たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」を「わたもて」とか略されたらきっとこの子落ち込んじゃうよマジで。

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』いやそう言われましても(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース
 
エキサイトニュース書かせていただきました。
 

 
いやあ面白いです。
谷川ニコ先生って、作画と原作の二人組なんですね。いやはやネタのキレも、ディスコミュニケーション少女のかわいさも見事です。
ちなみに帯に「海外の2ちゃん的な掲示板で大人気!!」と書いてあったせいで(せいで?)4chからちんこ画像が大量に作者のもとに届いているそうで。
うむ。どこの国も同じね。実際4chでは人気のようです。
 
この作品がすごいなあと思うのは、このコミュニケーション不足の少女がかわいくてしかたないことです。
まあ確かに、昔から無口キャラとか、会話ベタな子とかは人気ありましたが、ここまで露骨に思考回路が色々ダメな感じなのにかわいく見えるってのはすごい。
どこがかわいいんだろう? ぼくはカワイイと思うんだけど。ゲロはいたりするけども。
 
まずはキャラの造形。
実際この髪型にするとすっごく鬱陶しい状態になると思うんですが(しかも手入れして無くてボサボサ、時に脂ぎっているとのこと)、二次元ってすごいよね、ボサボサが個性になるんだもの。
基本状態で片目隠れているというのもいいです。別に鬼太郎キャラじゃなので両目出ているんですが、もさっとしているので固めが隠れること多々。
あとは寝不足で腫れ上がったクマと、いつもうつむいているから自然になる上目遣い。加えて対人恐怖症気味なので赤面するところ。
あっ。
これようするに勘違いだ。「この子ぼくのこと好きなんじゃないかな!」的な勘違い。
ああっ。
 
ようするに、この子にシンパシーを感じたらこのマンガは面白いでしょうし、全く理解できなかったらピンとこない作品だと思います。
「喪女」という言葉が使われていますが、あんまりそこ関係ないんですよね。確かに女性独自のネタもありますが、大体を男性に置き換えても通じます。
具体的に言うと、コミック版の「NHKにようこそ!」の主人公が「やべー、女の子と普通に会話しちゃった」とガクガク震えているのを、女の子にすると「やべー、イケメンとも普通に会話しちゃった」となるのがこの作品。で、破壊力が格段にあがるという。すごい所突いて来ました。
 
男女問わずのコミュニケーションできない子を描き、その心理を描写して「あるある」にするのは、簡単なようで難しいです。
なんせ、わからない人には徹底してわからないですし、デリケートなネタも多いですもの。
しかし今、土壌が整ってきていると思うんです、そういういわゆる「非コミュ」ネタができる土壌。
「黒歴史」という言葉が一般化し、むしろプラス方面で面白がられるようになった。
照れつつも黒歴史を人に言って楽しめる時代になった。
そういう楽しみ方があって、この作品が面白いと思えるんじゃないかなと。ソースは自分。
 
ぶっちゃけていえば、本当の意味での黒歴史なんて人に言えないわけですよ。
プチトラウマみたいなもんですから。言いたくもない。
だけど、そんなモヤモヤも、この子なら気持ち分かってくれるんじゃないかなあ……なんて妄想にかられるのです。
これがかわいいと感じるポイントのもう一つ。
 
実のところ、彼女別に嫌われていませんし、いじめられてもいません。
ただ単に自意識過剰になりすぎて、誰とも話せなくなってしまった。
たかが「それだけ」なんですが、大変大きな「それだけ」なんです。
辛いんですよ! 高校時代にそれは!
エキサイトニュースにも書きましたが、一番やっぱりキたのは、友達と「リア充爆発しろ」会話を大声で男女混合でしている人に対して「私の寿命一年減らしていいから、あいつら事故死しねーかな・・・」でした。
不謹慎、とかそれどころじゃないんですよ。だって妄言だもん。その気持ちがわかるかどうか。
それだけ悶々としているのに、実は友達がほしくて、ちょっと優しくされただけで浮かれてしまうあたりがまたなんともね。見ていて気恥ずかしいと言うか、こっちがかわいがってあげたくなってしまうというか。
よく言えば共感できる、救ってくれるキャラクター。
ひどい言い方をすれば、スケープゴート。
よく計算された作品です。
 
基本的に通過した大人ならゲラゲラ笑えるマンガなんですが、笑えないで悶絶することもあるのでそこは注意。
個人的には中学時代一緒レベルの地味な子(ようは自分より下だと思って安心していた子)と久しぶりにあったら、ものすごいいきれいな女の子にレベルアップしていてショックを受ける、という回はちょっと背筋がゾゾっときました。
そのあといい話しになるのかと思ったら、イヤーなオチが。
ああ、あの時ヘッドフォンをかぶってしまった彼女の気持ち、OH……。
 
結論:かさぶたをはがしたくなるような、そんなマンガです。