、次に各界がハニワの簡略化した目を諸民族とは異なる「日本人を表す象徴」へと祭り上げられていく様は息をのむようでした。当時の出版物で非常に広くハニワが日本的なものの象徴として扱われたことを示す資料が多数展示されているのも圧巻です。

さて、我々は今ハニワを日本人的な象徴とは思っていませんが、当然それは戦後の言論界の急激な方向転換があります。企画展はこの方向転換に関してもなかなか辛辣で、戦後の資料を引きながら、そこに戦前盛んにもてはやされた日本人的な象徴という立場が削られていることを指摘しています。

ハニワが対外的には日本国が長い歴史を持つことの証拠として示され、対内的には日本人が他国と違う民族であることの証拠として用いられた、というのはこの企画展で初めてしました。

昨年上野の森美術館で開催された特別展『「恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造」』もそうですが、対象ではなく対象への視点の変遷を展示し解説するのは大変な労力であり、研究と展示を行ったスタッフには頭が下がります*1。

満足度の高い企画展でした。

*1:恐竜図鑑の特別展も今回のハニワの企画展も、あまりの満足度にうっかり展示物のカタログを購入してしまいました。詳しい解説が収められているのでお得です

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