負け犬プログラマーの歩み

負け組だった人間が今一度PGとして人生の飛躍を模索するも加齢と共に閉ざされる未来に直面しているブログ。

クラウドワークスはエンジニアを幸せにはしなかった

クラウドワークスというサイトを利用し始めて3-4年ぐらい経つ。毎週のようにスカウトや見積り依頼をもらい、実際に2桁の案件を請けてきた。評価もそれなりというか、多分最近はじまった優良受注者認定みたいなやつの条件も満たしていたと思う(ただし最近ログインしてないしメールも一切見てないので知らない)。

しかし、もう基本的にこのサービスを利用することはないと決めている。退会こそはしないし、自分の履歴書とかプロフィールにリンクでも載せておこうかなとは思う。でも利用はしない。

何故かと言うと、クラウドワークスとは、そもそもエンジニアの為に作られたサイトじゃなく、むしろクライアント(発注者)がエンジニアを安く買い叩くためのサービスに過ぎなかったからだ。

以下、その理由を述べていく。



割に合う案件がない

今までクラウドワークスで請けてきた案件を時給換算したら、最低時給を下回るのは当たり前で、中には「3桁円にすら達しない」「そもそも報酬自体が貰えないこと」すら普通にあった。もちろん在宅で働けることを踏まえたら多少は安くてもいい。しかし、問題は、あまりにも安すぎるのだ。それも論外なレベルで。

募集金額自体は低くないことも多い。月50万とかの案件も普通に飛び交っていた。でもそれは、現実世界では200万以上貰わないといけないレベルの仕事だったりする可能性が高い、というか200万で済めばまだいいほうだ。俺は500万は覚悟している。

クラウドワークスにおいては、クライアント(発注者)とエンジニアは直結する。現実世界では、クライアント(発注者)とエンジニアの間に、仲介会社やエージェントなど「余計なもの」が入る。それなら、現実世界ではピンハネされている分だけ、エンジニアの取り分が増えても良さそうではあるが、実際は増えるどころか大幅に減っている。そして「余計なもの」を介さないことでリスクも増える。エンジニアにとっては何一つメリットがないのだ。

サイトの初期はどうだったかは知らないが、少なくとも自分が本格的に仕事を請け出した2013年過ぎからは、既にクラウドワークスで生計をたてることは極めて難しかったし、それどころか副業としても、プライベートの時間を割いてまで請けるに値するのか疑問に思わざる得ない単価になっていた。

もちろん一部には割の合う仕事もあるだろうし、クラウドワークスでがっぽり稼いだという人もいるだろう。でも卑屈な言い方をすれば、自分みたいな凡庸なエンジニアにはそれは無理だ。現実世界の相場の1/10しか貰えないということは、現実世界の10倍の速度で仕事をしないといけない訳だから。

なぜクラウドワークスでの単価は安いのか。一因として、そもそも人は誰しもコストは削減したいという欲望がある。そして、不特定多数から依頼する候補者を選べるとしたらそりゃ値踏みするだろう。俺たちだって通販で物を買うときはAmazon、楽天、ヨドバシ、その他多数の通販サイトを比較する訳だから、それ自体は仕方ないと言える。

加えて、世の中には「安くてもいいから仕事を請けてみたい」という人は少なからずいる。お試しでクラウドソーシングをやったみたいとか、色々な経験を積んでみたいとか、実績を作ってみたいとか、金銭以外を動機に受注したい人がそれなりにいるのだ。だから単価は下がる一方だ。

「現場に常駐して働け」とかいうバカがいる

これは個人的に最も衝撃的だった。

だってクラウドソーシングでしょ? なら在宅でしょ? それが現場に常駐…?

たった今確認したところ、クラウドワークスの社長も「クラウドソーシング(※1)とは、インターネットを活用した時間や場所にとらわれない個人の新しい働き方のことです。」と言っているから、多分俺の考えは間違ってなく、常駐の依頼をする奴がおかしい。

にも関わらず、「常駐して働け」とか要求するバカは最近多い。少なくとも2015年前後に俺が受け取ったスカウトの半分以上は常駐前提だった。なんと在宅案件より常駐案件の方が多い格好になる。

というかクラウドワークス自体がそもそも「クラウドテック(旧CWテクノロジー)」という公式アカウントを開設して、頻繁に常駐前提のスカウトメールを送ってきている。

これが最適な例ではないのは承知しているし、決して同性者を差別をする意図はない。また出合い系サイトを利用したこともない。しかし、このクラウドソーシングのサイトで「常駐して働け」というメッセージが多数来る状態は、いわば男女間の出合い系サイトに登録して若い女の子との交流を望んでいたら、ホモからのメッセージばかり来るという状態ではないか。当然それじゃあカマホモワークスじゃねーかという話になる。

