フジロックに

mamiamamiya2009-07-25

 なんのためらいもなくスカートで行けるような女の子に、わたしもなりたい。


 というわけで、前夜祭と初日(24日)オールナイトでいてさっき帰還しました。なんと二日とも雨。今日は晴れてそうですね。


 もともと、フジ=野外=厳しい環境、ということでかなり気後れしてフジロックブルーになって直前にも「行くのやめちゃおうかな……」とかつぶやいてたんですが、まーそんなこと言ったって行けばそりゃ楽しいもんで、前夜祭でDJ Mamezukaさんという方が私の大好きな曲(Basement Jaxxの「Good Luck」)をかけてくれるという奇跡のようなことが起こり、雨がなんだー! と翌日はドロ沼化したORANGE COURTでGONGを見て、その最中からずっと雨が激しく降り続いて寒さと濡れで体力を消耗し、もうだめかと思ったときにSYSTEM7のリハの音(リハじゃないな、音の確認みたいなやつ。PAチェックというのかな?)が出た瞬間血がたぎってすべてがどうでもよくなりました。一歩進むだけでも足がグッと沈んで、抜くのが大変というぐらいのぬかるみの中、みんな踊る踊る踊る。


 スピーカーの前に行ったら音がガンガン内臓に響いて、音で心臓が動いて、音で血が流れているような気分になり、その間大きな画面でシナプスがつながって火の鳥のしっぽになっていくあの映像が流れ、なんか知らないけど「わかったぁぁー!」という気持ちになった。


 私は、長い間音楽といえば歌ものばっかりみたいな感じで聴いてきたので、こういう音楽のことがよくわかってなかったんです。ただ「気持ちいい」「好き」ってだけで。いまもたぶんそれはわかってないと思う。なんでこんな気持ちいい音が探せるんだろう? なんでこんな音を考えられるんだろう? って、発想の源からしてまったくわからない。


 けど、あの泥沼の中で聴いたSYSTEM7は「こーゆー快楽のために人は生きてるんだよー」っていうふうに、私には聴こえて、楽しむために生きてるんだっていう当たり前のことを、気が狂うかもってくらい踊らされて心臓から下半身まで音で撫でられ、圧されて、わかったような気になった。そうだよ、楽しむために生きてなかったら新幹線乗って苗場まで来て、雨ずっと降ってる中ずぶ濡れになりながら荷物抱えて(主に重いのは椅子)移動したりしないよね!


 苦しいこともあるから、楽しむために生きてるんだと思ったら、泣きそうになった。すごい音楽だった。


 ちなみに演奏中、小雨が風でステージのほうにも飛んでいたらしく、途中でとつぜんミケット・ジラウディー(スティーブ・ヒレジの奥さん)が小走りにステージの袖に駆け込み、自分のものらしき折りたたみ傘を機材にかけたときはあまりのかわいさに笑ってしまいました。スタッフがあわててビニールシートかけに行ってたけど、頼む前に自分で折り畳み傘もってくるところがかわいい! しかも走って! GONGのステージのときも、すごいキュートだったなぁ。ジラウディーさん。そうか、若くなくても、ああいうふうになれればいいんだ……。いやフジロックにスカート履いて行くほうがミケット・ジラウディーみたいになるより何万倍も簡単だと思うけどね!


★ところで以前軽くディスったフジロックホームページの「次の条件に該当する方はチケットを買わないでください」は、配布された地図とタイムテーブルにも印刷されていて、「こんな人は来ていませんよね!?」と書かれたあとに「自然や山の神様をなめている方」というのが入っているのですが、24日私がオールナイトで観ようと思っていた「オールナイトフジ」(DJ陣はテイ・トウワにケン・イシイ、DJ TASAKAなどなど豪華メンバー)がいきなり中止。理由は「川が増水して急遽橋の増強工事をおこなうため」……。


 いきなり暴風雨が来たなら、そりゃしょうがないと思いますよ。でもあれだけ「雨天決行」「自己責任だから何かあっても一切保証はしない」とかバリバリ書いといて、小雨が降ったりやんだりが二日続いたぐらいで橋を増強しなきゃいけないから中止……。自然や山の神様をなめてんのはそっちだろ! と言いたくなります。お金返してくれるわけでもないし。まだ他の会場でオールナイトのイベントがあったから良かったけど、それがなかったら泊まるとこを用意してなかった私はどうなったんでしょうねー。


 山の神様、というものの存在については、私は信じなくもないので、だからこそ余計にこんな気持ち悪い感じで「山の神様」とかいう言葉を利用しないでほしいです。普通に「山や自然の天候の怖さを考えて準備してきて下さい」じゃなんでダメなの? 今年もサンダル履きで来て雨でドロドロになってこごえそうな人いたよね。長靴必須っていうのは私はひとのブログのフェス体験記で読んで知りましたよ。知っといてよかったけど。


 ま、今日はたぶん晴れてるし、あと二日みなさん楽しんできてください〜。はっ、私が行ったときだけ雨降ってるってことは、私が山の神様に嫌われているのかな……(自意識過剰)。


