「クラブミュージックの代表的なジャンルと曲 」に逐一ツッコむ
元記事は
http://mudainodqnment.blog35.fc2.com/blog-entry-840.html
いやホント大人気無いのは分かってます。でもやらずには居られない!結構間違いとかも含まれてるし、記事に書いてあることをそのまま真に受けた子が馬鹿にされてしまうのを見るのはどうにも忍びない!ブコメなどでも嘆いておられる方がいらっしゃるようなので、自分が人柱になってみます。
自分の知識も中途半端なので、突っ込みとかはもうバリバリ受け付けます。叩いて叩いて本当に使えるまとめにしましょう。
ディスコ《名前の通りディスコサウンド》
ズコー!言うに事欠いてコレかよ・・・マイコー・ジャクソンもアース・ウィンド・アンド・ファイアーも居るのに・・・
ディスコって一言で言ったって、ファンクもイタロもコズミックも、下に挙がってるガラージもすべて内包するわけだし、ここからハイエナジーが生まれてそのままユーロビートに派生する流れだってある。ディスコだけでこういうまとめが一個作れるくらい膨大なアーカイブがあるよ。
シカゴハウス《ウェアハウスというゲイの集まるクラブで掛かっていた電子音楽やディスコ音楽》
選曲はコレでもいいでしょう、が「ウェアハウスというゲイの集まるクラブで掛かっていた電子音楽やディスコ音楽」は語弊がありすぎるだろ!ゲイディスコってむしろディープハウスの事じゃないか?
ハウスの成り立ちについて深く知りたい方は、まずフランキー・ナックルズでググると良いです。
ガラージ
えーロイ・エアーズ?ガラージじゃないとは言わないけど、ロイ・エアーズは結構ひねくれた曲作るからなあ。ジョセリン・ブラウンとかチャカ・カーンとかもっとふさわしいアーティストがいるっしょ?というわけで
これを推しときます。
デトロイト・テクノ《テクノ発祥の地デトロイトのテクノの総称、ここからハウスなどの音楽に派生した。なんとなく宇宙っぽい曲が多い》
これは妥当か。個人的にはHi-tech Jazzの方がよりデトロイトテクノらしいと思うが、知名度はこっちが上だしね。しかし「ここからハウスなどの音楽に派生した」は嘘もいいとこだ。発生はハウスの方が先。
アシッドハウス《LSDの幻覚作用を思わせる幻想的なサウンド》
まあ日本人にはハードフロアが一番有名なアシッドだろうしね。補足するなら、アシッドハウスの全盛期は86〜88年代のハウス黎明期のころ。ハードフロアがヒットしていたのは92年くらいで、スヴェン・ヴァスやポール・ヴァン・ダイクのようなLove Parade直系のレイビートランスの流れで出てきた人達なので、純然たるシカゴアシッドの流れとはまた違うアシッドということ。本流を示すなら、やっぱり
これでしょう。
ハードテクノ《ハード目なテクノ》
確かにこれは名曲だけど。
って言うか、テクノは流行り廃りが激しいジャンルなので、1曲で変遷を示すのはかなり無理がある。
ハードミニマル《ミニマルテクノ(下記参照)をハード目にしたテクノ》
95〜04年くらいまで流行ってたミニマルは大体これに属するのかな。ミニマルをハード目にした、っていうのはなんか違うなあ。ミニマル=地味っていう印象があるけど、ミニマルは元々ハードな音楽だよ。一時期行き着くところまでハードになって、そこから地味になっていったという方が正しい。
選曲は的確だと思います。
ハードハウス《シカゴ・ハウスを中心としたこれまでの物よりもテンポが速く(130bpm以上)、トライバルなベーストラックとシンセサイザーを多用したメロディラインが主な特徴》
DJミーシャはテクノの人だから、ハードハウスで括られると違和感がある。ジュニア・ヴァスケスとかUSハードハウスの人挙げた方が分かりやすくていいんじゃない?