なお、規約では一応「常駐」もしくは「常駐に準ずる」契約は禁止されているが、前述の理由から、公式的に黙認されている状態である。

フルタイムを前提とした案件が多い

クラウドソーシングと聞いて、「平日は仕事から帰ってきたあと数時間、週末は4時間程度」とかそういうレベルでのコミットメントで仕事ができると期待している人は多いかもしれない。でも気の毒だが、クラウドワークスの大抵の案件は、それではとてもじゃないが時間が足りないことが多い。つまり「副業」として請けられる案件は多くないということだ。

大体どれくらいの時間が必要かというと、本業を辞めてクラウドワークスでの案件に専念しないといけないぐらい。だってクライアント(発注者)は要件定義だの仕様策定だの設計だの全て割愛して丸投げしてくる奴が多いんだから、開発のみに専念できるなんて事はなく、もう何から何まで自分一人でやらないといけないんだから。

驚くことに、大抵のクライアント(発注者)も契約前に「どのぐらい時間を割けますか?」と一応は訊いてくる。しかし、実際に引き請けてみると、とてもじゃないが本業の片手間にやるには手に余ることが多い。恐らく彼らの期待する作業効率はあまりにも高すぎるのだろう。その期待度を単価にも反映させてもらいたいところだが。

「副業としてはあまりにも仕事量が多く、本業としてはあまりにも単価が低すぎる」というどうしようもない仕事。クラウドワークスとはそんな案件の見本市だ。

手数料が高く、しかも受注者側が負担

クラウドワークスの手数料は最大「20%」だ。この金額が高いと思うかどうかは人それぞれだが、現実のIT業界では仲介会社が3割以上はピンハネする事が当たり前となっているため、それを考えたら「ボッタクリ」という言葉を使うのは適切ではない。

しかし、上で述べたように、そもそもクラウドワークスでの報酬相場は不合理にまで低すぎるのだ。現実世界であればエンジニアの単価は「50万/月」程度はあるのだが、クラウドワークスはその1/10以下の金額での取引も普通にある。ただでさえ低い報酬の20%がピンハネされるとなったら、余計クラウドワークスで稼ぐことは厳しくなる。

また、発注する側の手数料は一切かからず、仕事を請けた人間のみが手数料を徴収されるというシステムも印象が良くない。「クラウドワークスが発注者の為のサービス」だと言われる所以の一つがまさにここにあるのだ。

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あまりに手数料が高いものだから、中にはクラウドワークスでスカウトしたあと、あとのやり取りはメールやスカイプ、LINEなどで行って、そこで契約しようという行為も既に普通に横行しているが、発注者から手数料を徴収しない理由は、恐らくその流れが加速してしまうからなのだろう。

クライアント(発注者)のITリテラシーが低い

最初に断っておくと、一般人にITリテラシーを求めるのも酷なので低いこと自体は仕方がない(ちなみに日本人のITリテラシーは諸外国に比べて低いとたまに聞くが、俺は日本にしか住んだことないのでそれはよく分からない)。

ともかく問題なのは、そのリテラシーの低さは、エンジニアに対して過酷な方向に作用することだ。

端的には、クライアント(発注者)の多くは、「良いものを短時間・低賃金で作れ」と要求する。それは彼らはエンジニアではないので良い物を作るのにどれだけの苦労と時間と配慮が必要か分からないのが原因だ。だから「無知(ignorant)」とは言わず「無垢(innocent)」と称したい。無垢なクズだ。

ところで、日本のIT業界におけるSIerとはエンジニアの墓場だと思っている。あそこは自分の技量やセンスを強みにする人間が働く場ではなく、むしろ平均未満の技術しか持たない「IT土方」が、誰にでもできるような単純・水増しされた作業をやってお金を貰う場所だ。

しかし、そういう「IT土方」を顎で使うSE達は、少なくとも現実は分かっている。例えば、彼らはコストと品質はある程度比例することは理解しているので、前者が限定されている以上、後者も深くは追求しない。そして常に「プロジェクトを納品まで持って行く」という最終目標がある。

SIerにはプログラミングが全くできない人間というのも少なからずいる。というかSIerの正社員は基本的にマネジャー、リーダー、SE、営業といった役職に就いてチームで無垢な顧客を相手にするのだ。これはプロジェクトにおける「プログラミング以外」の作業や負担がどれだけ多いかを意味している。

ところがクラウドワークスではクライアント(発注者)とエンジニアは直結する。それはエンジニアが自らそういう無垢に残酷なクライアント(発注者)の相手をする必要があることを意味する。これは極めて負担の大きいことだ。単なるプログラミングの知識だけでなく、プロジェクトの進行・管理、交渉や説得…そうした部分もやらないといけないから。

