移動電話の一種。Personal Handyphone Systemの略。技術規格、端末の両方を指すことがある。技術規格は日本で策定された。
無線方式は、電波産業会(ARIB)により、STD-28として規格化されている。
無線伝送方式はTDMA-TDD(時分割多重方式)を用いる。周波数帯は1.9GHzが割り当てられている。
PHSでは、端末の出力が20mW程度(一部の事業者は300mW)である。一般の携帯電話(ドコモのmovaなどのPDCやcdmaなど)の1W〜5Wに対し出力が小さいため、以下の特徴を持つ。
PHSでは、伝送ネットワーク等の部分(OSIモデルでいうトランスポート層以上)は規格化されていない。
ただし、数年前からウィルコム(旧DDIポケット)は独自に無線方式、IP網の開発を重ねており、携帯電話との差は無くなってきている。
(なお、ウィルコムの独自開発部分は上記STD-28の対象外であり、一般に公開されていない)
日本では、以下3グループによりサービスが提供されていたが、サービスの終了が進みソフトバンク(ワイモバイル)が最後に残るのみとなった。
開発当初の名称は「第二世代ディジタルコードレス電話」で、コードレス電話を家の外でも使えるようにできないか、というのが元々の発想だった。
そのため、伝送ネットワークには固定網のISDNを用いることが想定されていた。
一般の携帯電話では、基地局とその間の伝送ネットワークからネットワークが構成される。伝送ネットワークには端末の移動による伝送路の変化を実現する機能(移動管理機能)が必要になるため、一般の携帯電話用の伝送ネットワークには、固定網(NTT等のネットワーク)をそのまま使うことができない。PHSのサービスイン時には、高コストな移動管理機能を省くことにより、安価な移動電話サービスを提供しようというねらいがあったのである。
開発当初はPersonal Handy Phoneの略でPHPと称していたが、色々な理由(松下電器の関連会社のPHP研究所との区別問題など)があってPHS(Personal Handyphone System)に改称された。
また、総務省(当時郵政省)は法令上、簡易型携帯電話と言う呼称を使用していた。一般の携帯電話と異なり、移動管理機能を持たない固定網を伝送ネットワークとしたことなどが理由である。
ただし、サービスイン後は移動電話としての機能追加が行われたため、旧郵政省は仕様上不適切としPHSと改称した。
一般には「ぴっち」と呼ばれることが多い。