■Britney Spears/Circus (Junior Vasquez Electric Circus Mix)
ダッチハウス《デトロイトテクノのエモーショナルな部分をオランダ人のフィルターに通して再構築したハウス》
ダッチ・ハウス・・・まあトランスっぽい派手めなハウスが一時期こう呼ばれていたように記憶してますが。しかしここでGive It Up出てくんの?どうせなら別名義のJark Prongoの曲を挙げた方が良くない?というわけでロケットベース
ビッグビート《ロックとテクノの融合》
まあケミブラの2枚目のアルバム(ディグ・ユア・オウン・ホール)は確かにビッグビートっぽかったけど、ファットボーイ・スリムの方が明らかにこのジャンルの代表格でしょう。チェミカルはもっと器用にいろんなタイプの曲を作るからね。
■Fatboy Slim/Rockafeller Skank
ディープハウス《割とシンプルで緩やかな構成。ジャズやシカゴハウス(ガラージュ)から影響を受けている。》
なぜここでベン・ワットなんだよ!好きだけどさ!普通はマスターズ・アット・ワークとかブレイズとかケリー・チャンドラーとかを挙げるんじゃないのか。
■Kerri Chandler/Atmospheric Beats
プログレッシブハウス《グルーヴ感やダブ感を強調》
あー確かに今のプロッグの代表はデッドマウスでいい。ただプログレッシブハウスもテクノに負けず劣らず変遷が激しいジャンルなんで、時期によって雰囲気がぜんぜん違うんだよね。初期の頃のプログレッシブハウスは
■Satoshi Tomiie/Love in Traffic (John Creamer Mix)
こういう感じだった。John Digweedとか聴けば分かるか。「グルーヴ感やダブ感を強調」は本質を突いてると思う。
ラテンハウス《ラテンっぽいカンジ》
これは文句無いです。
フレンチハウス《フィルターのかかったボーカル等。ポップなものが多い》
これもOKでしょう。素直にダフト・パンク出してもいいと思うけどね。
クリック・ハウス
クリックハウス=アクフェンのシグネチャーサウンドなのでOK。
テックハウス
う、まあ外してはいないが。選曲が渋すぎる。スレにBuzzin' Fly好きが居たのか。
ミニマルテクノ
ベーチャンはミニマルからは切り分けていいと思う。確かに音としては親和性は高いんだけど、進化の過程はミニマルとは全然別の流れ。ダブ・テクノって言ってベーチャンで通じると思う。
あとAmeのRejは、どっちかって言うとテクノとハウスの垣根を壊してクロスオーバー化させるのに一役買った曲という印象なので、この曲はテックハウスに持っていったほうが良いのでは。
で、年代別にミニマルの代表曲を挙げるなら
1990年代 Plastikman/Spastik
2000年代 Plastikman/Spastik (Dubfire Rework)
こういう風にしたほうが分かりやすくないかい?まあ本当なら3年置きくらいで区切らないと流れを全然網羅できないのだけど。
プログレッシブトランス《プログレッシブハウスの延長線上。そんなに大差ない。》
Armin van Buuren feat Jaren/Unforgivable (First State Smooth Mix)
延長線上って言うのもちと違うかな・・・トランスの主流がだんだんプログレッシブハウスに近づいてきた、というのが正しいんじゃないかな。トランスのメインストリームがメロディアスでBPMも速かった時期に、そうでない地味系で遅めのトランスをこう呼んで区別してた感じ。
あと、この曲は作風が今風すぎるというか、今日びこういうのをいちいちプログレッシブトランスとは言わない気が。一昔前だけどProbspotとかがそうなんじゃないかなあ。
サイケデリックトランス《字のごとしサイケデリックなトランス。ゴアトランスという似たようなジャンルから派生した。》
「ゴアトランスという似たようなジャンル」・・・まあ自分も違いを説明できるほど詳しくないですが、民族的音楽性を強く感じさせるサイケ=ゴアトランスって感じかな?シュポングルとか。サイケとゴアトラを明確に区別したいなら、サイケの代表はもっとフロア向けな若い音を挙げた方がいいのかも。ジュノ・リアクターはストーリー性が高いしどっちかってーとゴア寄り。
エピックトランス《綺麗なメロディ重視の歌モノが多い》
そんなもんシケインに決まってんだろ!
