デスクトップマシン再構築・続
昨日の記事(id:june_t:20050315#p2)からの続き。
WindowsXPを復帰させただけでは終わらない。いろんなソフトウェア自体や設定は引き継がれているが、メインボード周りのドライバ(ビデオ、オーディオ、LANなど)は新しく導入する必要があるわけだし、Windows Updateもかけなければいけない。ある程度のところでいったん寝たけど、ごちゃごちゃやってたので午前4時ぐらいになってしまったから、起きたのは正午。(今日は出勤予定なし。)
それでもなんとかSP2までインストール。何回再起動をかけたことか。あとはMS-Office XPとOneNote2003だけ。(※22:00再インストール&認証終了)
ところで、肝心のパフォーマンスはどうかというと。
CPUとメモリ、バス周りはSETI@homeを目安にしよう。1ユニットあたりだいたい2時間50分というところだろうか。これまでのマシン(Pentium4、2GHz)で4時間強、PentiumM 1.6Mhzのノートで2時間30分台、研究室のマシンで3時間強(ただし2ユニット並列処理)なので、まずまずだろう。Celeronはそもそも浮動小数点計算が苦手な傾向があるし。(Prescottコアでもそうなのかは確認していないが。)キャッシュも少ないし。
なお、画面表示は速い。これはグラフィクスコントローラの力(チップセット内蔵)というよりは、CPUの速度によるものだと思う。Webブラウジングぐらいなら至極快適。
あとはオフィススイートがどのくらいさくさく動くか、だが、これはもう問題なく快適に動く。メモリも十分あるし、CPUも速い。表示が足を引っぱるようなことはオフィススイートはしない。
……ということである。
MPEGのエンコードとかしたり、3Dのゲームとかしようとすると、Pentium4よりは時間かかるんだろうけど、そういうことはあまりしないので。あ、でも、今度Wizの新作出るなー。DirectX9でポリゴンなんだろうな。魔法のエフェクトとかあるんだろうか。ま、やってみて遅ければ何か考えるさっ。
しかしそういえば、プリンタと外付けのDVDドライブ(DVD±R/RW書き込み可)のセットアップを忘れていたよ。どっちかというと物理的置き場をどうしようということだな、これは。
高校生の意識調査
某所でコメントしたついで。いささかうんざりしたけど。
「国に誇りを持っている」という日本の高校生は51%で、米国、中国に比べて二割以上少ないことが日・米・中三カ国の高校生を対象にした意識調査で分かった。日本の高校生は「将来を思い悩むより、その時を大いに楽しむべきだ」「親の面倒をみたくない」と考える割合も三カ国中で最も多く、刹那(せつな)的、自己中心的に生きる日本の若者意識が浮かび上がった。
ま た 日 本 青 少 年 研 究 所 か よ 。
ついでに、
ま た 産 経 ( と 読 売 ) か よ 。*1
……という内容。
昨年2月に高校生のジェンダー意識についての「調査」の結果を出してきたのが同じところ。無茶苦茶つっこみどころ満載の「調査」でした。
どのへんでって、まず「(クラスは)ほぼ全員女子」という回答が、日本はすごく多かったのです(女子の4割強)。たぶん女子校か女子クラスがかなり調査対象に入ってきているのですね。で、女子の割合が全体の6割ぐらいなので、どうしてもこの女子校在学者の回答の性質が、全体に大きな影響を及ぼすような結果になっています。クラスで目標を持ってがんばっているのは、というような設問にも、そりゃ女子校や女子クラスだったら「女子」と回答しますって。(こうした指摘があったせいだと思いますが、今回の調査では「別学か共学か」という質問がフェイス部分であります。3カ国とも100%共学校での調査です。あとで書きますが、無駄な質問です。)
部活動についても、日本では男子は多く運動部に所属し、女子は文化部に所属しているという結果が出ていますが*2、運動部は男女別がほとんど。だから「部活のリーダーは」という設問に男子は4分の3が「男子」と答えていますが、当たり前ですね。他方女子は、女子校の人が4割だったわけですから、6割が「女子」と答えているのも当たり前でしょうね。
