ネット右翼の基礎知識

イチロー(以下イ)「ねえお父さん。ネット右翼ってなんのこと?」
ベンジャミン・シーゲル(以下べ)「イチロー何処でそれを聞いたんだい?」
イ「さあ?」
ベ「・・・。
ネット右翼の性質を二つあげるとするならばらばらな個人で構成されていると言うことと、言っていることは大体正しいと言うことかな。
イチローにもわかるようにネット右翼の定義と性質を噛み砕いて説明すると、ネット上において右翼的だったり左翼に批判的な情報を発信した人たちに対して批判された側がまるで彼らに共通のアイデンティティーがあるかのように名付けたのが「ネット右翼」なんだ。実際は共通のアイデンティティなんてほとんどない赤の他人の集合だからまとめて考えるのは無理があるんだけどね。だから自分はネット右翼です、って言う人というのはほとんどいないんじゃないかな。」
イ「じゃあネット右翼なんて本当は存在しないのかなあ」
ベ「確かに集団としてのネット右翼なんていうのは存在しない、彼らは偶然意見があったっていうだけの話だから。ただ名付けた側の定義をもう一度見直して、つまり右翼的または左翼に批判的な情報と情報発信者に共通するアイデンティティを探してそれを持つものをネット右翼とするならそれが本当の「ネット右翼」なんじゃないかな。」
イ「ネット右翼の共通のアイデンティティってなんなの。」
ベ「気をつけないといけないのは、ネット右翼に対しては集団になって初めて現われる性質をそのままネット右翼の性質としてはいけないということだよね。なぜなら彼らは現実には日本中に散らばった個人でしかないからだ。だから彼らを一定の集団と同じように見ると誤謬が生まれるんだよ。あくまで集団と言うことにこだわるならネット右翼は完全な個人の集合で作られた集団、ということが出来る。この中では普通の集団で働くような集団への帰属意識は生まれないし集団としての性質が構成員の意思とは何の関わりもない。だから集団としての性質は集団の意思を表すのではなく、「現象」として見ないといけないだろうね。あくまでその現象をネット右翼のアイデンティティとしたいなら、ネット右翼の定義を「構成員が完全に個人であること」にするしかない。
しかしネット右翼の集団としての現象、コメント欄をパンクさせるとか、についてはネットイナゴだとかコメントスクラムとかいう名前が別につけられているからそれで呼べばいい。この名前は情報の思想的な内容とは直接関係を持っていないからね。」
イ「だから共通のアイデンティティはなんなんだよ。」
ベ「いやそれは最初に。」

ネット上で群集心理は本当に働くのか?

ネット右翼に関連することでもあるのですが、
ブログ炎上だとかネットイナゴ現象の原因について考えたときに群集心理や集団ヒステリックをその原因にあげていらっしゃる方をよくネット上で見かけます。
確かに、批判的なコメントで埋め尽くされたブログなどを見るとどんどん過激になっていく熱狂的な群集のようなものを容易に連想できるのですが、しかしそもそも現実世界の群集心理という現象をネット上でそのまま当てはめると言うのは無理があるのではないでしょうか。


群集心理はその名のとおり群集について当てはめられる現象です。しかしネット上で「群集」と言うものが存在できるでしょうか。ネット上のあるサーバの情報を同時に見ていたとしても、現実には彼らは自分のパソコンの前に一人で座っているだけです(場合によっては2人かもしれませんが群集ではありません)、当然のことですが一緒にいるわけではないのです。ネットの向こうに群集はいません。群集と言えるものが存在するならばネット上を仮想空間と見たときだけでしょう。
しかし現実の群集ほどに彼らは雄弁ではありません。だって存在するだけで周りに影響を与える現実の人間と違って、彼らは発言を書き込まなければまるで存在しないも同じではないですか!


またヒステリーという言葉をウィキペディアで調べてみました。それによると

1. 精神医学の用語で、転換症状と解離症状を主とする精神疾患の一種。
2. 転じて、一般の人がヒステリーと言う場合、単に短気であることや、興奮して感情のコントロールができなくなる様子のことをさすことが多い。しばしば蔑視のニュアンスを含む。

ということですが、この場合は2が当てはまるのでしょう。とすると集団ヒステリーにかかった人というのは「興奮して感情のコントロールができなくなる様子」でなければなりません。
もしかして皆さんはネットで「ワロスwwwwwwwwwwwwwww」などと書いている人が現実でも大笑いしているとでもお思いでしょうか?いや実際はあってもせいぜいニヤッとするくらいのことです。例え文章の上で興奮していても実際に興奮しているわけではないわけです。書くだけなら何とでもかけますから。
ちょっと考えてください。あなたはインターネットをしていて興奮して感情のコントロールができなくなったことがいったいあるんですか?私はありません。


さてこのようにネットイナゴ=群集心理説には突っ込みどころが沢山ある穴だらけの説なのです。
私はこのようなネットイナゴ現象と言うものは「群集心理」ではなく「ロングテール現象」の原因と同じなのではないかと考えます。
「ウェブ進化論」読んでない人にもわかりやすく言うと、いわゆる左翼の言う「一人一人は小さくても皆が声を合わせれば世界を変えられる」現象と同じです。確かに数が多ければ一つ一つのチカラが小さくてもあわせた力は大きくなります。それと同じようにある人が何かをする可能性が非常に小さかったとしても、そういう人が無限と言えるくらい集まればそれをあわせた何かをする人の数はとても大きくなります。「ウェブ進化論」ではこういう印象的な式を使って説明されていました

無限小×無限=Something

このSomethingがネットイナゴ現象でのコメント欄への書き込みなのです。


あるサイトにアクセスが非常に集中すれば必然的にコメント数はかなり多くなります。突っ込みやすい内容(コメントしやすい内容)であればなおのことです。ですからだんだんコメントが増えていくのは群集心理が加熱したせいではなくただアクセス数が増えたからなのです。
またアクセス数が増えればその中の荒らしの絶対数も上がって行くわけですから炎上の最後の方がかなり荒れた感じになるということとも一致します。