★そして文句ばっかつけるようでアレですが、「雨具を用意しろ」「夜は冷えるから必ず上着を」と言うわりに、客が入れる屋根がほとんどないですよね。(「RED MARQUEE」は会場自体に屋根があるけど、それ以外の主要会場にはショップや救護用テントはあっても、普通に出入りできるような屋根がない)ORANGE COURTにはマルボロのブースがあって、屋根つきだったので助かりましたが(ここでレインコート脱いで中に重ね着したりした。お礼にドリンク買いましたよ)、こっちが用意周到に雨具や上着を用意してても「雨がふってきた〜」ってレインコート着て、夜になって寒くなってきたっていうとき、一度レインコート脱いで上着を中に着なきゃいけなかったりするじゃないですか。雨の中でそれやったら、服が濡れて防寒どころか体温奪われますよね。あと「濡れたときのために着替えを用意したほうがいい」とかも書いてあるんだけど、着替える場所なんてあの足場ドロだらけのトイレしかないですよね。もちろん雨降ったらごはんの中に雨水がザバザバ入ってくるまま食べなきゃいけない。分別ごみステーションにも屋根がないから、途中から人いなくなって細かい分別グシャグシャになってるし。雨天決行はかまわないけど、客用に各ステージにひとつずつぐらい着替えたりごはん食べたりする用のテント、用意するって発想ないのかな。いままで最近はずっと晴れてたのかな。


 あんな大規模なフェスをやるのは、私のような人間の想像を絶するレベルの大変さなんでしょうが、ごみの分別のしかたも変(ペットボトルをふた・ラベル・本体に分解して捨てなきゃいけないんだけど、捨てる場所がなぜか離れてるとか)だし、来てる人のマナーの悪さよりも会場の気の効かなさが悲しかったです。どしゃぶりの雨の中でフォーがどんどん冷めてゆく……(雨水で)。マルボロブースの人たちの親切さが一番身にしみましたよ。お酒だけじゃなくてホットチャイまでメニューにあるし!


 あと炎天下でシャトルバス2時間待ちとか、もう倒れるかと思ったよ……。待ってる間に観たいアーティストのステージどんどん終わってくし、会場着いた頃にはぐったり。私は前夜祭のときにリストバンド引き換えをしていたのでそのまま入れましたが、リストバンド交換所もすさまじく並んでた(チケットを会場でリストバンドに交換しなければいけないのですが、入り口じゃなく別の場所で引き換えることになっていて、そこがすごくもたついている)あれ待ってたらさらにタイムロス&観たい人観れないよね。帰りの始発バスも超並んでたな〜。これでも良くなったほうなんでしょうし、2時間とか待ちたくなかったらものすごい早起きして早めに行くっていうのが常連さんの間ではすでに常識なのかもしれませんが(それかバス使わなくて歩いていける場所に宿を取ることね)びっくりしたよ。


★よかったことも書いておきましょうね。オールナイトフジを観れなかった代わりに、EYEちゃん(知り合いでもないのになんかちゃん付け。「EYEさん」もなんかしっくりこなくて……)のDJがすんごいかっこよかったです。日食からハードスケジュールでフジまで来てくれてほんとありがとうと思ったよ。私はその音の中で「濡れた服の上から着替えを着る→下の濡れた服を上手く脱ぐ」という、小学校で男女混合着替えだったとき以来のテクニックを披露してましたけどね。いやー、しかし、かっこよかったなぁ。


★あと、ごはんおいしかったなー。いろんなお店が出店していて、食べたいもの山盛りでした。バジルチキンライスや鮎の塩焼き、ケバブライスに鶏肉のフォーと食べまくったけどどれもおいしかった〜。あとスペイン料理のお店で「レモネードとビールを半分ずつ入れてくれませんか?」と頼んでみたら「ええ〜!? そんなの初めて!」と店員さん(みんなスペイン人)にビックリされながらも作ってくれ、ためしに一口飲んでもらうと「うん、これは正解です!」「おいしい!」と言ってくれました。手作りのレモネードがあんまりおいしそうだったんでお願いしてみたんですが、これもおいしかった〜。夜通し開けてるお店もあって、助かりました。


★後だしのように細かいことを思い出したので書いておきますが、みんな泥まみれになった靴やら何やらを洗う場所がないので、トイレの手を洗うところで洗って、結果それが全部泥で詰まってました。ずーっと離れた駐車場にはヒザぐらいの高さの水道があって洗えるんだけど、それ以外はないからね。私は水を手ですくって靴にかけて洗ったけど、なんかこの出来事は「来乗客のマナーの悪さ」で片付けられる問題じゃない気がします。確かに手洗い場に足のっけて洗う(泥で詰まるに決まってるのに)のはちょっと問題だけど、泥で汚れるのはわかってるのに放置というのもなぁ……。でかいタライみたいなのひとつ置いて、ひしゃく置いておけばいい(雨水たまるし、泥落とすには十分でしょ)んじゃないの? 泊まったホテルの前にはそういうものが置いてあったので、よけいに疑問でした。


 ついでに写真も上げてみるけど(これはまだ小雨が降り出した直後で、あまりドロドロじゃないですね。日が落ちたあとがぬかるんで、暗いのもあってかなり怖かった)、こんな水はけの悪いドロドロの場所でオールナイトフジをやる気だったのかと思うと、おそろしいよね。ドロドロでも好きな音楽が聴ければそりゃ楽しいけど、この泥、すごい足とられる粘着質な泥なんですよ。そして雨宿りする場所はないわけで、雨は一晩中降ってたわけで、中止になってなかったら地獄絵図だったでしょうね。やけくそで踊りまくって楽しかったー! っていう思い出になる可能性はあるけど、それもなぁ……。