あんな本こんな本あったでしょう

「そういや昔、漫画で読む百人一首みたいなの読んでたなー」とふと思って、ちょっと調べたらそのものズバリを発見。

一首一首の背景やストーリーなんかが2Pの少女漫画風タッチで描いてあって、漫画に飢えた環境だったこともあってかなり読み込みました。好きなコマを薄紙にトレースしたりしてた。今記憶に残ってるのは、「大江山どころか天橋立も見たことないよ」っつうやつと、「なんか朝早くに綺麗な花見つけたから摘んだら袖濡れた」みたいなやつと「一晩過ごした男に朝帰りされて布団冷たくて泣ける」的なやつです。有意義な情操教育だったと思います。
脳のフタが開いたので、ついでに昔読んだ本の記憶を掘り起こしてみました。

からすのパンやさん

からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))
カラスの町「いずみがもり」にある、1軒の売れないパン屋さん。
お父さんお母さん、4羽の子ガラス、家族みんなで、楽しい形のパンをどっさり焼いた。
パンを買いにやってきたカラスの子ども、おじいさん、おばあさん、そしてなぜか消防自動車、救急車、テレビのカメラマンまでやってきて森は大騒ぎに…。

見開きページにビッシリ描かれた色んな形のパンがとにかく美味しそうだったのと、子供カラス達がパンを奪い合うくだりにも欲求をガンガン刺激されました。焦げたパンですら美味そうだった。子ガラスの赤いリンゴちゃんと白いオモチちゃんが好きでした。


ぶたぶたくんのおかいもの

ぶたぶたくんのおかいもの
「ぶたぶたくん」がはじめてのおつかいにいくおはなしです。
パンやさん、やおやさん、おかしやさんとまわるうちに、からすのかあこちゃんやこぐまくんが合流します。
お買い物が終わったら早く戻らなきゃ...ずいぶん遠くまで来てしまったと思ったぶたぶたくんですが、戻るよりも先へ行くほうが近道だといわれ、心配しながらも進んでいくと...

今、大人の目で見ても禍々しいイラスト。親が何を思って与えてくれたのかは謎です。
パン屋のオヤジが超ファンキー。「かおつきパンのじょうとうをあげよう」大人なのにチビりそうです。
とにかくゆっくり喋るお婆さんのいるお菓子屋さんでキャラメルを買うくだりが羨ましかった。


せんたくかあちゃん

せんたくかあちゃん (こどものとも傑作集)

せんたくが大好きで、とにかく何でもかんでも片っ端からタライと洗濯板で洗ってしまうかあちゃんが、ある日空から落ちてきたちょっとイジワルなカミナリ小僧までタライにぶちこんでパンパン干しちゃって、皺を伸ばして乾かしたら「綺麗なジャイアン」ばりの「綺麗なカミナリ小僧」が出来ましたっていう、簡単に言うと「汚物は消毒だぁ〜!」ですね。
洗濯物(服・靴から色んな日用品まで)がズラっと庭に干されてる絵が好きでした。



Richard Scarry's Cars and Trucks and Things That Go

スキャリーおじさんの動物絵本

私が持っていたのは日本語版で、シリーズ何冊かがセットになったものでした。
そのうちの1冊にあった、「毎ページごとに、絵のどこかに隠れている小さいコガネムシ(?)を探す」っていうのが大好きで、祖母と一緒に飽きもせず延々と探していました。そんだけやってるのに毎回探すのに迷ってたっていう辺りに私の知能の限界が見えます。
あとはパン小僧が窯から逃げ出す話や、みみずのローリー(ミミズなのに直立する)が印象的です。


はらぺこおなべ


ごちそうづくりにあきたおなべは、あたしもたべようと、ぱくぱくはじめたけど、いくらたべてもおなかはペコペコ。

片手なべのばあさんが「わたしゃ たべてくらすのさ」と家出して、色んなものを次から次に食べていくお話。
子供心にほの怖かった記憶があります。
オチは忘れていたんですが、鶏やら牛やらバクバク食べて、最終的には「なべばあさん〜宇宙へ〜」っていうことらしいです。グローバル!


