たくさんの『ポリリズム』―Perfumeの化学反応たち

まさか化学が苦手だった僕が有機化学を通じてPerfumeを語る日が来るとは思わなかったぜ。
けど大学入試、化学はセンターでも2次でも使ったんだ。あと東工大生だから許して。

Perfume『ポリリズム』がAC公共広告機構の環境を守る呼びかけ、とりわけペットボトルの分別、リサイクルに関わるCMソングだったことを再び思い出そう(そしてとりあえずフタは外して、つぶしてペットボトルは捨てよう)。

ペットボトルのペット(PET)とは別に犬とか猫とかそういうペットじゃなくて、
ポリ・エチレン・テレフタラートのP・E・Tの略称のことだ。

作詞・作曲の中田ヤスタカはこの「ポリ」に引っかけて『ポリリズム』という楽曲を彼のセンスで構成したのは言うまでもないかもしれないが、確認しておこう(歌詞に「プラスチックみたいな恋」とあるのはそれを示している)。

「ポリ」(poly)は簡単にいえば「たくさん」という意味だ。とりわけ有機化学では「たくさんつながっている」イメージがある。わかりやすくポリエチレンテレフタラートの図を示そう。


(引用元:http://www.org-chem.org/yuuki/polymer/polymer.html)

カルボン酸とアルコールがエステル結合で「たくさんつながっている」のがわかるだろう。*1

そして「エステル」は「香り」「香水」(Perfume)の成分でもある(カエラジで「香水つけたら気分がよくなる」発言で木村カエラのハートをつかんだあ〜ちゃんを思い出そう*2)。

 エステルと呼ばれる部分構造を持つ分子はたいていよい香りがします。果物の香気成分はこのエステルが主成分です。…
 香水の女王と言えばジャスミンですが、この花の香りの主成分は酢酸ベンジル(下左)とエピジャスモン酸メチル(下右)で、いずれもエステル結合を含みます。
 

http://www.org-chem.org/yuuki/aroma/aroma.html


前置きが長くなってしまった。僕はPerfumeを有機化学で語るという実験をしてみた。

『ポリリズム』はいったいどんな化学反応を見せてくれているだろうか。

私たちはPerfumeの『ポリリズム』を媒介にさまざまな反応をすでに目にしたはずだ。

Perfumeはまさにそうした「さまざまな反応」をたくさんつなげている。


ダンスの振り付けの変化に注目し、YUKIとDaft Punkのつながりを見出した人、


「私はアイドルとしてのPerfumeに価値を置かない。あくまでジャパニーズテクノアーティストとしてのperfumeに価値を置く」と前提にし、Perfumeを「クラブカルチャー」のフレームから「世界は3人の歌声で覆われる」(!)と叫ぶ人、


「久々に現れた音楽アイドルの革命児」とあくまで「アイドル」というフレームからPerfumeを捉え、「10年前の10月にSPEEDのWhite Loveがリリース」というアクターズスクールの歴史を見出す人、


「声」に注目し、中田ヤスタカによる「エフェクト」の実験性(鈴木亜美『FREE FREE』)に驚く人、


「Perfume」はすでに『ポリリズム』解禁から1日足らずしてすでにさまざまな反応をつなげている。


Perfumeの3人は先日のカエラジでこんなライブがしたいと語っていた。

「のっちとかしゆかが歌ってる所で、真ん中のあ〜ちゃんだけ理科の実験とか綿菓子作り」

Perfume「ポリリズム」解禁 - Aerodynamik - 航空力学

Perfumeは本気だ!もうすでに「理科の実験とか綿菓子作り」は始まっている!

ポリリズム(初回限定盤)(DVD付)

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参考

*1:追記:PVにもらせん状の物質が飛び交っていたのを思い出してもらいたい。070827

*2:カエラジ実況:http://d.hatena.ne.jp/yy_fuk/20070822#1187713300