「世界侵略:ロサンゼルス決戦」見たよ


1942年2月25日。ロサンゼルスの空で、未確認飛行物体(UFO)を確認する。その後も世界の大都市で数回、目撃が確認される。その目的は、長い年月をかけて好機を狙うための監視だったのだ。そして、2011年、遂にUFOは地球侵略を開始する。最初の侵略地は、ロサンゼルス。侵略が始まってしまったいま、人類の未来はいかに…!? 従来のSF映画に、ドキュメンタリックな戦争映画の手法とUFOの実録などを取り入れて、リアルな地上戦を描くSFアクション大作。

『世界侵略:ロサンゼルス決戦』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


ネットでは賛否両論渦巻いておりますが、わたしは背もたれにもたれてるのさえももどかしくて前のめりに座って観ちゃうくらいのめり込んで鑑賞しました。最初から最後までどこにもつまらないシーンが無いと言えるくらいおもしろかったです*1。


実は先日「スカイライン」を観たときにも思い知らされたのですが、どうもわたしは地球が侵略される話がかなり好きなようです。そんな侵略モノ(というジャンルがあるのかどうかわかりませんが)好きのわたしから見た本作の印象は、侵略者から圧倒的な戦力差を見せつけられて打つ手もなく追いつめられていく緊張感とその危機をなんとか潜り抜けようともがく緊張感のバランスがとてもよく、最終的にはそれなりのカタルシスが得られる点も非常にわたし好みだなと感じました。地球が侵略されてしまう危機感を味わいながらも、そこからの巻き返しも期待できるそのバランス感覚がよかったです。


さて。
侵略という行為を文章で表すと「暴による略取」のことですので、侵略モノというのは侵略する側とされる側の間にはれきぜんとした戦力差があることをちゃんと見せつけるべきだと思います。侵略する側/される側に有意な力の差がない、つまり対等な力量の者同士が争う場合にはそれは侵略ではなく戦争なのです。侵略と戦争の違いをはっきりと区別するのは難しいと思いますが、言うなれば"いじめ"と"ケンカ"の違いみたいなもんだとわたしは理解しています。一方的に蹂躙することが侵略であり、規模が大きいだけで要はいじめなんですよ。
本作は侵略する側とされる側の人間の間にある力の差をとても簡潔な表現で観る人に伝えてくれ、これは戦争ではなく地球に対する侵略であることを明確にしてくれたのはとてもうまいなと感心しました。


例えば、侵略される側の人間は宇宙から飛んできたものがただの石ころではないことを着水直後の映像から突き止めたり、さまざまな武器や道具を駆使して対抗してみせることで高度な文明をもっていることを示してみせますが、対する侵略する側は地球に到着する直前まで自分たちの存在にまったく気付かせないようにしたり圧倒的な火力や技術力で軍隊を圧倒してみせたりと、これだけ科学が発達した人間の力をはるかに上回ってみせるわけです。人間はすごい!→でも侵略者たちはもっとすごい!!という見せ方をすることで、力関係と言いますかどっちが上なのかをあっという間にはっきりさせているんですよね。


そして何よりもグッときたのが、侵略に至るまでのプロセスが簡潔なのがとにかくいいんですよ。
最初に書いたとおり、侵略っていうのは結局は一方の我欲を押し通すための理不尽な行為ですからそこには侵略される側が納得できる理由なんてなにも無いんです。欲しいものがあるから奪う、侵略したいからする。ただそれだけなんですよ。そしてこの作品はちゃんとそうなってたんですよ。変にストーリー仕立てにせずに、とにかく侵略しにきたよーってところから始まったわけでそれだけでもう素敵過ぎます。


とてもよい作品でした。


(関連リンク)


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*1:寝ていてつまらないシーンに気付かなかったわけではありません