アジャイルサムライ 達人開発者への道

アジャイルサムライ−達人開発者への道−アジャイルサムライ−達人開発者への道−
Jonathan Rasmusson 西村 直人

オーム社 2011-07-16
売り上げランキング : 230

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アジャイルを知るためにまず読むべき本は何か?この問いへの答えとして本書以上に相応しいものはないだろう。アジャイルの基本、実践的手法、そして奥義…知るべき全ての情報がそこにあり、それでいて堅苦しくなくて面白い!

オーム社様より献本していただきました。ありがとうございます。

ちょうどいい

本書はSamuraiなどという尖った名前から得られるイメージに反して、"ちょうどいい"本である。

さて、アジャイルっていうのを何となく知っていて、ちょっくら試してみたいなぁ、と思っている人がいるとする。または、次の現場がそういう取り組みをしているから、予習しておきたいなぁ、という人がいるとする。そうした、いくらか興味を持っていますという段階のアジャイル入門者に、まずこれを読んでおきましょうとお勧めしたい書籍はなんだろうか?

アジャイル開発について解説した書籍は大変多いから、いろいろなタイトルが思い浮かぶと思うが、私個人の意見を言わせてもらうと、"入門者に最適な本"はたぶん無い。

大変詳しい本、概要をつかめる本、個々のプラクティスを掘り下げた本、いやおまえ技術書っていうか啓蒙書か哲学書だろうそれ?という本…いろいろある。しかし、その中に入門者があまり気構えずに読み通せそうなボリュームで、まずはこの一冊を読めば大丈夫だ!とお勧めできる決定的な書籍を知らない。複数冊?少なくとも現時点ではさして熱心なわけでもなかろう入門者に、複数冊を完読するだけのモチベーションを期待するのは無茶というものである。

だが、その問題はもはや消滅した。本書こそが決定版となる一冊だからだ。

本書は理論と実践の比率、読みやすさ、ページ数、価格、そのどれもが最適なボリュームになっていると感じた。このバランスが本書の最大の強みだと思う。アジャイラーの面々がいろんな本を読んで、現場でも試行錯誤して、苦労しながらも作りあげてきたプロジェクト運営に必要十分なモデル。それをポンッと出して本にしたらこうなりました、といった案配の本なのだ。しかもインセプションデッキ*1のような本邦初公開のスペシャルメソッドも付いてくる。いやこれはひど…違う、すごい。

アジャイル入門者の皆さん、とりあえずこれ一冊読んでおこう。それでアジャイルプロジェクトはスタートできる。もちろん本書でプロジェクト運営の全てを知ることなどできないが、より詳細な知識はそれが必要になってきたときに改めて学習すればいい。まさにアジャイルプロジェクトを始めようとする今、アジャイルプロジェクトに加わろうとする今、必要となる知識は300ページにも満たない本書に全て揃っている。

PDF版もあるよ!

本書の次に読むと良い本

もちろん、より知識を深めたくなったら、良書はたくさんあるから好きなだけ読めばいい!

このあたりをお勧めしておきたい。

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
Mike Cohn マイク コーン 安井 力

毎日コミュニケーションズ 2009-01-29
売り上げランキング : 8314

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アート・オブ・アジャイル デベロップメント ―組織を成功に導くエクストリームプログラミングアート・オブ・アジャイル デベロップメント ―組織を成功に導くエクストリームプログラミング
James Shore Shane Warden 木下 史彦(監訳)

オライリージャパン 2009-02-18
売り上げランキング : 76855

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣
Venkat Subramaniam Andy Hunt 木下 史彦

オーム社 2007-12-22
売り上げランキング : 15748

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

入門者じゃないし

入門者ではない?そうか、じゃあ読んでおこうか!いやいや、「俺はもうわかってるし」という慢心が一番危ないのだよ。わかってるつもりで読み進めてみると、うっかり取りこぼしていたエッセンスを目の前に突きつけられてハッとすることになると思う*2インセプションデッキもあるし!そもそも、これから入門者に勧めようというのに、勧める当人が読んでないのでは格好が付かないだろう?

感謝

ところで、なんで本書を献本していただけたかというと、本書のレビューに参加する機会に恵まれたからである。@さん、声をかけてくれてありがとうございました。これまでにない貴重な経験をさせていただきました。翻訳って大変な作業なんだなぁ!また呼んでください(お

*1:プロジェクトのスタートアップを大いに助けるシンプルなメソッド

*2:もちろん、まさに自分が体験したのでそう書いております。