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プロ野球から見える、ワーキングプア、二極化問題

私は、見ていないのだけれど、07年12月15日放映のNHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」という番組があったそうです。NHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」の感想を読んで、番組の内容を知りました。



どうも、これから本格的な二極化が進んでいきそうですよね。職種間での二極化、正社員とパート、派遣の二極化から、職種内でもドンドン二極化が進みそうです。

会社から、「職があるだけマシだろう」と居直られる人。

会社から、「どうか働いてくださいよ」ともみ手をされる人。

に。





最近のスポーツのニュースを見ていると、私たちが進む世界の未来図となるものが、プロ野球の世界に見えているような感じがします。





中日の福留選手が4年4800万ドルで契約しました。巨人も、オファーを出していたと思うのですが、たぶん初めて「お金の競争」で巨人は負けたのではないでしょうか?あまりの「日米の金額の差」に、完敗です。

広島の黒田投手も、3年3520万ドルで契約です。広島での年俸の5倍という事だそうです。

過去の日本人の選手の活躍の結果を見て、大リーグの方では、「日本で成績を残した選手は大リーグでも活躍する」という評価がされたのでしょう。





今までの大リーグ行きは、「給料は下がるかもしれないが、やりたい事がやれるので」という理由で大リーグを目指している選手が多かったと思います。しかし、それも今年が転機の年になるのでしょう



「日本で働くよりたくさんの給料が稼げるので、大リーグを目指す」という元年に。


今までは給料が下がる可能性が高いので、大リーグを諦めていたような超一流選手達も、これからは、こぞって大リーグを目指すようになってしまうのではないでしょうか?





今までは、「超一流選手の中の一部の変わり者」だけが大リーグを目指していた時代。

これからは、「全ての超一流選手」が大リーグを目指す時代に流れていく。





そうなると、日本のプロ野球はどうなるか?当然、対抗策をとっていくでしょう。このままいけば、日本のプロ野球は、メジャーリーグの2軍になってしまいます。「スターがいないプロ野球」には魅力はありません。「スターが活躍するプロ野球」はNHKのBSで見ることができるのです。





そうなると、ますますプロ野球ファンが減っていく。テレビでの放映権料も視聴率低下に伴って下がっていく。そうすれば収益は更に悪化していく。必然として出てくるのは、「カネで大リーグに行こうとする選手に、同じくらいのカネ」を用意して「スター」を引き留める事になるでしょう。





今回の福留選手のようなケースであれば、メジャーから15億のオファーがくれば、巨人も15億出すようになる。そうすると、既存の選手は面白くありません。高橋や上原などの同等のプレイヤーが腐ってしまいます。だから、それらの超一流選手の流出を防ぐためにも、彼らにも同等の待遇をしていくしかない。





それでは、「超一流選手の原資はどうするか?」という話になってくる。マーケットを拡大するか?それとも、「超一流以外の普通の選手の給料を減らすか?」ということになる。当然、両方を目指すということになるのでしょう。



結果、普通の選手の給料はドンドン下がる。特に下がるのが2軍の選手達。これからは、「育成枠」といわれる年俸500万以下の選手達がドンドン増えてくるのでしょう。そして球団を支えている裏方さん達。今でも、彼らは「好きな仕事についているからいいじゃないか」とばかりに過酷労働を強いられていますが、この状況は更に過酷なものになっていくのでしょう。





この話は、プロ野球に限った話ではないと思うのです。一般の企業の世界でも同じ事が、小さなスケールで行われているだけだと思います。

会社から、「職があるだけマシだろう」と居直られる人=育成枠選手や裏方さんのような人

会社から、「どうか働いてくださいよ」ともみ手をされる人。=スター選手





この世界観は、どんどん加速していくのではないでしょうか?

経営者側の論理としては、

  • ・販売面では、国際間競争で勝ち残る為に少しでもモノは安く作りたい


  • ・株主対策面では、少しでも株価を上昇させるには、利益を出し続けるしかなく、経費削減をしたい


  • ・優れた技術、優れた商品、優れた企画、優れたデザインを生み出す人材、優れた営業、サービスができる人材等の企業のコアコンピタンスを支えるような「優秀な人材」は、どれだけカネをかけても集めたい


  • ・人事面では、優秀な人材を競合会社に奪われないためには、高い給料を払う必要があり、その原資は他から持ってくる

この4つの背景から、大リーグ流出組のような人材は、どれだけカネを払ってもとりたい。それ以外の普通の人材は、できるだけ安く買いたたきたいというのが本音ではないでしょうか?





そして、彼らはこう続けます。「これら3つができなければ、会社は存続しなくなる。安くても働く場があったほうがいいですか?それとも働く場を失う方がいいですか?」と。





この話には当然、いくつかの矛盾をはらんでいる。

  • ・安くばかりに労働者をこき使ってしまうと、労働者は同時に買い手でもあるので、国内マーケットが膨らまない(トヨタのように、国内で車が売れなくなる)→財布にカネが入っておらず、財布を使うヒマがない消費者ばかりになってしまう


  • ・優秀な人にばかりカネを払っていっても、それ以外の人が、過酷な労働環境のためにドンドン流動化して入れ替わってしまえば、その負担が優秀な人にきて、結果的に大した仕事ができなくなる


  • ・いくら優秀な人といっても、一人で仕事をするわけではありません。過酷労働でモチベーションが下がっている人達とのチームワーク作りは難しく、それに嫌気をさして、職場を去る優秀な人が続出する。


  • ・仕事というのは、現場を支えている人達の叡智で支えられている。しかし過酷労働は、それらの人のモチベーションの低下を生む。結果として、現場からアイデアが上がってくる事が減り、優秀な製品を作り出すことができなくなる。



といった矛盾も容易に予測ができます。しかし、このような矛盾には、目をつむり、この二極化は一気に進んでいく事になるのでしょう。上記の「矛盾」が表面化し、問題が深刻化した状況になるまで、「見えるものを、見えないふり」をして進んでいくのではないでしょうか?





過酷な時代です。イヤな時代です。しかし、この時代に生きている限りは、これに対応していく必要があるのでしょう。踏みつぶされるワケにはいきませんからね。





だから、「好きを貫く」や「楽しむことを貫く」が必要になってくるのだと思うのです。

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