オタクの分水嶺


「オタクと一般人はそんなに違いは無い」
と言うのがオレの主張だ。
所謂「一般人」だって見た目に気を使ってない人間は多いし、オタクにだって見た目にちゃんと気を使ってる人間は多い。
フツーの人にだって「オタク的傾向」はあるし、オタクだってちゃんとフツーに社会生活を出来てる人間が殆どだ。
なのに、一方で「ダサオタク」等と叩かれる人間も居るし、オタク的な趣味や服装でも面と向かって叩かれない人間も居る。
その差は一体何なんだ・・・


最近、その辺りの境界線というか分水嶺というか、そんなモノがおぼろげながら見えてきつつあるので、ココで一つその辺の雑感をまとめてみたいと思う。
例によって、あくまで「オレ個人の雑感」でしかないのであしからず。




結論から言うと
「人馴れしてるか、してないか」
の違いなのではないだろうか。
人馴れしてない人は、やはりその部分が顔なり態度なりに現れてる場合が多いような気がする。
ただし、この場合の「人馴れ」っていうのは「オタク同士で人馴れしてる」というのは含まない。
オタク同士の会話や身振り手振りは一般社会とは一線を画してる場合が多いし(指を立てて「なぁ〜るへそ」と言ったり、指差して「びしぃっッ!」と(口で)言ったり、大袈裟に「はッッ!!」とか(口で)言って驚いたり)、言語体系そのものも大きな違いを感じる(ソレを上手く揶揄したのが「俺は限界だと思った」のコピペだと思う)。
フツーにフツーの人と接していればそんなに大きくズレることも無いんだろうけど・・・・・・



こう考えたのにはキッカケがある。
先日、とあるオタク系男女出会いの会に出席してみたのだが、その時の一部の男性陣のフンイキや風体の異様さ加減が非常に目立っていたのだ。
まぁ大半はフツーの格好だったし、中にはかなりの高レベルの人もちゃんと居たりするのだが、そうじゃない男のレベルがハンパなく酷かった。


ヨレヨレシャツにヨレヨレジャケット。
皺だらけの綿パンや色あせたGパン。
小汚いハイテクスニーカーや流通センター系安物靴。
分厚いレンズのデカメガネ。
フケだらけの髪。
猫背のガリガリ。
浜に打ち揚げられた鯨の如き巨躯。
生気のカケラもない顔付き等々・・・


ココã‚„ココで指摘されてる、典型的オタルックのオンパレードだった。



別に↑みたいな格好でアキバ行こうがコミケ行こうが、オレは別段何とも思わない。
むしろ、狭くて込み合う場所に行くには新品のビシッとした服よりは着慣れてヨレヨレの服のほうが動きやすいだろうし、クッションの効いたハイテクシューズも、1日中歩き回ると言う用途には向いてるだろう。
別段ダサい格好で人に迷惑がかかるわけでもないし、ソレはソレでいいと思っている。
格好だけでその人となり全てが分かるなんて、そんなのはバカげた幻想でしかない。


でも、一つツッコませて欲しいんだが・・・・・・



オマエら、女の子に会いに来るのにその格好はねぇべ!!



そう、ココは出会いの場。
常に「異性という名の他人」の目にその身を晒される、そんな場だ。
にもかかわらず、ココまでトンでもない格好ってのはどうよ!
人からどう見られるかに関して全く気を使っていない(か、気の使い方がおかしい)としか思えない。
人馴れしていたら、ソレくらいの事には気付くハズだろうに・・・。



まぁ、服はこの際置いておこう(ツッコミ所は多いが)。
問題は、彼らの顔つき。
例え服がダサくても、顔つきとか表情とかをもっとどうにかするだけで随分と見栄えはするものだ。
そして、そういう「表情」を鍛えるには人馴れするのが一番だし、人馴れした人はやっぱり「表情」に出てくるものだと思う。
実際、この会で見たそういう「人馴れして無さそうな表情の人」は、大概「システムエンジニア」だったり「PCオペレーター」だったりした。ナルホド。
(ちなみに、この会の常連っぽい人々はそういう感じの人が多かった・・・ような気がする)
普段会社ではパソコンの前に座って誰とも話さず、休日は家に閉じこもってネット三昧。
たまに出かける先はアキバか同人イベントで、会う友達は全員オタクばっかり。
そういう生活歴を辿ってりゃしょうがないわな。
(オレもそうだったなぁ。数年前のオレの写真からも「人馴れしてないフンイキ」をプンプン感じる。こんなんでデートしたわけだからそりゃ嫌われるわな。苦い思い出・・・。)



