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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

細野不二彦「電波の城」が2週連続で「武道必修化とその危険性」をテーマに。

明日(月曜)発売の号で、このあと話すテーマの掲載号は店頭から消えてしまいます、遅れすいません。

というわけで、テレビ局を舞台に野心と陰謀、ジャーナリスト魂や芸人魂が交錯する傑作・細野不二彦の「電波の城」。
これまでもフィクションという形ながら、大晦日の巨大格闘技興行にまつわる闇人脈とテレビ局・芸能界の癒着、八百長話などを”テレビ三国志”の一環として描いていましたが、
2011年11月に2回掲載された作品の中で「武道必修化(の危険性)」が取り上げられていました。

一応、要約


・主人公である、野心満々の美人女性キャスターには、かつて付き合った記者がいた。
 
・この記者は野心が無く、会社内の遊泳術もヘタだが、報道に関しては超有能で誠実。今は自分の理想を求め、主人公と別の弱小局に転職し、調査報道を担当している。
 
・この記者がいまテーマにしているのが「来年度に武道必修化が決まっているが、武道(柔道)の部活や授業は非常に大きな事故が多い。このまま必修化を進めていいか?」というもの。大きな柔道大会の中継の仕事を局でもしていた主人公は、「こんなところからテーマを見つけて、大きな問題点を訴えるなんて。すごいわ…」と既に別れたその記者の才能を再度尊敬し、羨望と愛憎を・・・

といった部分が前半(先先週)の話。後半は、前半にもうひとり重要人物として登場した、俗っぽい分だけ重要人物(文科省副大臣)とのコネもある中年記者も登場し、ストーリーに絡んできます。
 
実はこの決着の付け方が、かつての氏の傑作「ギャラリーフェイク」を彷彿とさせるような、鮮やかな前後篇の「短編」となっておりまして…かつて「アオイホノオ」で焔燃に「先を越された!!」と地団太を踏ませた、つまり80年代前半にデビューした超ベテランが、いまだにこういう質のストーリーを描けるというのは奇跡に近いんじゃね?
ほんとに手塚治虫のポジションにいま、現在進行形で近づいているのはこの人じゃね?
と感心しきりなのだが、いかん本題に戻らねば。

いや、本題とも絡んでいるんだよね。
「武道必修化の実施が来年に迫っているが、本当にそれでいいの?」という話、たしかに何本かのドキュメンタリーや新聞記事にもなり、その問題を訴える団体も発足するなどしているが、まだ社会的には大問題として扱われているとはいいがたいと思う。
というか、実際に報道量が大量だったら「そんなテーマを発掘するなんてこの人はすごい!」という材料にはならないわな。
 
これを漫画の材料にしたのは、
そういう問題意識があったのか。
それとも、上記のように「有能な記者が発掘した地味ながら重要なテーマ」という小道具としてぴったりだった、以上の意味が無いのか
 
・・・それはわからない。けどどっちであっても、漫画家としての細野氏の”現役のすごさ”を示す一挿話ではある。

さて、漫画から現実に話をもどしたとき、
実際の危険性はどのようなものであるのか、
何重にも新たな対策をとり、慎重に実施するのか、
それともいったん延期のような措置が取られるのか(その可能性は、現在のところ薄いようであるが)。
あらためて注目したい。

【再掲載】参考リンク集

※外部ブログ
◇被害者の会
http://judojiko.net/
◇togetter-来年度から始まる中学の武道必修化の危険性について
http://togetter.com/li/79702
◇「畳の上の警告」
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20110606/p1
 
※当ブログの過去記事
■「学校の柔道事故」で被害者の会結成。その意見への賛否を越え、向き合うべき問題。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100329#p3
■ジ・アウトサイダーやアマ修斗組技…そして俺の必殺技が実は危険すぎた件について(マジ)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080702#p2
■「そもそも教育では、リスクとの兼ね合いで何を教えるべきか」について
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101219/p2
■武道必修化の議論の続き。そも「体育」は必要か。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110607/p2
■増田俊也氏が、武道必修化と安全性について語る
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101223/p3