ダッチトランス《壮大でメロディアス》
これは鉄板。ただし今「ダッチトランス」なんて口にしちゃ駄目!
ユーフォリックトランス《明確な線引きはないが、癒しや恍惚、トランス本来の要素を含んでいる曲を指す。》
ユーフォリックトランス?聞いたこと無いな・・・メロディアスなトランスってこと?ジャンル名って言うよりは、曲の特徴を示す言葉じゃないかなあ。
テックトランス《テクノの持つミニマルな展開やリズパターンを強く意識した楽曲が多い》
ティエストも作風は確かにハードでテクノっぽいけど、このジャンルの隆盛のきっかけを作ったのはやっぱSander Van Doornじゃないかな。
ハードダンス(ハードトランス)《激しいビートが特徴のトランス》
うん、自分もヨージ・ビオメハニカしか思いつかんかった。Nu-NRGとか言うんじゃなかった?
イビザトランス(バレアリックハウス)《イビサ島を発信の物。ピアノやボーカル、アコースティック・ギターの入った楽曲が多く、ハウス的な要素も持ち合わせている》
うーん、イビザトランスってジャンル名なのか?トランスに限らず、エピックとかプログレッシブとか含めて、アンセム的な曲を指す呼称だと思ってたけど。ちなみに今の時代ではミニマルなんかも十分イビザアンセムになり得る。
エレクトロハウス《ロッキンなエレクトロニック音楽》
キタコレ。
ジャスティスは全然エレクトロハウスじゃねーよ!俺が本物を見せてやる。
っていうか、ジャスティスとかデジタリズム辺りの音を「エレクトロ」って呼ぶのは日本だけじゃない?Beatportだと「Indie Rock」とかに分類されてるし、純然なクラブチューンっていう認識は無いよね。「クラブでもかけられるロック」って感じで。
ニューレイヴ《主にエレクトロハウスっぽいバンドのことを指す。》
ジャンルと選曲はだいたいあってる。が、「エレクトロハウスっぽいバンドのこと」は適当過ぎるでしょ!「バンドのこと」って、ジャンルの話じゃないのかよ!
フィジェットハウス《ブリブリしたベース音》
まあSwitch(+Herve)の音楽を言い表すために出てきた呼称が「フィジェットハウス」ですから、これは妥当。なんだけど、素直に一番有名な曲出せばいいのにと思わんでもない。
「ブリブリしたベース音」じゃ言葉足らずかな、「アホっぽいサンプル使い」も加えるべき。
アブストラクトヒップホップ《この二つにそんな大きな違いはない》
トリップホップ
大違いだろ!というかMr.スクラフなんて出すからいかんのじゃ。
■Massive Attack/Teardrop
■Portishead/Road
これが本物のトリップホップだ!分類の仕方としては、聴いてて死にたくなってくるのがトリップホップ、そうでないのはヒップホップ。
グライム《UKシーンの音楽がまじりあってできた割りと新しいhiphipのジャンル》
うーん、グライムはヒップホップよりはドラムンベースとかWarp辺りのエレクトロニカの影響が強いと思うんだがなあ。
ジャングル《90年代初期に出来た倍速ブレイクビーツと重いベースが特徴のジャングルがジャマイカで生まれ、イギリスでどんどん新たな物へと進化》
DJ Krome & Mr TimeのThe Slammer
UKガラージ&2step
MJ Cole/ Sincereドラムンベース
London Elektricity/Billion Dollar Gravyドリルン・ベース
Aphex Twin/Boy Girl songダブステップ
Burial /Archangel
あー、ここの説明はちょっとおざなりすぎるわ。ドラムンベースはジャマイカ全然関係ない。ジャマイカ発祥なのはブレイクビーツで、それはムンベ誕生のずっと以前の話。音楽的要素としては当然影響してるけど、直接的な関係は無い。
ドラムンベースは純粋にUK発祥。DJ GrooveriderがInnerzone OrchestraのBug in the Bass Binを45回転掛けし始めたのが最初という伝説があるけど、真偽のほどははっきりしない。
