安倍首相と産経の藁人形論法なんだが→ 慰安婦問題で首相、「ブッシュに謝罪」報道を完全否定
■藁人形論法とは詭弁の一種で、相手が主張していないことを自分の都合の良いように表現しなおし、さも主張しているかのように取り上げ論破することで、相手の主張を論破したかのように見せかける手法です。(http://ronri2.web.fc2.com/hanron14.htmlより)
慰安婦問題で首相、「ブッシュに謝罪」報道を完全否定 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
産経新聞 3月8日(金)11時26分配信
安倍晋三首相は8日午前の衆院予算委員会で、第1次政権時の平成19年4月に行ったブッシュ米大統領(当時)との首脳会談で、慰安婦問題を「謝罪した」と報じられた問題について「この問題はまったく出ていない。事実関係が違うということだけは、はっきりと申し上げておきたい」と述べ、事実関係を完全否定した。民主党の辻元清美氏に対する答弁。
首相は23年11月の産経新聞のインタビューでも「慰安婦問題は全く出なかった。そもそも日本が(当事国でない)米国に謝罪する筋合いの話ではない」と否定している。
>衆院予算委員会で(中略)ブッシュ米大統領(当時)との首脳会談で、慰安婦問題を「謝罪した」と報じられた問題について「この問題はまったく出ていない。
産経の記事だけ読むと、まるで辻元清美議員が「首脳会談で安倍首相がブッシュに謝罪した」という発言をし、それに対し安倍首相が反論したかのように読めますが、実際は辻元議員はそのような発言をしていません。
32:55 〜 辻元議員の質疑 文字起こし
http://www.youtube.com/watch?v=IjZMKy-U1TY#t=32m55s
アメリカに行かれて、前回のときブッシュ大統領に対して、この(慰安婦)問題で釈明をしたということ。ブッシュ大統領みずからが、そのときの記者会見でおっしゃいましたよね。安倍から釈明があったということ。
辻元清美議員は、「首脳会談で」ではなく「記者会見で」と発言している。
辻元清美議員は、「ブッシュに謝罪した」ではなく「ブッシュに釈明した」と発言している。
■安倍首相はブッシュの前で謝罪していた
日米首脳共同会見(2007/04/28) 4-4
http://www.youtube.com/watch?v=sepFBd4AE70
0:38 〜
http://www.youtube.com/watch?v=sepFBd4AE70#t=0m38s
以下、テキスト。
「首相官邸」トップ> 安倍総理の演説・記者会見等
http://www.kantei.go.jp/jp/abespeech/2007/04/27press.html
平成19年4月27日キャンプ・デービットにて行われた
安倍総理とブッシュ大統領による共同プレス行事(概要)
(4)((安倍総理に対し)従軍慰安婦問題について、ブッシュ大統領に説明したのか。またこの問題について改めて調査を行ったり、謝罪をするつもりはあるのか、また(ブッシュ大統領に対し)人権問題について、またアジアの歴史認識についての貴大統領のお考えをお聞かせ願いたい、との問いに対し)
(安倍総理)慰安婦の問題について昨日、議会においてもお話をした。自分は、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、人間として、また総理として心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況におかれたことについて申し訳ないという気持ちでいっぱいである、20世紀は人権侵害の多かった世紀であり、21世紀が人権侵害のない素晴らしい世紀になるよう、日本としても貢献したいと考えている、と述べた。またこのような話を本日、ブッシュ大統領にも話した。
(ブッシュ大統領)従軍慰安婦の問題は、歴史における、残念な一章である。私は安倍総理の謝罪を受け入れる。自分は、河野談話と安倍総理の数々の演説は非常に率直で、誠意があったと思う。私は安倍総理と共に日米両国を率いていくことを楽しみにしている。安倍総理は安倍総理の思うところを率直に語ってくれた。その率直さを私は評価する。我々の仕事は、過去から教訓を得て、将来に生かすということである、そしてそれは正に安倍総理がしっかりとなさっていることである。
ホワイトハウス公式HPアーカイブス
http://georgewbush-whitehouse.archives.gov/news/releases/2007/04/20070427-6.html
President Bush and Prime Minister Abe of Japan Participate in a Joint Press Availability
ブッシュ大統領と日本の安倍首相の共同記者会見
For Immediate Release Office of the Press Secretary April 27, 2007
2007年4月27日、プレスリリース
Camp David 場所:キャンプ・デービッド
Q A question on the wartime comfort women issue. Mr. Prime Minister, on this issue, did you explain your thoughts to President Bush, and on this matter, did you talk about further factual investigations on the matter, and any intent to apologize on the issue?
Also, a question for Mr. President on the comfort women issue. From the perspective of human rights and Asian history perceptions, I wonder if you could express your thoughts or views.
PRIME MINISTER ABE: Well, in my meeting with the congressional representatives yesterday, I explained my thoughts, and that is I do have deep-hearted sympathies that my people had to serve as comfort women, were placed in extreme hardships, and had to suffer that sacrifice; and that I, as Prime Minister of Japan, expressed my apologizes, and also expressed my apologizes for the fact that they were placed in that sort of circumstance.
The 20th century was a century that human rights were violated in many parts of the world. So we have to make the 21st century a century -- a wonderful century in which no human rights are violated. And I, myself, and Japan wish to make significant contributions to that end. And so I explained these thoughts to the President.
PRESIDENT BUSH: The comfort women issue is a regrettable chapter in the history of the world, and I accept the Prime Minister's apology. I thought it was very -- I thought his statements -- Kono's statement, as well as statements here in the United States were very straightforward and from his heart. And I'm looking forward to working with this man to lead our nations forward. And that's what we spent time discussing today.
We had a personal visit on the issue. He gave his -- he told me what was on his heart about the issue, and I appreciated his candor. And our jobs are to, obviously, learn lessons from the past. All of us need to learn lessons from the past and lead our nations forward. That's what the Prime Minister is doing in a very capable way.
謝罪を意味するapologyまたはapologizeの太字強調は引用者による。
ホワイトハウス公式HPでは、安倍首相の慰安婦に対する「申し訳ない」は“apologize”と訳され、それに対してブッシュ大統領は「私は安倍総理の謝罪を受け入れる“I accept the Prime Minister's apology”」と答えています。
安倍首相本人の口から「慰安婦の問題について昨日、議会(動画では「議会関係者との会合」)においてもお話をした」「またこのような話を本日、ブッシュ大統領にも話した。」という言葉が出ていますので、これは辻元議員の言う「ブッシュ大統領に対する釈明」と解せるしょう。
あえて産経の記事に乗っかってみるなら、この共同記者会見の場で謝罪した相手はブッシュ大統領ではなく、「慰安婦」になることを強いられた被害者女性に対して、ですね。
安倍首相がアメリカで謝罪と釈明を行なっているのは事実ですから、産経記事の「首相は23年11月の産経新聞のインタビューでも「慰安婦問題は全く出なかった。そもそも日本が(当事国でない)米国に謝罪する筋合いの話ではない」と否定している。」という短い引用では説明が足りなく、前半部分がミスリードでしょう。
最後に、衆議院予算委員会の動画の21:00頃から辻元清美議員が慰安婦に関する歴代内閣の答弁と同じ内容を安倍内閣が2007年に閣議決定しただけであることを指摘していますが、こちらの方がはるかに重要なことですね。これに対し安倍総理は「質問されてる意味が根本的にわからない」と答えています(呆