咲-Saki-のエイスリン・ウィッシュアートの名前と能力に隠された意味とは

または、宮守女子の謎に迫る その3 エイスリン・ウィッシュアート編 になります。宮守の他のキャラクターの考察まとめはこちらです。

咲-Saki-阿知賀編が終わっちゃいましたね・・・。もちろん後3話をいつか放送する事は決まっていますが、それもまだ大分先の話なのでしばらくは寂しい日々が続きそうです・・・。
ただ、今回の記事は阿知賀編とは全く関係のない咲-Saki-本編について。事の始まりは次の記事を偶然見かけた事です。

そして宮守女子のモデルとなる遠野高等学校情報ビジネス校。

宮守駅から徒歩15分ほど。咲-Saki-で実在する学校がちゃんと登場するのはおそらく初めてじゃないかと思いますが、平成22年3月に閉校となっています。調べてみると国際交流が盛んな学校でニュージーランドとの交換留学制度があったそうで、ニュージーランド出身のエイスリンがわざわざ宮守女子へ留学しにきたのはこの遠野高等学校情報ビジネス校の制度が咲-Saki-の設定に反映されたためと考えられます。
咲-Saki-で宮守女子のエイスリンがニュージーランド人である理由 – さざなみ壊変


こちらの記事が非常に面白かったのですが、読んでいてふと気になる事が。
「こんなにこだわりを持って細かい設定を付けているのなら他の設定にも何か由来や意味があるのかな?」
早速ネットで色々調べてみたところ、エイスリンについて個人的に非常に面白い仮説が出来上がったので今回はそれを紹介したいと思います。
ただ、仮説の論拠となってる資料に関して僕は全くの門外漢で英語もあまり得意ではないので、ひょっとしたら間違っている点も多々あるかもしれません。なので、ここ違うよ!ってところがあれば指摘してくださるとうれしいです。
後は結論までがかなり長いので読めるか、こんなもん!って人は最後のまとめだけ見てください。

  • 彼女の名前に隠された意味について


さて、エイスリンのフルネームはアルファベットではこのように綴ります。

Aislinn Wishart ですね。
彼女の能力はシロ曰く、

との事。これと彼女がニュージーランド、つまり英語圏の出身である事から恐らく彼女の下の名前は wish(望む)+art(絵)から名付けられたと思われます。ここまではすぐに思いついたんですが、彼女の上の名前の由来がよくわからない。そもそもAislinnってなんだか英語っぽくないし・・・と、不思議に思っていたんですが色々調べているとついに名前の意味を発見しました。
こちらのサイトより引用させてもらいました

Ashling, Aislin, Aislinn
From aislinge which means “a vision” or “a dream,” Aisling is the name given to a popular poetic genre from the 17th and 18th centuries in which Ireland is personified as a beautiful woman in peril.
A very popular name in Ireland now.
Irish Girl Names - Irish meanings and origins for baby girls names

エイスリンは実はアイルランド系ニュージーランド人だった!というなにげに結構びっくりな事実はとりあえず置いといて、ここで注目するのはエイスリンという名前がアイルランド語で「夢」を意味する言葉であること。
実は彼女の名前はそれぞれAislinn(夢)、wish(望む)、art(絵)を表し、つまりは名前がそのまんま彼女の能力を暗示していたんですね〜。

ちなみに上の英文をよく読んでみると「エイスリンという名前は17世紀から18世紀のアイルランドにおいて、危機に陥る美しい女性を暗示する名前として詩によく使われていた」(和訳間違ってないですよね?)との事。
なんという事だ、エイスリンがまこの餌食になる事は彼女が名前を付けられた時点で避けられない運命だったというのか・・・!!

2/7追記 もう少しエイスリンの名前について調べてみたんですが、彼女の名前のAislinnはこの言葉が生まれたアイルランドでは「エイスリン」じゃなく「アッシュリン」と呼ぶ方がより正確みたいです。ただ、英語圏だと「エイスリン」と綴りそのままで呼ばれちゃう事も多いみたいですね…。
後はファミリーネームのwishartも実在するみたいで、こちらは名前の生まれはスコットランド。元々の意味としてはwiseだとかbarveだとかboldなどみたいです。・・・が、ここは元の意味ではなくやはりwish+artの意味で立先生はこの名字を採用したと見るべきでしょうね。

閑話休題。さて、ここまでわかったところでまた一つの疑問が生じます。確かに彼女の名前の意味ははっきりとわかりました。けれど、まだ能力の由来全てが明らかになった訳ではありません。つまり、

これですね。先ほどより具体的な「超高確率で13巡目までにテンパイする」という彼女の能力。普通だと無茶苦茶強い能力ですが、魑魅魍魎が跋扈する咲-Saki-の世界では正直ちょっとスピードが遅くてイマイチじゃね?という気もします。この13巡目という数字がどこから出てきたのか、というのが次のテーマです。

  • 何故「13」なのか?