あとドリルンベースはドラムンベースの派生ではなく、エイフィックス・ツイン、スクエアプッシャー、ルーク・ヴァイバートらコーンウォール一派が独自に生み出した天才のみによる音楽。奴らの前に道は無く、奴らの後にも道は無い。ドラムンベースが流行する数年前に、連中はあのドリルみたいな音をひねり出してた。
2ステップ、ダブステップはドラムンベースとかUKガラージの系譜であってると思います。
アシッドジャズ《ジャズの流れを汲んで、ノリ易くなったもの DJジャイルス・ピーターソンの守備範囲》
NU JAZZ
Jazzanova/Mwela, Mwela (Here I am)
クロスオーバー
Cosmic Village/You Can See The Light
クラブジャズ
この辺りはまあ的確だと思うが、それぞれのジャンルの違いを明確に説明できる人っているのか?自分の捉え方は、アシッドジャズ=ジャズっぽいファンクとかポップス、NU JAZZ=テクノとかエレクトロニカよりなジャズ、クラブジャズ=踊れるジャズ、クロスオーバー=中途半端なジャズ、みたいな。
ブロークン・ビーツ《西ロンドンのドラムンベース、ヒップホップ系のアーティストがいっしょになって新しいビートを作ろうとしているジャンル》
バグズを出すのは的確でしょう。しかしやっぱり説明は的外れ。他のジャンルの影響を受けて、というより、数名のアーティストが独自に立ち上げて引っ張っていってる孤高のジャンルではないかと。IGカルチャーとかマーク・ド・クライブロウとか。
EBM(エレクトロニックボディミュージック)《アシッドハウスと混ざって、その後のハードなテクノになっていく》
「アシッドハウスと混ざって」がどの辺りの音楽をさしてるのかちょっと分からなかったけど、いまインダストリアル・テクノとか言われてる音楽がこのスピリッツをしっかり継いでる。具体的にはサージョン先生とかリージスのSandwell Districtとか。
ハードコアテクノ《以下ハードなテクノ(ハッピーハードコアはハード過ぎた反動で生まれた)》
euromasters/alles naar de klote
ガバ
Neophyte Vs The Stunned Guys - Army Of Hardcore
ハッピーハードコア
ブレイクコア
シュランツ
この辺りの音楽は全く無学なんであまりツッコめないんですが、シュランツはハードテクノの流れで説明したほうが適切ではないかと。
レゲトン《源流はプエルトリコで流行っていた、スペイン語のレゲエ+プエルトリコの音楽》
ダンスホールレゲエ《1970年代後半に、ジャマイカのサウンドシステム文化の中で生まれた》
うーん、なんか選曲がびみょいなー。邪道かも知んないけどSean Paulとかの方が知名度あるし説明しやすいのでは。
バイレファンキ《エレクトロ、ヒップホップに南米の空気が混ざり、かなり荒っぽく新鮮な音楽。現場はむちゃくちゃらしい》
自分ならM.I.Aを挙げるかな。
乙女ハウス(笑)《甘い女性ヴォーカル、キャッチー、スタイリッシュ、ジャジーなどが特徴》
(笑)ひでえw そうやって馬鹿にするからアーティストがみんなテックハウスに逃げちゃうんだよwwwなんにせよ食わず嫌いはいかんよ。ラスマス・フェイバーの「Ever After」とかは、乙女ハウスに分類されるんだろうけど凄い良い曲じゃん。
アンビエント《環境音楽的な、ゆったりとしたリラックスできるような音楽。チルアウトともいう。》
まあXtalはテクノ好きならみんな確実に知ってる曲であろうからOKです。
ただし、はてブで指摘してる人がいたけど、アンビエントとチルアウトは全然発祥が別の音楽なのでご注意を。どこに違いがあるかを説明しろって言われると、これまた難しいんですが・・・クラブオリエンテッドなのがチルアウト、現代音楽の流れで進化してきたのがアンビエント?合ってる?