たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「涙もろさ」についてしらべてみた。

  • 涙もろいのって恥ずかしい?

アニメで泣くやつってなんなの?wwww(ねがすぱ)
途中からアニメに限らずエロゲやドラマの話題も混じってますが、「泣く」ってどんなことなのかというのを考えるのに非常によいスレです。

29 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :2006/09/24(日) 21:34:51
「泣ける」から良い作品とは限らない。
自分が泣いたから良い作品と自分に言い聞かせるのはいかがなものかと、母。
「泣かせる」ストーリーラインってある。「泣かせる」ツボ。
しかも、あざとい。安易。だいたい、人を泣かせようって言う心根が薄汚い。
「笑い」の方が演出としては難しいし、作劇的には遥かに高尚だと思う。
 
195 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :2006/09/27(水) 01:12:10
何で泣くか泣かないかは個人の自由。涙は「出そう」と思って出るもんじゃないし。
一応上で「白と再不斬の〜」と書いた者だけど、段々目頭が熱く胸が苦しくなってくる。
泣く作品が陳腐だとか、安易だとかケチつける奴、お前等は高尚で崇高なアニメでも作れるのか。
俺は何と言われ様が泣く時は泣く。出るもんは仕方ないだろ・・

自分はめちゃめちゃ涙もろいです。もうね、「どれみ」で何回泣いたか!パッケージ見るだけで涙が出るゼ!
と、言っても99%の人には「ふーん」と言われます。まあ、わかってるんだけどネ。
 
さて、人の価値観や生きてきた生活環境は、簡単に他人には理解できるものではないので「これは泣けるからいい」「こんなの見て泣くのはキモチワルイ」というのは一概にどうこういえるものではないですね。泣ける人がえらいわけでもないし、泣けない人が冷静と言い切れるわけでもないと思います。
しかし、やっぱり同じ作品を見ても「これは泣ける」「別になんとも思わない」と様々な感情を生むわけです、そこに何らかの心の動きの差があるのはとても興味深いですネ。
 
文化論としてここでは展開していますが、自分は「涙がもろい」「感動」のキーワードに興味がわきました。やっぱり感動→泣く、という行為はちょっと特殊だと思うんですよ。そういえば「年をとると涙もろくなる」なんてことも言いますね。そんなわけで、ちょっと人体の構造面から攻めてみたいと思います。

  • 「涙腺は緩まない」

まずよく感動したときに使われる「涙腺が緩んだ」という表現について、涙の出る仕組みを考えて見ます。
涙道や涙腺の病気
涙wiki
どちらのリンク先にも図があります。構造が非常にわかりやすいです。
「涙腺(るいせん)」というのは目を潤すための水分を製造しているところです。目の上の方ですね。ここで絶えず水分が作られ、目を潤し続けています。見ていただければ分かるとおり、涙が貯蔵される仕組みは一切ありません。だから、何かお皿のようなものがあって、そこに入った涙が感動で溢れる、という考え方は間違い。
絶えず水が目の上を流れているわけです、んじゃそのあとどこに水は流れていくの?というと、目頭のあたりにある「涙点」から吸収され、管を通って鼻に抜けていくようです。うまく循環してるもんですね。
この吸収された水、一旦涙嚢(るいのう)と呼ばれる袋の中にたまってから、鼻に抜けていくんですが、ここにギューっと力が加わると涙が逆流します。これがあくびの時の涙です。つまりあくびの時の涙は、もう一旦目の上を通過した後の水で、泣くときに涙腺から出るものとは仕組みがまったく違います。
 
「涙腺が決壊した!」「涙腺が緩んだ」なんて表現も文章上ではよく使いますが、これも間違い。涙腺は緩んだりする仕組みになっていません。涙腺は涙を出ないようにとめておくものではなく、作る場所です。吹き出す水をせきとめている「蛇口」とは違うわけです。
(上記サイトでは蛇口のイラストが描かれていますが、これはあくまでも病気で筋肉が緩みきっている場合なので注意デス。)
感動した場合は、涙が蛇口をひねったようにでるのではなく、脳からの命令を受けたときに「涙をいっぱいつくる」ことで出てきます。ある程度なら涙点から吸収されて鼻に抜けるので、そうそう涙が止まらないということはありません。ちょうど、鼻をすすってしゃくりあげているような状態ですネ。
しかし、鼻に抜ける管を通ることすらできないくらい涙が作られると、循環することができずに涙が目から溢れてしまいます。これが「泣く」という仕組みのようです。

