俺の妹がこんなに可愛いわけがない:伏見つかさ
さてネタバレしまくりますが。帯のところの乃木坂さんを見れば察しうると思うけれど、要するに「俺の妹がオタクだった」という話でありんす。『乃木坂春香の秘密』ほどファンタジーではなく、『AURA』みたいにメタと極端に突っ走ってもおらず、『生徒会シリーズ』のように濃厚なパロディで笑いを取りにいくわけでもない、かなりリアル度の高いオタクコメディ。主人公は、オタクを蔑視するような「わざとらしい一般人」ではなく、オタクなんてまったく眼中にない「本当の一般人」であり、その冷めた視線が作品にリアリティを与えている。というか実際のところ、作品のメインは「隠れオタクだった妹」よりも「妹を助けるために奮闘する兄」なのだ。物語終盤の主人公は異常なほどのかっこよさを誇っている。
しかし、主人公が「本物の妹がいると仮想の妹に萌えられない」って考えているのはダメダメだぜ。つか、そんなこと言ったら何も楽しめねーだろ。仮想のクラスメイトが出てくるたびに本物のクラスメイトを想像するのか、仮想の先輩が出てくるたびに本物の先輩を想像するのか、仮想の女教師が出てくるたびに本物の女教師を想像するのか。三次と二次を混同するんじゃねぇ。画面の中の主人公は俺じゃないし、画面の中の妹は「本物の妹」じゃねぇんだよ。そこんところをわかってもらわないと困る。いや困らないけど。
というわけで、仮想の妹じゃ萎えちゃう主人公には、むしろ本物の妹に手を出してもらいたかった。この設定で近親ネタが入ると萌えるんだけどなぁ…。