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　原作・山田風太郎、漫画・せがわまさきの「十 ~忍法魔界転生~」10巻を読了。天草四郎との決着のある巻ですが、敵味方の交錯、裏返りが面白い内容だなと思います。もっとも目立つのはもちろん如雲斎戦に続くお品の助力ですが、「裏返り」は細々とした場面で多数見ることができます。十兵衛を撃つ決め手となる四郎の忍法髪切丸はお品に武器を与える結果になり、十兵衛が弥太郎に託した密書は今となっては速やかに回収せねばならないまずいものと化し、危険極まりない弥太郎の1人崖渡りはむしろ追跡する根来衆の方を危地に追い込むことになる。「良かれ」と思ってやったことは容易に裏返り、逆に都合の悪い事になってしまう。四郎が森宗意軒の指を「本来しまってある場所」から取り出したことでお品がそれを更に別の場所に隠匿する事態を生み、お銭がそれを回収できない結果になる……とか下品なんだが実に皮肉が効いている。こうした掛け違いが世にあふれていればこそ四郎とお品の仲がこじれ、お品が十兵衛に惹かれる結果にもなったわけですが、最後にお品が四郎と共に地獄へ行くというのはある種の手向けであるようにも感じました。転生前の四郎とお品のやりとりは、もうちょっと見てみたかった気もするなあ……
　さて、十兵衛にとってもっとも大きな「裏返り」、父である柳生宗矩が敵陣にいるという事実の行く末は。予断を許さぬ各人の合流の行方は。転生衆の数も半分を切り、物語は新展開を迎えていきます。
　しかしゲストに「剣鬼喇嘛仏」の長岡与五郎を入れてくるとか、武蔵との対比の意味でも面白いことをしてくるなあ……

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