なお生徒会長については、女子校在学者かもしれない割合を勘案しても、女子の割合が多いということにはなりますが、あとで述べるようにサンプルとなる学校の数が少ない場合には、あまり統計的に意味がない結果です。(日本では12校しか調査対象ではありません。調べるだけムダ。)
そういうバランスの悪さ(というかデータ捏造)があちこちで、というかいたるところで目につく「調査」。これはもう「アンみら」*3認定ものだったのですが。
しかしこういう「調査」の結果を見て、読売新聞(だけではなかったように思いますが)は「『男らしさ・女らしさ』 日本の高校生は意識希薄」というような記事を堂々と書いてしまうわけです。(2004年2月17日付記事)
日本が特異な値を示したのは「女は女らしくすべきだ」との設問で、肯定した人が28・4%しかいなかった。同じ問いかけを米国は58・0%、中国は71・6%、韓国は47・7%が肯定した。「男は男らしく」も、日本で肯定したのは43・4%(米63・5%、中81・1%、韓54・9%)で、4か国で唯一半数を割り込んだ。
ところで。
この調査の中で、「『男子が弱い』と言われるようです。あなたの高校生活でそう感じますか?」(問16)という設問に対する回答は次のようになっています。
日本 | 米国 | 中国 | 韓国 | |
1.全くそう思う | 8.1 | 9.5 | 17.7 | 13.8 |
2.まあそう思う | 28.1 | 45.0 | 37.7 | 36.3 |
3.余りそう思わない | 46.0 | 31.3 | 34.5 | 38.3 |
4.全くそう思わない | 15.1 | 11.7 | 9.1 | 11.2 |
無回答 | 2.7 | 2.5 | 1.0 | 0.5 |
(表が見にくくてすいません。)
他国との比較でも、「男の子が元気がないなんてみんな思ってない」ということですよね。
このほか、「リーダーシップのある」という言葉を「男らしい」と思った割合が最も高いのも日本の高校生(韓国と同じ数字)、「頼りになる」という言葉を「男らしい」と思った割合も、アメリカの高校生は16.9%なのに、日本の高校生は54.8%。「かわいい」「おしゃべり」「おとなしい」という言葉を「女らしい」と思った割合が最も高いのも日本。
……なんだ、「ジェンダー・バイアスまみれ」じゃん。(笑)
つまり、かくもいい加減な「調査」の、限られた設問の答えの傾向だけ取り上げているような記事であるわけですよ。
記者やデスクはなにを考えていたのやら。さっき書いたように、「アンみら調査」ではありますが、少なくとも出てきたデータが示しているのは、もっと、あるいは控えめに言っても、もうちょっと複雑な現実なのではないでしょうか。
では、今回の「調査」はどうか。
気になるのは、前回も採用されていた、「集団質問紙法」と書いてある調査方法です。たぶんこれは、無作為抽出でサンプルとなる個人を選んでいるのではなくて、地域を選択して学校を指定し、その中のあるクラスの全員を対象にする、というようなやりかただと思います。回収率が出ていないのもそのせいでしょう(100%に近いんでしょうね)。だから前回のように女子校が指定されると、まるまる何十人か、場合によっては全学年合わせて100人以上が回答することになるわけですね、きっと。
……なんだ、じゃあ「別学か共学か」なんて、フェイスに入れる必要ないじゃん。「共学校(またはクラス)からサンプルを選んだ」ってすればいいわけだし。
日本は全国11都道府県で11校が対象、ということは、各都道府県1校なんですねー。そうすると、どんな学校を選んだかがたぶんかなり重要なポイントになってくるでしょう。
……うーん、こういう調査方法でいい場合はもちろんあるでしょうが、今回それでいいのかなあ、という気がしてきました。地域とかいろいろほんとは散らばらせなければいけませんが、あまりそのあたりがよくわからない。11都道府県に分かれてるじゃん?とかいわれるかも知れませんが、たとえば宮城県で、仙台(大都市部)の高校なのか、そのほかの地域の高校なのかではだいぶ生徒の構成が異なります。都道府県をちらばらせてもあまりそれだけでは意味がないのです。