その中で特に印象に残った一場面。
オレと友人のAクンが、やはり友人同士で来ていた女性2人と話した時のこと。
ソコに、明らかに女性2人のうちの一方を狙ってる気マンマンの男も割って入っていた。


その彼だが、見た感じ年齢は20代中盤。
顔立ちは悪くない、と言うより、むしろ彫りが深くてナカナカの顔立ち。
体もスラリとした長身で、オレなんかよりよっぽどイイ素材だ。
だが、その目は光に乏しく(俗に言う「腐った魚のような目」)、眉間には常に皺が寄ってて、顔にも全く覇気が感じられず、服装もヨレヨレで靴も小汚いハイテクシューズ。
さらに、かなりな猫背で、せっかくのイイ感じの長身が全く生かされていない。
ソレだけでも相当な減点材料だが、さらに口を開けばマンガの話とPCの話”しか”出来ない、しかも声が上ずってる上に話し方や受け答えもしどろもどろでまるっきり要領を得ない。
あからさまに「人馴れしてなさそう」な感じの男だった。
あとでその女性に聞いたのだが、前の時間に件の彼と対面で話す機会があったらしいんだけど、その時彼は自分のケータイに入れている萌えキャラの絵を彼女に見せて「コレは○○の○○ってキャラで・・・」等とやらかして、彼女も相当に辟易していたらしい。
(彼女曰く「自分の全てを分かってもらおうとして必死だったんだろうなぁ・・・」)
こんなの、ちょっと考えれば「イタい事」だと分かりそうなのに、その事に対する考察がまるっきり出来ていない。
これもまた「人馴れしていない」がための愚行と言えないだろうか。


↑の彼だって、ちゃんと目を輝かせて、顔に覇気を漲らせて、背筋をシャンと伸ばしていれば、多少服装がおかしかった所で相手にはソコまで変な印象は与えないだろう。
むしろその基礎的なルックスが生かされて「オタクな話もできる面白いナイスガイ」という評価を頂けたかも知れない。
せっかく磨けば光る玉なのに、ソレを磨く術をあまりにも知らな過ぎたがゆえの悲劇だったのではないか。
そして、ソレを磨くにはやはり「人馴れする」のが一番だろう。
人馴れすれば・・・と言うより、「人から見られてる」と常に意識すれば、自然と表情も覇気が出てきて、眼にも輝きが取り戻され、姿勢だってちゃんとしてくるのではないか。
そして、人馴れすれば自然と「ココでコレを言っちゃダメ」とか「ココでこういう行動を取ったらイタい」というのも身についてくると思う。



結局「オタクとして嫌われる」か「オタクとして面白がられる」かの分水嶺は「人馴れしてるか否か」ってコトではないだろうか。
今流行りの言葉で言うなら「コミュニケーションスキル」か(オレ的には使いたくない言葉だが。おかしな論争に巻きもまれるのもイヤだし)。
そして、人馴れするにはやはり多くの人に会って、多くの人と話すしかない。
そしてソレは「脱ヲタ」の道へと続いているような気がするのだ。



でオレはどうなのかと言うと、まだまだ足りないところ、至らないところは山ほどある。
確かに2年前のオレに比べると随分と進歩したとは思うが、それでもまだまだだ。
未だに女性の前に立つと恐ろしく緊張するし、初対面の人となかなか簡単には打ち解けられない。
「誰かに嫌われやしないか・・・」「今コレを言ったら嫌がられるんじゃないか・・・」等と、内心ビクビクしながら生きている部分だってある。



まぁ、結局脱ヲタの道は日々精進というコトで・・・・・・。