黙然日記(廃墟)

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阿比留氏、墓穴を掘る。

 3/17分です。

【視線】慰安婦募集の「実行犯」 “強圧と甘言”駆使したのは誰か 政治部編集委員・阿比留瑠比(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140317/plc14031709140007-n1.htm

 いやぁ、笑ったわらった。《日本は「性奴隷の国」という言われなき汚名を着せられることになった》という謎な言葉がいきなり出てくるのですが、なんでしょう。汚名を言われないなら結構なことです。「謂われなき汚名」なら意味は通じますが(謂われ=由来)、内容が間違っています。従軍慰安婦制度が性奴隷制度そのものであり、日本軍が自ら慰安所を作るなどして制度の維持管理に関わったことは、はっきりしています。「天皇制ファシズムの国(であった)」という、否定しようのない汚名が永遠につきまとうことに較べたら、「性奴隷制度の国(であった)」と言われることは、相対的にたいした問題ではありません。問題が1+1で増えるというだけであって、0+1というわけではありません。汚名は返上できます(産経では挽回するもののようですが)。過去を認めた上で真摯に反省し、今後は自らはもちろん、世界からファシズムも性奴隷も永久に追放するための努力を続けると誓えばいいのです。それはたやすくはありませんが、あたりまえの道です。
 で、本題ですが、これがもう。阿比留氏のお笑いの才能については知る人ぞ知るところですが、今回はそれが炸裂したと言っていいでしょう。従軍慰安婦募集にあたって「官憲の直接加担」「強圧」があったことは明確にされていますが、それをしたのは誰か。末端の警察官や村の職員は朝鮮人だから、やったのは朝鮮人だ(日本政府は悪くない)、というのです。……これが笑わずにいられるでしょうか。朝鮮人も慰安婦募集の共犯(「共同正犯」と言うべきですが、この言葉を知らないのでしょうか)、実行犯なのだ、というのですが、実行犯の追及だけですむなら拉致問題はとっくに解決しています。トップの責任が問題なのです。阿比留氏はここで、秦郁彦氏を引用などしてもっともらしく見せかけていますが、秦氏も「実行犯が朝鮮人だから日本政府に責任はない」なんてことは言っていないと思います(いくらなんでもそこまでひどくない……と思いますが)。そもそも、《朝鮮人》とはなんでしょうか。「○○人」という言い方は非常に曖昧なので、概念を切り分ける必要があります。大日本帝国の国民(臣民)であるところの朝鮮民族をここでは《朝鮮人》と呼んでいますが、ある意味で当時、「朝鮮人(韓国人)」は存在しません。大韓帝国の滅亡後、大韓民国および朝鮮民主主義人民共和国建国前だからです。朝鮮民族といえど日本国民なのですから、従軍慰安婦の強制募集をしたのは日本人ということになります。また前述の、トップの責任について、阿比留氏はどう考えているのでしょうか。石原信雄氏の「現場にいたのは朝鮮人」という発言だけ取り上げて悦に入っていますが、そのあとの「監督責任は朝鮮総督府にある」という部分については、どう考えているのでしょうか。ていうか、わざわざここまで引用して墓穴を掘っているところが理解できないんですが。やっぱり、笑かそうとしてやっているとしか思えません。