戦史オタが非オタの彼女に戦艦を軽く紹介するための10隻

アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本に乗ってみる。

まあ、どのくらいの数の戦史オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、
その上で全く知らない戦艦の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、戦艦のことを紹介するために
見せるべき10隻を選んでみたいのだけれど。
(要は「萌え系軍事本」の正反対版だな。彼女に戦史を布教するのではなく
相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時代背景説明に過大な負担を伴う19世紀以前の戦艦は避けたい。
できれば第二次世界大戦、それより昔でも20世紀にとどめたい。
あと、いくら戦史的に基礎といっても前弩級艦のような古びを感じすぎるものは避けたい。
帝国海軍好きが三笠は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は

戦史知識はいわゆるNHKのドキュメンタリー的なものを除けば、「夏の特番」程度は見ている
歴史もの好き度も低いが、頭はけっこう良い

という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。

ドレッドノート(イギリス)

まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「弩級艦以前」を濃縮しきっていて、「弩級艦以後」を決定づけたという点では
外せないんだよなあ。主力艦建造競争をリセットしたし。
ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この影響過多な艦について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に
伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。

長門(日本)、ビスマルク(ドイツ)

アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうな戦艦(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの
という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには
一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「戦史オタとしてはこの二隻の生涯は”ドラマ”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。

ネルソン(イギリス)

ある種の英軍オタが持ってる変態兵器への憧憬と、ワシントン海軍軍縮条約的な基準排水量へのこだわりを
彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにもイギリス艦な
「童貞的なださカッコよさ」を体現する三連装砲塔三基の艦前部集中配備
「童貞的に好みなビッグセブン」を体現する16インチ砲
の二つをはじめとして、オタ好きのする武装を艦体にちりばめているのが、紹介してみたい理由。

ヴィットリオ・ヴェネト(イタリア)

たぶんこれを見た彼女は「ノースカロライナ級だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
ワシントン海軍軍縮条約限界の基準排水量でプロジェクトがスタートしたのに実は条約上限の基準排水量を大幅に越えてしまったこと、これが公表は条約上限で押し通したこと、
イギリスなら基準排水量の枠内で最大限の攻防力を備えることに重点を置いて、速力を犠牲にしてもおかしくはなさそうなのに、
イタリアでは防御を犠牲にして速力を得ていたこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。

アイオワ(アメリカ)

「やっぱり戦艦は空母随伴のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは
金剛型でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、パナマ運河にかけるアメリカの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでも33メートル、っていう全幅が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、
そのパナマ運河を渡るということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。
アイオワの幅を俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが
日本やイギリスだったらあっさり33メートルオーバーにしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて全幅33メートルにおさめてしまう、というあたり、どうしても
「兵器を形作ってきた地政学的条件が捨てられないオタク」としては、たとえアメリカがそういうキャラでなかったとしても、
親近感を禁じ得ない。性能自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。

ソビエツキー・ソユーズ(ソ連)

今の若年層でソ連見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
第二次世界大戦が始まるよりも前の段階で、ソ連の建艦技術はこういう巨艦を設計するだけに達していたとも言えて、
未成に終わったとはいえこの時代に建造されかかっていたんだよ、というのは、
別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなく共産趣味者としては不思議に誇らしいし、
いわゆる冷戦終結後でしかロシアを知らない彼女には見せてあげたいなと思う。

大和(日本)

日本の作戦思想あるいは建艦技術をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「大艦巨砲主義が終わった世界を毎日生きる」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、
だからこそ沖縄水上特攻の主役は大和以外ではあり得なかったとも思う。
「大艦巨砲主義の終焉した日常を生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の
源は大和にあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、
単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。

リシュリュー(フランス)

これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういう集中防御による重量節減への恋愛をこういうかたちで具現化*1して、それが非オタに受け入れられるか
気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。

プリンス・オブ・ウェールズ(イギリス)

9隻まではあっさり決まったんだけど10隻目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にPOWを選んだ。
ドレッドノートからPOWで終わるのもかつて海軍力で世界帝国を築いた国なりに収まりはいいだろうし、航空機登場以降の戦艦時代の終焉の象徴と
なった艦でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい艦がありそうな気もする。


というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10隻目はこんなのどうよ、というのがあったら
教えてください。
「駄目だこの増田は。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。

*1:四連装砲塔二基を艦前部に集中配備