FringでiPhoneをskypeフォンにして分かったこと、感じたこと

とうとう、iPhoneで普通にSkypeを使えるソフトがでた。

FringというAppは、SkypeだけでなくTwitterやGoogle Talkなども含めた統合コミュニケーションソフトと言えるものだが、そのメニューのひとつ(Add-on)にSkypeが入っている。すでにSymbianやWindows Mobile向けにあったソフトが正式にiPhoneに対応したので、早速Appストアで、この無料アプリを入手した。


使い方は非常にシンプルで、Add-onメニューからSkypeを選んで、あらかじめ取得したSkype名とパスワードを入力するだけ。あとは、Buddy listに表示される相手先を選び、Callのボタンを押せばよい。ただし、通話は3Gネットワークでは使えず、WiFi接続が必須。Dialerから数字キーで相手先電話番号を入力すれば、Skype Outも使うことができる。*1

実は、私自身、Skypeのことは気になっていたものの、PCにヘッドセットで、という使い方にはどうも抵抗があった。携帯電話機ないし子機のようなSkype専用の端末もあって購入を検討したこともあったが、自宅でそれほど電話をかけることも多くないし、また外出時にSkype専用端末を普通の携帯電話に加えて持ち歩く気もせず、結局Skypeを使わずじまいだった。

それが、曲がりなりにも”Phone”であるiPhoneでSkypeが使えるようになったわけなので、Skypeとはいえ電話機で普通に電話ができるということだ。ソフトも無料なので、iPhoneユーザーであれば、何の初期投資も要らない。早速試してみようということで、同じくiPhoneを持っているヨーロッパ在住の友人との間で、早速通話に使ってみた。

昔の国際電話のように、若干音声のタイムラグがあったり、少し声がこもったり、ということはあるが、普通に会話ができる。試しに自宅のWiFiからのほか、駅の公衆無線LAN経由でも使ってみたけれど、どちらも通話の状況は良好だった。使ったのは、iPhoneに付属のイヤホンマイクだったが、友人によると、駅からかけた時には、こちら側の駅の雑踏とか私の隣で電話をかけている人の声なども、聞き取れたそうだ。

こうやってFringでSkypeの通話をしていると、なんでこのiPhoneにはSIMカードが入っているんだろう、と不思議にすら思えてきた。もちろんそれはSoftBankの回線に接続するためだ。それは分かっているのだけれど、なんで物理的なカードにしなければならないのだろう、と思ってしまった。

Skypeを使うには、Skype名とパスワードでログインすれば、例えば誰かのiPhoneを借りてSkype Outしてもその費用は自分が負担することになる。使ったらログアウトして返せばよい。

それと同じことが今の携帯電話では出来ない。いわばログインに相当することがSIMカードの抜き挿しで行われている。これはIPネットワークと、従来の交換機の電話網を含む携帯電話のネットワークの仕組みの違いによるものだ、ということなのだろうか。端末(着信先)の固有性を担保するのが、同じ番号がふられることはない固有のSIMカードなのか、固有のSkype名とログインパスワードなのかの違いでしかないなら、SIMが物理的なカードである必然性があるのか、ちょっとまだ頭の整理がついていない。

ともあれ、一般ユーザーの目線から言えば、相手の名前を覚えるようにSkype名を覚えれば無機的な電話番号を必要とせず、ログインすれば端末を問わないSkypeの方が、電話としての使い勝手は優れており、ユーザーフレンドリーであると思うが、どうだろう。

もちろん、Skypeは無料でつながるものだけに、通話の安定性とか、通信の秘密がどの程度守られるかとか、そういう点で既存の電話網の優位は言うまでもない。

しかし、家族とか親類・友達同士の会話は、仮に傍受されたところでさして問題がないものがほとんどだろうし、多少雑音が混じったり、音声が遅れたりしても値段が安い方を選ぶというユーザーは、特に若い人を中心に少なくないはず。あとは、Skypeの使い勝手がどれだけ一般の電話や携帯電話に近づくか、そしてSkypeの便利さがどこまで知られるようになるか、だけの問題だと思う。

この先、iPhoneをはじめとするスマートフォンが一定の普及をし、WiFiネットワークと3Gネットワークの切り替えとか、Skypeの通話と3Gの通話の切り替えをユーザーが簡単に行える、ないしは意識しなくても端末側が自動的に切り替えてくれる、ということになったらどうなるだろう。そうなれば、プライベートな通話はSkypeがかなりのシェアを占めるようになるかもしれない。

私自身、特に海外の出張先から自宅に電話を入れる時には、今後はホテルのWiFiを使ってSkypeで、ということがメインになりそう。

すでにSymbianやWindows Mobileの端末でSkypeを使っている人にとっては、今さら何を、ということだと思うけれど、iPhoneで、初めて曲がりなりに電話機を使ったSkype通話をしてみて、またひとつ、今までの電話の常識から自由になれた気がした。

*1:11/2追記:日本国内の電話番号にかける場合でも、国際通話と同様に、最初の0を取り、かわりに+81という日本の国番号を付する必要がある。+は0を長押しすることで入力可能。