グルーポン・バブルってもしかしてもう終わりなんじゃないのか…

つい先日も紹介したばかりなのだけれど、マイケル・ルイス著「世紀の空売り」より。

悪徳な投資銀行の欺瞞を見抜き、米住宅ローン債権市場のバブルをいち早く察知して、その崩壊に賭け、巨万の富を気づいた投資家でもあり医師でもあるマイケル・バーリは、バブルの発生と崩壊について次のように言っている。

資産バブルを、起こってからでなければ認識できないと考えるのはばかげています。バブルのインフレ期には、誰もが認識できる明らかな指標が存在するのです。熱狂状態の特徴のひとつは、詐欺の発生率と複雑性が、急激に増すこと・・・

事実、米住宅ローン債権市場が崩壊する直前の2000年代前半において、住宅ローン絡みの詐欺事件の件数は5倍にも膨れ上がったという。

こうした記述が、現在のグルーポン系ビジネスを取り巻く状況とどことなくダブって見えるのは私だけではないだろう。


グルーポン系ビジネスは、間違いなく過当競争だ。たしかに、クーポンの販売というのはあらゆる店にとって新しいビジネスの方法であって、大きな注目を集める相応の理由はあるように思われるが、クーポンの販売が広告としてうまく機能し十分な効果を得られる事業者は一握りだろう。どこにでもあるような地方の飲食店が、バーゲン価格だけを売りにして客を集めたところでリピートなど見込めるはずもないことは誰の目にも明らかだ。

クーポンを発行する事業者が本質的に少ないのに、クーポン販売用のメディアが乱立すれば、過当競争になるに決まっているし、無理にでもクーポンを発行させるために、クーポンの割安感を演出するためだけの無意味な定価吊り上げや、商品やサービスの質を下げることによる原価率の悪質なコントロールが横行するのも、当然と言えば当然のような気もする。


とはいえ、不動産バブルが崩壊しても我々の住居がなくなるわけでもないし、ITバブルが崩壊しても光通信の時価総額は1千億円を維持しているわけで、グル―ポン系ビジネスがまるっきりなくなってしまうような事態はあまり想定できないものの、フラッシュマーケティングだかという錦の御旗を掲げるだけで創業間もない会社が次から次に何億円という資金の調達に成功するような状況は、そろそろ終わるのかもしれない。