これを解くカギはエイスリンのご先祖様の母国、アイルランドに伝わるケルト神話にあります。
「ケルト 13」で色々ググっているとケルト民族が昔使っていた「樹の暦(Beth-Luis-Nion)」というのを見つけました。この暦に関してはあまり資料が見つからなかったのですが、まず重要なのはこの暦は1年を13か月に区切った太陰暦であるという点。
次に下の表に示した月の一覧を見てください


こちらより表を引用させてもらいました
【カレンダー】ケルトの暦 - あれ?誰だっけ? - アットウィキ

英語のページですがこちらも参考に
Celtic Tree Calendar - Ogham Alphabet

月の名前 名称 グレゴリウス暦
1月目 Birch Moon カバ 始まりの月 12月24日-1月20日
2月目 Rowan Moon ナナカマド 霊的ヴィジョンへ旅の月 1月21日-2月17日
3月目 Ash Moon トネリコ 水の月 2月18日-3月17日
4月目 Alder Moon ハンノキ 自分を導く月 3月18日-4月14日
5月目 Willow Moon ヤナギ 魔女の月 4月15日-5月12日
6月目 Hawthorn Moon サンザシ 妨害の月 5月13日-6月9日
7月目 Oak Moon ナラ(樫) 熊の月 6月10日-7月7日
8月目 Holly Moon セイヨウヒイラギ 孤立の月 7月8日-8月4日
9月目 Hazel Moon ハシバミ 賢明の月 8月5日-9月1日
10月目 Vine Moon ブドウ 祝いの月 9月2日-9月29日
11月目 Ivy Moon ツタ 反発の月 9月30日-10月27日
12月目 Reed Moon アシ 暖炉の月 10月28日-11月24日
13月目 Elder Moon ニワトコ 完成の月 11月25日-12月22日

実物はこんなカレンダーみたいです

一番最後のニワトコの月のところを見てください。「完成の月」とありますよね。ニワトコの月とは昼と夜、生と死など全ての始まりと終わりを司る月・・・らしいのです。
つまり、これが彼女の「13巡目までにテンパイをする」という能力の由来なのではないでしょうか。これならわざわざ小林立先生がアイルランド系ニュージーランド人という凝った設定をつけた理由も理解できます。
実はこの説が正しいとすると他にも納得できる点があります。それはエイスリンというキャラの容姿の謎です。

  • エイスリンの容姿と彼女のキーアイテムに隠された秘密


まずはこちらの画像をご覧ください。

次にこちらの画像

この二つはそれぞれエイスリンのカラーと白黒の1コマです。で、僕はいっつも咲-Saki-で彼女が登場する度に思ってたのですが、カラーじゃない時の彼女って・・・なんか凄く白いですよね。(素人くさい表現ですいません(苦笑))
白人だからそれを強調したいのかな?とも思ったのですがそれにしても白黒の時にここまで目の塗りが薄いのは彼女だけです。カラーではむしろ目の色は濃い方なのに。
ちなみにエイスリンと目の色が比較的近い池田の画像はこちら


で、次にエイスリンを象徴するアイテムといえばこちら、彼女の耳にいつもある油性ペンです。


彼女が使ってるペンは赤い色のペンです。しかし、普通なら黒のペンを使うと思うんですが、何故赤のペンなのでしょうか?
最初は黒のキャップだとあんまし可愛くないから赤にしたのかなぐらいに思ってたんですが、先程の彼女の能力は「樹の暦」から生まれたと考えるとこの謎も明らかになります。

彼女の能力のもととなったと思われる樹の暦から、先程と同じニワトコの木に注目してみます。
ニワトコの木が、つける花と実がこちら

花

実

とても色鮮やかな白い花に赤い実をつけるんですよ。どうやらニワトコの木の妖精は冬の象徴でもあるみたいで、それもこの花を見れば納得です。
つまり、彼女のキャラクター造形はニワトコの木のイメージを基にして作られたのではないか、というのが僕の仮説です。


追記:先日、立先生のHPにて咲-Saki-のキャラクターの身長と誕生日などのデータが公開されました。

咲-Saki- Characters

このデータによるとエイスリンの誕生日は7月25日。そして、7月25日の誕生花にはニワトコがあります。これでまた一つエイスリン=ニワトコ説の可能性が高くなったといえるのではないでしょうか。

  • まとめと残された疑問点


これまで長々と語ってきましたが要約すると今回の仮説のポイントは

  1. エイスリン・ウィッシュアートという名前はそのまま彼女の能力を暗示している。
  2. エイスリンの具体的な能力はケルト人がかつて使っていた「樹の暦」が元ネタとなっている。
  3. そして彼女の容姿はニワトコの木をイメージとして産み出された

の3つとなります。


いやぁ、今回は調べていく内に次々と興味深い事実が見つかってとても楽しかったです。そして小林立先生のキャラクター設定の半端ないこだわりっぷりに改めて感嘆してしまいました。もちろん全て

という可能性もありますが。まぁ、後半部分は自分でもちょっと強引な気がします(^^;)


さて、ここからは今までの仮説が正しいとすると新たに生まれるちょっとした疑問点について。

勘のいい方ならもうお気付きかもしれませんが、宮守女子にはエイスリンと同じく暦が元ネタの能力を持ったキャラクターがもう一人います。

ちょーかわいい六曜使い姉帯豊音さんです。

他にも二人はどちらも宮守の外からやってきた(留学生と転校)存在であり、麻雀部に後から入部したという点も共通していますね。これって只の偶然なのでしょうか?
咲-Saki-のファンの間では宮守女子のキャラは全て遠野物語などに登場する妖怪がモチーフになっている、というのは有名な話ですが、じゃあそもそもなんで姉帯さんは六曜の能力を持っているのか?という疑問はこれまであまりされてこなかったように思われます。二人の共通点からこの謎が解き明かされる、、、事もひょっとしたらあるかも?この点についてはまた調べてみたいと思います。
後はエイスリンの名前にこれだけの意味がこめられているのなら、臨海女子のネリー・ヴィルサラーゼなども名前に彼女の能力を解き明かすヒントが隠されているかもしれませんね。


それでは、最後に。こんな駄文を最後まで読んでくださった方がもしいらしたら、本当にありがとうございます。
なにぶんこんな長いエントリーを書くのは初めてなのでもし読みづらい所があれば申し訳ありません…。