オバケちゃん


オバケちゃんは、パパおばけとママおばけと、森のおくの木のほらあなで、しずかにくらしていました。
ところが、ある日、森の木をみんなきってしまおうという人間があらわれたのです。さあ、たいへん!なんとかして森をまもろうとオバケちゃん一家は、ちえをしぼります。

新装版『オバケちゃん (オバケちゃんの本1)』では挿絵の人が変わっているみたいです。
くもの糸で編んだハンモックや一口ごとに味や色の変わる「おばけジュース」がたまらなく魅力的でした。


ぴょこたんのなぞなぞ・にゃんたんのゲームブック

なぞなぞあそび (1) おはようぴょこたん (ぴょこたんのあたまのたいそう (1))



にゃんたんのゲームブック (ポプラ社の小さな童話―にゃんたんシリーズ)

どちらもシリーズもので、2〜3冊ずつ持っていました。


こまったさん

「こまったわ」が口癖の花屋のこまったさんが、不思議な事件に巻き込まれつつ料理を作るシリーズ。サンドイッチの他、カレー(海でイカを捕まえる)やオムレツ(木に卵がなってる)なんかもすごく美味しそうでした。「不思議なヒヤシンスの球根を水に浸したら、根っこからラーメン(麺)が生えてきた」っていうのは子供心にすごく魅力的だったんですけど、今思うと色々危ないですね。子供、食いかねない。
続編の「わかったさんシリーズ」はお菓子のレシピが中心になってます。


妖怪・おばけ

「河童のクゥ」を書いた人だと知って驚きました。





江戸を舞台にした短い怪談や妖怪話をおさめたシリーズ。落語を元にしたのが多かったような気がします。



駅前の広場で,タイトルだけの「おばけしんぶん」をひろったタツヤは,その新聞の発行所であるおばけやしきの探検に……。



大どろぼうとまじょのレストラン (新しい幼年創作童話)

どろぼうが忍び込んだ屋敷にあった大きな冷蔵庫は、魔法に失敗して冷蔵庫になってしまった魔女だった。どろぼうは、料理が何でも出てくるその冷蔵庫(魔女)を使ってレストランを開店しようとするも、料理はどれもひどい味でお客はカンカン。魔女は元の姿に戻るため、魔法の掃除機に乗って魔法学校から薬を盗み出してきてくれとどろぼうに頼む。薬で元通りの美しい姿になった魔女は、残る薬でどろぼうを料理の上手なイケメンコックに変身させて、2人のレストランは大繁盛。
同じ町を舞台に『大どろぼうシリーズ』として「わかったさん」的なシリーズが展開されているみたいです。そこらじゅうにどろぼうのいる町。


かぎばあさん

ふしぎなかぎばあさん (あたらしい創作童話 6)

下校中に家の鍵を無くしてしまい、途方に暮れている男の子のところに現れた「かぎばあさん」。手提げ袋から何十本もの鍵がぶら下がった鍵束を取り出して、男の子の家の鍵を開けたばかりか、あがりこんで料理まで作ってあげちゃうっていう、ちょっとしたホラーです。違います。
ばあさんが作っていた「パイナップルをのせたハンバーグ」っていうのが自分の想像の範囲外で、やたらと印象に残っています。
私は2〜3作しか知らなかったんですけど、その後は名探偵になったりアメリカに行ったり漫画教室ひらいたり三塁打打ったりことわざ教室・ミステリー・ゲームブック化と、結構な経過をたどったようです。


ママはおばけだって!

おばけだとか、大蛇だとかいうのは、昔話にしかでてこない怪物だと思っていたけど、そうじゃないんだ。近所でも評判の美人で、かっこいいウチのママが、実はお化けだなんて…。まさか、そんなばかな…。

パパとママの喧嘩中、寝たフリをしていた主人公。ふと目を開けた時にママの目が金色になって口が裂けているのを見てしまって以来、自分のママはお化けなんじゃないかと疑い始める。ある日の学校帰り、クラスメイトの女の子に「私の家に大蛇がいる」「ママは大蛇かもしれない」と泣きつかれ、一緒に確かめようと女の子の家に行く事に。「大蛇は友達から預かったもの」と言う女の子のママに一安心し、何事もなく過ごした後、忘れ物に気づいた主人公が引き返すと、そこには大きな蛇が。
直後、気絶した主人公が目を覚ましたのは家のベッド。「学校の帰りに家の前で倒れていた」「夢でも見たんでしょう」と言うママ。翌日、女の子に尋ねてみても、「私の家に来てなんていない」と言われ…。といった感じのSF(スコシ・フシギ)な感じのお話。当時の装丁が見つからないのが残念。
同じ作者の『ボーイフレンドはまじめなプッツン (山中恒みんなの童話)』も読んでました。