もちろん、負担が増す分、エンジニアに対する金銭的対価が増えるなら決して悪いことではないんだが…、最初に述べたように、クラウドワークスにおける報酬単価は「低い」というレベルですらないわけで。なんかもうこの時点でサービスが根本的に崩壊している気がする。

クライアント(発注者)の人間のクズ率が高い

上では「無垢なクズ」について語ったが、クラウドワークスに居着いているクライアント(発注者)は全てが全て素人でもない。むしろ同じエンジニアやIT会社法人のスカウトも結構いるのだ。ある程度の共通基盤があるわけだから、それなら快適に仕事が引き請けられる…ということはない。むしろこれまで不愉快な思いをしたのはこういうケースが多い。

そもそも、エンジニアやIT企業がクラウドワークスを利用する場合って、決まって「①自分が引き請けた案件を横流しする」「②炎上中の案件を押し付ける相手を探している」ケースだ。「クラウドワークスを通じて優秀なエンジニアと仕事をしたい☆」なんて思っている人はほぼいない。顔の見えない相手とわざわざ繋がりたいなんて人はいないからだ。

とはいえ、①はまだマシだ。自分でやるには技術もしくは時間が足りないから、自分で少しピンハネした上で(5万で請けた案件を4万とか)他人にこっそりお願いしちゃえって話だけど、ダメだった場合は自分の責任が問われるから、サポートもある程度はしてくる。単価が安いこと以外は、まあ安全に仕事はできる。

②は地獄だ。前に、あるクライアント(発注者)から直接メッセージを貰い、是非とも仕事を請けてくれと言われた。困っている素振りも見せていたので、人助けだと思って請けたら、契約した後に「同時利用者が5000人規模のサービスを作る。サービスインまであと2ヶ月未満なのであとは宜しく」と言われた。かなりテキトーなPDFだけの仕様書を渡されてあとは宜しくと。そのPDF以外は何一つできていない。

しかも大きく分けて機能が2つ有るのだが、本来はエンジニアを2人以上は雇うところ、まず機能Aを1人で作ってみて、いけそうなら機能Bもやってくれと言われた。もちろん期限も報酬も変更なし。PDFの中身は、各画面のワイヤーフレームつーかまあこんな感じ。そのPDFを作ったのも別に雇われたエンジニアで、本名公開していたのでSNSで検索したら、当時は5件同時に仕事を並行していたらしい。必死だった。とにかく必死だった。時間が足りなかった。昼間は会社に働きに出掛けていて、夜帰ると寝るまで仕事をした。いや途中から寝ることはできなくなって、会社の休み時間に寝た。いやもう途中から会社の仕事はさっさと片付けて会社で作業していた。それだけ頑張っても時間は全然足りなかった。遂には有給も3-4日申請した。

PDFはかなり内容不足でクライアント(発注者)に確認しないと分からないことが多かった。そして確認するために新仕様がどんどん出てきて、出てくるたびにPDFを作ったやつはアリバイ目的に「最新版を更新して渡す」とか言っていたが、一度もその約束が果たされることはなかった。サービスイン1週間前になっても「PDFに記述が足りていませんでした。。。」とか言ってくる始末。

ある外部サービスを使った仕様でどうしてもAPIでは出来ないことがあるので、それについて聞いてみたら「バッチみたいなものでできるとクライアント(発注者)には言ってある。かなり難しい案件だとは思うが、宜しくたのむ」と言われた。そのバッチの仕様はもちろん何一つ決まっていないのに、「サービスイン」が数週間後の段階で初めて存在を知らされた。

期日が数週間後に迫り、もう間に合いそうにないつーかプロジェクトに相当無理があると言ったら「じゃあ機能Aだけでも完成させて相手に見せよう。今から別の人間雇うのは無理だから最後まで頑張ってくれ」と言われた。ここまで200時間は作業していた。

クライアント(発注者)は一応エンジニアではあるが、iPhoneとかスマートフォンなどの経験があるだけでWebの事は何一つ知らないようだった。また、そもそもプロジェクトのマネージメント経験もなく、また「テスト」という概念すら知らないらしい。だから本来は必要サーバーのキャパシティとか、ある程度サイトが完成してテストが終わってからパフォーマンス測定して決めるべきことを、PDFを受領して実装している段階で要求してきた。

