楽しいムラ社会

「そこは俺の家ね」
「ここまでがうちの土地」
「道は公共の場ってくらいは決めておこうか」
どうやら集落が出来上がっているようです。でも相互に変な圧力をかけたりはしないようです。夜中に騒いで安眠妨害とかは怒られるみたいだけど。
おや、一人のルサンチマン(仮名)が集落にたどり着いたようです。どうやら住み着きたいようですが…
「なんで俺が住みたい木の下に人がいるんだ。せめて同居させろ」
「道の真ん中に寝てはいけないなんてひどいルールだ!」
「なんて閉鎖的なムラなんだ!これだからこの地方は嫌いなんだ」
…どうもアレな人みたいです…。
集落の人は相談しています。
「僕らの間ではルールなんていらないと思ってたけどどうする?」
「常識が違う人が来たときにルールないと面倒よねえ」
「最低限は決めとこう」
こうして、ちょっとだけルールができました。掟ってほどでもないので、騒ぐ人がいなければ持ち出されません。一応、橋のたもとには掲示してあります。
結局、余所からやってきた人は住み着くようです。相変わらず「あいつ等が居なければ住みやすいのに」なんて言っているみたいですが、何か暴力を加えてくる訳でもないので華麗にスルーです。なんか「空気嫁みたいな圧力を感じる」とも言っているみたいですが、道で寝てて引きそうになったから注意したのを圧力と言われるのは心外ですね。
そんなわけで、平和な集落の夜は今日も更けてゆきます。
「変な人増えてきたらお役所作らないとアレかな」
誰かが呟きます。集落がムラになるのはそう遠い将来ではなさそうです。