SNSで生徒の問題行動を知ってしまった教師への倫理的アドバイス
The New York Timesの倫理的問題相談コラムThe Ethicistにて、Facebook(ソーシャルネットワークサイト)で繋がっている生徒の問題行動を知ってしまった教師の相談があった。相談の内容は、以下の通り。訳はいつもの通りいい加減なので、うるさい人は原文を読んでください。
わたしの友人は生徒に人気の中学教師です。彼女はFacebookにアカウントを持っていて、多くの生徒から「友だち」として登録されており、かれらの書き込みを読むことができます。その結果、彼女は生徒たちについていろいろなことを−−ありがちな未成年の飲酒や麻薬の使用、時にはテストでのカンニングや宿題のズルなど学校に関連した問題行動などを含めて−−知ることになりました。彼女は、これらのことを学校や警察、家族に知らせなければいけないでしょうか? 学校には、この現代的な問題に関する規則はありません。
これに対する、コラムニストのランディ・コーエンの答えがいい。
この教師は、生徒たちがトラブルに見舞われる前に応答すべきです。そしてあなたが述べた中で最も危険なのは、未成年の飲酒でも麻薬使用でもなく、これらの問題行動が公に晒されていることです。あなたの友人は、生徒たちにインターネットにおけるプライバシーについて、あるいはその不在について、教えるための機会を手にしていると言えます。是非教えるべきでしょう。もし彼女がネットで知ったことをただ通報してしまえば、より重要なことを教える機会を失い、生徒たちに信用を裏切られたという気持ちを抱かせてしまうでしょう。一言でまとめると、彼女の本来の役割は教育者としてのそれであり、警察官ではないのです。
厳密に言えば、生徒たちがあなたにFacebookのページを見せることを決めた時点で、かれらはプライバシーを放棄したと言えるでしょう。しかし、多くの子どもたちにとってはそうではありません。かれらにとって、Facebookは公と私のあいだの奇妙な空間にある、たとえるならキッチンのテーブルの上に置いてある日記のようなものです。飲酒している場面の写真が、後に仕事や奨学金を得る機会を脅かすことになるということは、かれらの全員がきちんと考えていることではありません。この教師は、それをかれらに考えさせることができるかもしれないのです。
彼女は生徒にメールを出して、問題行動に言及しつつ、かれらのネットにおける無防備さを指摘することができます。あるいは、個々の生徒の名前を挙げずに、教室全体に向けて問題を指摘することもできます。インターネットにおける危険について生徒に定期的に教えるように、学校にはたらきかけることもできるでしょう。
これは、問題行動から目を背けるべきだということではありません。優先順位をはっきりさせるべきだということです。もし子どもが本当に危険なことをしているなら、すぐさま介入すべきです。もし生徒がカンニングなどをしていたなら、最初のメールで厳しく警告し、もしふたたび彼女が同じような行為を知ったら処罰が待っていることを、生徒に理解させるべきです。
あなたの友人は、生徒たちとの距離の取り方を考え直すべきかもしれません。生徒たちが彼女に秘密を打ち明けることができるというのは素晴らしいことですが、秘密を打ち明けることとうわさ話をすることは違います。彼女は教師であり、かれらの友人ではないという区別は、彼女が教師としての影響力を保つためには必要です。
ランディ・コーエン偉い。