木・金と浜松にいた。今年は静岡で国民文化祭が開催され、その一環で行われるメディア芸術祭の地方展に参加するためだ。会場となった静岡文化芸術大学は、非常に設備に恵まれた大学で、ほぼ文系の大学で育った僕には、極楽に思えた。広大な撮影スタジオがあり、工場と見間違うような工房があり、塗装専用の部屋があり、何日でも泊まり込みで作業したいくらいの環境だった。また学生スタッフをして頂いている文芸大の皆さんの気さくさにも感動した。彼女たちが彼女たちなりの自然体で、作品を解説してくださるのが実に嬉しかった。派遣企業で雇われてくるスタッフや、首都圏の美大生たちじゃ、あれほどお客さんと通じ合えないと思う。実に「茶」だった。主と客がいて、その間に茶道具としてメディア芸術があった。僕は日頃からそういう在り方を望んでいたので、帰りの新幹線で感極まってしまった。
ところで。今回の展示は事前に地方の新聞社や放送局の取材が入り、それを見て来てくださった方も多かった。特にご年配の方ほど、そういう傾向にあったみたい。僕らの生活には、既にテレビも新聞も無いんだけど、情報を発信する媒体としてのマスメディアの力は、まだまだ健在なんだなぁ。そんなことを考えていたら、僕は、唐突にコンピュータを卒業したくなった。だって爺さんになってなお、いまと同じようなコンピュータで、同じようなことをしたくないじゃない。かつて新聞やテレビを卒業したように、そろそろコンピュータも卒業したいんだなぁ。大学院を卒業したら、その先のことを考えて行動してみよう。