いやいやえん

いやいやえん (福音館創作童話シリーズ)

保育園を舞台にした短編集。どの話も若干薄暗いというかドライで子供向けらしからぬ空気がある本でした。
掃除中、机の上に乗っていたのを怒られた男の子が、「ちこちゃん(クラスメイト)がやっていたから真似しただけ」と言い訳をしたら、「じゃあ何でもちこちゃんと同じにしなさい」と、ちこちゃんと同じワンピースを着せられ、どんなに嫌がってもちこちゃんの行動がそのまま自分に反映されるようになり、果ては自分の家に帰ろうとしてもちこちゃんの家に向かってしまうとか、「いやいや」と親に反抗してばかりの子がなんでもありな「いやいやえん」に放り込まれるとか、子供の心にやんわりとした傷をつけてくれます。
遠足に出かけた男の子が、「リンゴ山・モモ山・バナナ山・みかん山には行ってもいいけど黒い山にだけは入っちゃダメ」っていう先生の言いつけを破って黒い山に入ってしまい、鬼に追いかけられて木の根の間をくぐりながら逃げる話が印象的でした。あの山に行きたい。


ちびっこ吸血鬼

ちびっこ吸血鬼はミステリーがおすき (ちびっこ吸血鬼シリーズ)
ホラーやミステリーが大好きな男の子、アントンがひとりで留守番をしていると、窓に人影が。その正体は吸血鬼の子供、「ちびっこ吸血鬼」のリュディガーだった。それからリュディガーは頻繁にアントンの部屋の窓に現れるようになり、リュディガーの妹のアンナも加えて冒険をしたり、トラブルに巻き込まれたりしながら心を通わせていく。 親友は吸血鬼、ガールフレンドも吸血鬼というアントンの日々を綴った物語。

ドイツの児童書の和訳モノです。カタカナに弱いので、とにかく人の名前を覚えるのが大変でした。去年ついにシリーズ完結したらしいと知ってびっくり。(日本語版は発売未定)


ランドセルは魔女*1

親戚のお姉さんから、上等のランドセルを譲り受けた主人公。そのランドセルから聞こえる声に促され、そのとおりに過ごすうちに、成績が上がり地味だった主人公がクラスの人気者へと変わっていく。しかしそのうち、ランドセルはクラスメイトを仲間はずれにしたりいじめろといった指令を出すようになり、主人公は自己嫌悪を感じながらも恐怖のあまり逆らえず…といった感じのお話。
いじめの描写のえぐさや魔女の恐ろしさもあいまって、ザ・トラウマです。
小学生の時、図書館で借りて読んだ後は、その本に触れるだけで何かがうつってしまうんじゃないかと思わずに居られなくなって、私の中で"「ランドセルは魔女」は魔女"みたいな状態になってました。


おまけ

ゆうれいママにSOS! (創作こどもクラブ)

主人公・ナナコのママが交通事故で死んでから1年。ナナコの傷も癒えないうちに、パパは謎の美女と再婚しようとしてる!助けてママ!というわけで、天国からママの幽霊がコンニチワして事件解決なお話。
小学校の「クラス文庫」みたいなコーナー(それぞれが家から本を持ち寄って、クラス中で読み合えるようにする)に置いといたらいつの間にか無くなってたんですが、ある日親友のS子ちゃんの家で全く同じ物を発見。「ウチも買うてん」と言うS子ちゃんに何の反論も出来ず、それ以降、S子ちゃんに本を貸す時は分かりやすい場所に1ヶ所・分かりづらい場所に2ヶ所、自分の名前や目印を書くようになりました。そんな、おばあちゃんの知恵袋。


おしまい

上手く説明出来ないんですけど、単に「読んでた!懐かしい!」っていう事じゃなく、思い出すと胸の奥底がモヨっと動くような感覚がある(自分の中に何らかの根を残している)ものを選んでみました。まだまだ思い出していない何かがあるような気がします。
この記事で「私もこれ読んでた!」という風に、誰かの記憶のフタを開けることが出来たなら嬉しいです。

*1:画像はこちらのものを使用させていただきました。「ここあな韓国ライフ」:本 いっぱい購入♪ (in 韓国)