成長戦略「骨格」(基本方針)決定 → 住宅や森林への投資促進策を提案(未採択)


とうとう今年も今日一日、あとわずかとなりました。
皆さんにとってどのような一年だったでしょうか。

私は、年末にiPhoneを手に入れ、DoCoMoケータイと2台態勢になりました。
一見ムダのようですが、iアプリも使うし、この2台の使い分けもいいもんです。



さて、今日の朝刊でも書かれているように、昨日、鳩山政権の成長戦略「基本方針」が発表されました。私も、法務省を代表して、成長戦略策定検討チームに参加していました。

今回発表されたのは、基本方針=「骨格」に当たるものであり、来年の6月までに具体的な肉付けがなされることになります。


今回の骨格部分には採用されませんでしたが、検討チームの会議で私が主張したのは、住宅や森林分野での投資促進策でした。

日本経済が需要不足になっている現状で、成長戦略の基本方針として供給側よりも需要側を強調しているのは正しいことだと思います。ただ、成長戦略を議論するときに本質的に重要なことは、需要を導くための供給力の増強、生産力の向上です。つまり、より付加価値の高いものを、より安く、より安定的に提供するということです。


例えば、今年の日本経済の大きな問題の一つが、新規住宅着工件数の大幅な減少でした。それは、「投資対象」としてみた場合の「住宅」というモノの商品価値が減少しているということ以外の何ものでもありません。

言い換えれば、日本の住宅は、今まで「耐久消費財」としての位置づけで扱われてきました。しかし、若者世代の収入の減少により、耐久消費財としては住宅に費用をかけられなくなってきているという構造的な変化が、近年起きてきていました。その変化の流れが、今年、決定的に確定したということだと理解する必要があります。


そうすると、政治が示す「成長戦略」としては、より「資産」として「投資対象」になりうる住宅の姿とは何なのか=住宅としての商品価値を上げるしくみを提示することが必要となります。



私が、今年、「不動産業」に着目したのは、「住宅の資産化」にとって、不動産業の生産性向上が不可欠だという考えに到ったからでした。

住宅分野でのデフレ原因を考えると、現在の不動産市場では築後20年経つと建物部分の価値がゼロになるために、年間19兆円もの住宅投資が20年経つと意味がなくなる、つまり、年間19兆円分の国富が失われていることになります。


この部分で、欧米のように「価値の落ちない中古住宅市場」ができれば、サラリーマンはローン地獄に苦しめられずに、ローンが払えないときには物件を手放せば借金から解放されるし、ローンを払い終えたならば老後の蓄えに代えることができる。

つまり、年間19兆円滅失する価値を、消費に振り分けることができるということです。


しかし、このためには、不動産業者が、中古住宅について性能や価値を判断する目利きの能力を持っている必要があります。この点が、日本の住宅を取り囲む状況の不幸なことです。

このような私の主張に対しては、「不動産業者は、そんな難しいことは分からない。中村さんの主張は、絵に描いた餅だ。」という批判があります。確かに、供給者側の理屈ではその通りでしょう。しかし、実際に物件を購入する消費者側の立場から見ればどうでしょうか。

目利きの能力を持っている不動産業者から、中古住宅を購入するようになる時代が来ることは明白です。そして、住宅分野での環境問題を考えても、国策も、このような方向で進んでいくことも確実です。



そこで、住宅を投資対象とするための条件として、私が必要だと考えている政治の役割は、住宅の性能を客観的に評価するためのしくみ作りです。

具体的には、工務店などの管理主体が不在のところには管理主体をつけること、その他、住宅履歴の残し方や、さまざまなレベルでの住宅検査(ホームインスペクション)です。



このようにして、安心して買える物件となり、はじめて投資対象として見られることになります。同じことは、森林整備でも言えます。

このような見方は未だ少数派ですし、法務省の所管事項でもないので、法務大臣政務官の私が正面から取り組める課題ではありません。ただ、一人の議員として取り組むことは可能ですので、少しでも賛同者を増やしていけるように、来年も少しずつ取り組んでいこうと思います。