相手は「サービスインするのでサーバーを用意するけどスク●ニに勤務している優秀なインフラ担当者に頼むから、どのぐらいのスペックのが必要か教えろ」と言ってきた。俺はインフラ専門家でもなく、PDF片手に画面作っているだけなので答えられない。過去にAWSなどでサーバー組んだことあるだけだと返したら「そのAWSってサーバーだと今回のサービスはどのぐらいのスペック(CPUとかメモリ性能)でどれぐらいの人数耐えられるのか教えろ」とか訊いてきたから「AWSは比例課金制だ。スペックなんて知りません」と返したら、最後に「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと今の時点で参考になる目安を出せ」とか言ってきたので「じゃあどういう目安を出せばいいんだ。期待レスポンスタイムか?CPU使用率とかメモリ使用量か?」と返したら「俺は技術に詳しくないのでそんなのは知らない」と言われた。

最終的にそのス●エニの優秀なインフラ担当者が間に入り「画面ごとの期待滞留時間…」とか言ってくるから、そんなことは画面のワイヤーフレーム(PDF)とか遷移図とかサービスの全体図を作ったやつに聞いてくれと言ったら、そのPDF作ったやつは完全に逃げモードに突入していて「今回は実装者が1人なので、私ではなくて実装している人間に聞いてくれ」と俺一人に全て丸投げしてくる。

四面楚歌の中、死ぬほど苦労してなんとか機能Aだけは動くモックは作ったが、そのスクエ●の優秀なインフラ担当者は俺にAWSのssh権だけ渡して「あとは宜しく」と言っていた。デプロイもプロビジョニングも完全に人任せ。最終的にはroot権限もなく、証明書など幾つかに問題があり、そのサーバーでは動かなかったが、そのインフラ担当者は0時過ぎたところで風呂飯のために落ちて連絡が取れなくなった。

翌日、クライアント(発注者)から連絡が来て「お客さんに見せたけど、機能Bに至っては何もできておらず完成が見えないので、もう俺達に任せてられないと言われた。これ以上開発する必要もないので打ち切る」とだけ書かれたメッセージが来た。そこには、苦労に対する対価どころか謝罪の言葉すら何一つなかったし、むしろ俺を責めるような語調だった。

このクズが今もクラウドワークスで活動しているのを見ると本気で●したくなる。

記事盗用、検索汚染、ステマの執筆案件が多い

クラウドワークス上でここ最近依頼される案件の大半はこれだ。要はコピペやパクった記事のブログ作成係を募集というもの。単価は驚くことに「1記事10円」とかいうものを見たが、その程度の対価で作られた物でも業者の手にかかければSEO工作されて検索結果の上位を独占するわけだから、結果的に引き請けた人間はインターネットの低質化の片棒を担ぐことになる。

かつてGoogleは国産検索エンジンを駆逐する優れた検索エンジンを提供して、インターネットという大海原の窓を開いてくれた。それ自体はすごく感謝しているし評価するべきことだ。しかし、今は拝金主義に走ったGoogleの検索窓は、間違った航路にしか導かれない気がする。

もちろん、「まとめ」行為自体は正当というか、有益なものはある。だから必ずしも2chまとめサイトとかnaverを検索上位に出すなとは言わない。しかし、クラウドワークス上で依頼される「記事の執筆」とは、何の付加価値ももたないただの劣化コピー、粗製濫造に近い行為なのだ。

そして、あろうことかクラウドワークスがそういう行為のガイドラインまで設置している。

webメディアの発達や、検索エンジンのアルゴリズムの変化によって、ライターの仕事として「リライトライター」という新しい仕事が生まれてきています。
リライトと一般的に言うと、文章をできるだけ変更せず、推敲や校正などにとどめてよりよい文章にするための作業と認知されていますが、ここでいうリライトとは全く違います。渡された文章を、「言いたいことは変えずに、全く違う表現方法に書き直す」という作業のことを言います。
多くのサテライトサイトを運営している場合、コンテンツのネタを考えるのは一苦労。

同じネタでも、全く違う表現方法でたくさんの記事を制作することによって、キーワードやテーマを節約できるという技とも言えます。


(中略)


重要な部分や大切なキーワードを選定し、そこだけは変えないように(削除しないように)しながら、自分なりの表現方法に変えていきます。元の文章の片鱗が見えてはいけませんが、文章の根幹となるものがなくなっていては、これもまたリライトの意味がなくなってしまいます。
ベースになる考え方は大事にとっておき、上物で変化をつけていくことが必要です

どうだろうか。要は「他の人間が書いた文章をバレないように剽窃するためにちょっと書き直してくれ」と言っているようにしか見えない。公式的にこういう行為を助長するのは社会通念上問題はないのだろうか。

まとめ

簡潔に述べよう。クラウドワークスとは「クズが発注してバカが請けるサイト」だ。あなたがバカなエンジニアではない限り、利用するべきではない。