  • そのとき脳は。

もちろん涙を流すのは涙腺だけの問題ではありません。
感情を起こすのは、大脳辺縁系と呼ばれる場所です。こちらはもう湧き上がるような感情です。たとえば、怖い、苦しい、うれしいなど。
基本的にここで生まれる「情動」と呼ばれる感情のタネは、生まれた環境や遺伝によるものが大きいです。子供の時は動物的な情動によって「泣く」という感情を表します。「おなかがすいた」「さみしい」「痛い」などです。
成長するにつれてバリエーションも増えます。「悲しい」「うれしい」「切ない」「辛い」など。
ここから、自律神経に指示が出て、交感神経と副交感神経を作用させます。
交感神経は、身体を興奮させる働きがあります。副交感神経は、身体を落ち着かせる働きがあります。
怒ったとき、悲しいときは交感神経が働きます。精神的にピリピリと追い詰めるような刺激が、全身をかけめぐります。その結果、搾り出すように涙腺に指令がいきます。興奮していろんな汁が出ちゃう!っていう状態です。いや、ちょっと違う気がします。
逆に感動したときやうれしいときは副交感神経が働きます。リラックスして、涙腺に指令がいきます。
加えて、それを、「ある程度」制御するのが大脳皮質。特に前頭前野は人間ならではの感情をつかさどる場所で、生まれた感情をどう扱うのが一番いいのかを選んで行動させる場所です。涙をガマンするとき、また感動したキモチを伝えるときに、この部分が働いて、涙の制御をします。でないと感情が起伏するたびに涙ダダ漏れになってしまうかもしれません。ちょっと怒鳴ったら涙、ちょっと寂しかったら涙。赤ちゃんのときはいいんだけどね、大人になるとそうもいかないっすネ。そういう制御です。

  • 涙と一緒に出しちまいな!

涙はなぜ
涙はストレスを洗い流す!? 涙とストレスの深い関係
なして涙なの?ヨダレじゃだめなの?おしっことかでもいいじゃん?とか思いますよね思いませんかそうですか。
実は人間の「ストレス」というのは、物質です。ストレスが溜まる、ってのは物体が溜まることになるようです。それをいくぶんか流し出すのが涙。実際涙の中にはストレス物質が含まれているそうです。
つまり、じゃんじゃん泣いて涙を流せば、イライラしたときはスッキリするってわけです。せっかく出た涙、ストレス物質がいっぱい排出されているわけですから、必死にこらえたり、鼻に流れ込んで鼻水になったものを飲み込んだら再吸収されてしまいます。じゃんじゃん出したほうがイイヨ。
また、今研究中のようですが、涙には女性ホルモンが含まれているそうです。女性の方が涙もろいのも、それだけうまくストレスを排出しているのではないか?という説もあります。
裏を掘ると、女性の武器は涙なんていいますが、ウソっていうより「ストレス発散」だったりする場合が多いです。感情の起伏が大きい分、排出の仕方もちゃんと出来てるんですネ。男性は、気楽に女を泣かせるといいと思うよ。いやだめだよ。
逆に言えば、いわゆる「涙もろい」人は、ストレスの発散がされやすい人だとも言えます。本当にうつになっちゃった人とかは逆に涙が出ないそうです。感動する機会が多い感受性の豊かな人は、ガマンせずにばんばん泣いた方が、身体にはいいんですね。また、イライラの溜まったときはあえて泣くように身体を持っていくのは、非常に効果があるみたいですヨ。

  • 涙もろい人、涙もろくない人。

さて、一番最初にあげた「感動して泣く」という一点にちょっと絞ってみます。
ここで、涙もろい人と、全然泣かない人の差をちょっと考えて見ます。

①大脳辺縁系が、あまり反応しないように学習している。
厳しい育て方をされた場合、多様な視点ができていない環境で育った場合はこれが考えられます。感情の元になる「情動」が起こらない場合、ですね。感受性が弱い、と言われるのはこれかもしれません。他の感情もあまり育っていないので、人によっては淡々としているように見えるかもしれません。
②大脳辺縁系の刺激されるポイントが人と違う。
これも育った環境によると思います。たとえば「セカチュー」や「タイタニック」で泣いた!というのは、ある意味一般的な環境で育った場合は反応する、という「涙の大衆化」かもしれません。しかし、人によっては全然人と違う部分で大脳辺縁系が反応する場合もあります。人間はゴキブリみたらイヤがるわけですが、北海道でゴキブリがめずらしくてかわいがっていた、なんていう珍しい人はゴキブリを見たら昔飼っていた「ゴキ子」を思い出して涙することでしょう。好みや趣味の違いと似ているかもしれません。
③前頭葉が制御している。
泣くべきではない、泣いてはいけない、という意識で泣くのを制御することができます。また、「この作品は実は裏があってひどいんだぜ」みたいなのを聞いていたら、脳が感情を表す前に思考してしまうので、情動が起きないかもしれません。そういう意味では、オタク絵のアニメやエロゲーは、「所詮オタクのものだから」という思考が色眼鏡になってしまうので、前頭葉が必要以上に制御してしまうかもらしれません。
④根深いトラウマやうつを抱えている。
育児放棄された子供は泣きません。うつ病の一部の患者は泣きません。自閉になった子供の一部も泣きません。①に少し通じるところがありますが、極端に脳のバランスが狂う環境になると、泣くことによるストレス解消の術を脳が放棄してしまいます。