それから、日本の高校はかなり偏差値で輪切りにされてしまうところがあります。さらに普通高校>職業高校というような成績の序列もある(調査対象に職業高校在学者は1割ほど入ってきています)。そうすると、すでに成績が思わしくなくて、あまり勉強しないという生徒が多い学校を対象としていることがあるかも知れない。正確にはわかりませんが、そのへん。でも、ランダムサンプリングでないのでその危険を避けられない、ということです。
あとこの質問紙、フェイスシート部分を除いて設問は全部で40あまり。SQなどを入れると80近い質問に答えるヘビーなものです。いや、わたしだったらこんなの作れませんね。有効回答率が下がりそう。学校でその場で書かせる方式だから、できる技だろうなあ。
つまりですね、一つ一つの回答の精度が下がってしまうんじゃないだろうか、ということなんですよ。あまり考えないで回答してしまうかも。これは回答者のモラールや回答を直接依頼する人(この場合学校の先生?)の態度などでも左右されますが。授業の前にアンケート実施して、「時間がないから早く書け」とかせかすと、精度下がります。
……と、前回ほどではないにしろ、なんだか無駄とか誤差とかいろいろ多そうな調査のようです。
まあ、愛国心がどうとかいうところは、調査データよりもやはり記事の側につっこみを入れたくなるので、そのあたりは置いておきます。
設問内容と回答で、いちばん気になったのは次のところです。
問30 あなたの成績は平均してクラスでどのぐらいですか?
日本 米国 中国
1.上、中の上 25.8 51.4 29.3
2.中 37.3 39.2 48.4
3.中の下、下 36.5 7.3 21.2
無回答 0.4 2.2 1.1
先ほど書いたように、クラス丸ごとが対象となっているようなのに、アメリカで半分以上が自分の成績をクラスで「上、中の上」と認識しているって、どういうこと?
いや、アメリカの高校生の認識が間違っている、とかそういうことではなくて、
「そう思わせる教育および/または評価が、学校・学級でなされている」
ということなのかも知れません。まあ、仮説ですが。でも、自己評価が高ければ、勉学に対する意欲ももっとわくかもしれませんしね。高校生を責める前に、いろいろ考えなければいけないことはあるかも。
あるいはひょっとしたら、クラスで成績の良い子だけアメリカでは回答しているのかも知れない(そうでないとはわからないのですよ、この「調査」は)。そうすると、アメリカの高校生の勉強時間が日本の子より長いのは当然なのかも知れません。
あと、「授業中におしゃべりをする」などの可否を問う設問で、選択肢が、「1.絶対にしてはならない」「2.場合によってそんなにこだわらなくてもよい」「3.してもよい」なのは、どうよ?という気がします。これは文化や言語にも左右されますが、日本だと「絶対」とつくと選ぶ人が減るかも。なお、授業などで取り上げる場合には、「絶対にしてはならない」の正反対の選択肢が「してもよい」なのは、バランスが悪いと教える……んじゃないかなと思うのですが、どーですか社会調査論を大学で教えている人とか。*4
……長々と書いてきて疲れたので、このぐらいにします。まだまだ細かいところでいろいろありそうですが。気が向いたら続きもあるかも。(つーか、誰か続けてくり。(笑))*5
そのほか、ここの研究所のHPって初めて見たのですが、なんでこんなにいろいろなものをPDFでいちいち落とさなきゃいけないのとか、なんでLink集がこんなにしょぼいのとか、なんでOperaだと正常に表示されないのとか、いろいろ感じました。(笑)
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■関連リンク
主に日本の高校生の勉強時間の短さについて。
主に「授業時間中の居眠り」の多さについて。(笑)
■はてDでの言及(増補版)
これで産経の記事を参照しているダイアリはだいたいわかるのですが、引っかからないものも含めて、いくつかピックアップ。
ほかの新聞の記事にもたんねんに目を通していらっしゃいます。
二回にわたって報告書本体を丹念に検討しています。
主に読売の社説について。
同じく。
ほかにもありますが、読売社説に対して「うるさい」のひとこととか(笑)、なので省略させていただきます。