他にもまだあるかもしれませんね。とりあえず、育った環境の差異は非常に大きいと思うので「泣けない人はよくない」とか「なんでこんなんで泣くの?」というのは個性を押しつぶすことになるんじゃないカナ?と思います。どちらも好みの押し付けですね。脳がキャッチしないんじゃしょうがない。
どちらかというと感動できる作品が多いほうがお得ですが、Aで感動できなくてもBで感動できればイイネ。決してそれが悪いことでもなんでもないみたいです。

  • 老化と涙もろさ

さて「年をとると涙もろくなる」とよく言いますが、これもまた事実のようです。ちょっと科学的な理由だけ簡単にまとめてみたいと思います。

①目から鼻に涙を流す管が詰まりやすい。
常に流れ続けている涙。それはきちんと鼻に抜けるから自然になるのですが、詰まっちゃうと目がウルウルしやすいです。むしろ、涙腺が衰えてドライアイになりやすかったりもするので、老化すると色々大変です。
②前頭葉が衰える。
これがすべての要因というわけではないですが、前頭葉が衰えると感情が制御できずらくなるので、ふっとガマンできていたものがとめられなくなってきます。これは怒る、笑うなどにもつながりで、年をとると感情が抑制しずらくなることと関係があるようです。
③生活習慣病などで、大脳辺縁系が弱っている。
どちらかというと幼児のように泣く場合はコレ。この場合は病気なので、治療に行くべきです。
④大脳辺縁系が経験を積み、発達している。
逆の場合。経験が増えれば受けてきた刺激の数も変わってきます。いいことも悪いことも含めて自分が身をもって体験し、様々な人に出会います。その中で脳が刺激を受けるレーダーが非常に磨かれていき、情動がおきやすくなると思います。
⑤ストレス排出方法を身体が覚え始めている。
子供の頃より大人になった方がはるかにストレス物質を多く溜め込みます。それをうまく排出するために身体は「泣くのが一番いい」と自然に覚え始めます。だから年をとって涙もろくなったからと言って、悲観する必要はまったくありません。

子供の時に比べると、20台だと前頭葉が発達してあまり泣くという行動をとらなくなるかもしれません。しかし、それから年を経て涙もろくなるのは、むしろ身体にいいことなんじゃないかなと思ってます。

  • 作品の「泣ける」「泣けない」。

最初のスレより。

124 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :2006/09/25(月) 18:33:54
>>123
そういえばそのドラマもAirも嫌いだな
フランダースの犬とかもそうだけど「死」が関係してる奴では泣く気配すら感じない
何というかお涙頂戴というか
と思ったけど人気のある泣き作品は「意地でも泣くもんか!」って考えてるからかも

「一般的な環境で育った人が泣ける」作品と言うのも作為的に作ることが出来ます。それが「お涙頂戴で駄作だ!」というよりは、「ストレス解消アイテム」として捉えられるとちょっと見方が変わってくると思うんですがどうでしょ。
前頭葉の発達で、意識的に色眼鏡をかけてしまっている人は食わず嫌いの可能性もあるかと思います。それはそれでかまわないんですが、実はいいものかもしれないのに理性がじゃましすぎて出会えなかったらもったいないです。
とりあえずやっておくと「こんなに面白いのか!」っていう出会いもあるかもしれませんネ。年をとるとこのへんは広げることができるので、色々な作品を楽しんだり泣いたりする技術を身に付けるかもしれません。
 
お国柄的なものも、多少あるかなーとか思いました。
たとえば、日本が比較的お葬式などでも静かにたたずむのがよい、という雰囲気があるのに対して、欧米では大きな声をあげて泣く方がよいという考えの土地もあるし、いまだに「泣き女」の風習のある土地もあります。目から液体が出てないから悲しくないのか?といわれるとどちらも悲しくないわけがない。
感動もそうですネ。大声をあげて喜ぶのがいいとされるところもあれば、心の中でだけガッツポーズをとって気取る日本もあり。
せっかく生きてるわけです。できれば、泣いて色々豊かに楽しみたいものですネ。
 
さて、先ほど日本ハムファイターズが優勝して地元民の自分は喜んでいたんですが、新庄選手はずっと泣きっぱなしでしたね。道民としては彼の活躍や努力は非常に北海道を変えたと思われるほど感じているんですが、その彼が泣いている姿は色々な思いを感じてかっこよく映りました。
男泣きって、やはりかっこいいですね。
あ、実はこれが書きたかったのです。ふふ。
 
参考
前頭葉の解剖学
「涙もろくなる」ということ
年をとると涙もろくなるのはどうして?
加齢とドライアイ
涙器
なぜ、人は、悲しいとき、うれしいとき涙を流すのですか?
あくびとは? 〜どうして起こるの?なぜ涙が出るの?なぜ伝染るの?
感激の涙のわけは?