外資系に入ることがクールとか思ってる人は今すぐに認識を改めた方がいい
今の時期から就職活動をしている学生は外資系を受けている人が多いと思いますが、それ自体はさほど悪いことではないでしょう。
しかし今この時期から”外資”というある種のブランドに拘る余り自分の可能性を狭めるようなマネだけは決してして欲しくない、というのが僕がこのエントリに込めるメッセージです。
外資系があまりクールではない理由を挙げて行きます。以下、実際にまだ働いてない僕が見たり聞いたり本読んだりした範囲内での仮説やら論理です。来年実際に働いて、このエントリを読み直した時にどう感じるかは結構楽しみ。
外資系内定者=優秀では決して無い
いきなり挑戦的ですみません。ただ、俺は本気でそう思ってます。
優秀な人は世の中に一杯いる。理系の学会とか出てみると、若手で凄い面白い・斬新な研究をしてめちゃくちゃプレゼンうまい人とかいたりしたり、もう既に世界を舞台に何か仕掛けている人もいる。海外の大学で挑戦している人もいるだろう。40年前の孫さんのように。
ただ単に就職活動というものを早くからやって勝ち抜いてきた人の集まりなのである。
実はケースとかGDとかってある程度対策すりゃ誰でもそこそこ出来るようになる。俺はGDとかめちゃくちゃ苦手で喧嘩とかするくらいだったけど、最近「皆の意見まとめるのうまいね」なんか言われて調子に乗ったりするくらいですから。
もちろん内定者の中にも飛び抜けて優秀な人もいるだろうし、その素養がある人も多いんだろうけど、内定した段階ではそんなもんは分からない。あくまで、ポテンシャル採用なんだから。それを優秀って呼ぶのはどうかとも思う。
あと、本当に優秀な人は起業したり、海外大学院、成長途中のベンチャー、フツーに就活してたら表には出てこない会社に入ってたりしてる。
「外資系企業内定者が語る○○」みたいなセミナーを自らでやるなんて、どう見たってクールではないと俺は思う。
本社の支社という立ち位置を抜け出せない
ファームにもよると思いますが、決定的な裁量権は海外の本社が握っていることが多かったり、あくまで日本支社として本社の指示をある程度無条件で受け入れて働かなければならないようなところが多いらしい。
とある外銀の友人曰く、日本語がしゃべれること自体がお前らの1つのバリューだ、ということを平気で外人に言われるらしい。
今までは右肩上がりで日本の経済は伸びていましたが、今後はどう考えても同じように伸びるとは考えにくく、むしろ縮小傾向にある「日本支社」において、外資系企業の日本支社という選択肢がそこまで良いものには思えない。
一気に規模が縮小したファームもあったり無かったり。1年目で本国の都合でクビになる可能性も無きにしもあらず。
外資出身だから起業して成功しているのか?
一時期アクセンチュアなどは人材輩出企業として注目を集めていたり、外資出身の方が起業して成功したりする例も多く、やっぱ外資出身者は優秀なのでは?というなる人も多いだろう。
これは間違っていて、彼等は外資だから優秀なのではなく、他の人と違う道に行ったからビジネスの世界で優秀になり得たのだ。これは多くの経営者が口にすること。
かつては外資系はほとんど知られていない業界で、例えば「マッキンゼーに行く」と言っても何でお前そんな聞いたことのない会社行くの?という感じだったらしい。そういう獣道に進んで足掻いて生き残ってきた人達は優秀だけど、今みたいに外資系がここまで一般的になってしまったら、その価値も当然下がる。
価値の源泉は稀少性であり、稀少だからこそ価値が生まれるからだ。
外資出身者で成功している人は、”他人とは違う道に行こうとする気概”と”まだ小さかった会社を大きくした経験”の2つが血となり肉となり、成功しているのだと思う。
それを外資だから、という観点から見てしまうと本質を見誤る。
高給であるが故の罠
特に投資銀行などに言えることだが、入社2、3年目で軽く1000万は超えるため、激務である変わりにお金に余裕があり、派手な生活を送っている人が多い。そうなってくると、いざ仕事を辞めて次のステージに行く時に中々今のポジションを捨てられなく。
「仕事はつまらないけど生活レベルを落とせないため辞められない」ということが結構起こりうる。
学生の頃は志があり、投資銀行で経済/金融の仕組みを学んでいずれ起業する、としても目の前に裕福な生活という甘美な罠があるといずれその志は失われていってしまう。頭では分かっていても、だ。結婚したら尚更だ。
大企業で働くうちに、悪く言えば"洗脳"されてしまい、次に向かって動けなくなるのではないか
ー"新卒は外資の大企業"と思っていた僕が最終的にベンチャーを選択した理由
別に金を稼ぐことは悪だとは思わないし良いことだと思う。けれど金はあくまで手段であって目的ではない。つまらない仕事をしてお金を稼いだ先にあるものは何なのか?少し真剣に考えた方がいいのかもしれない。
自分で大きなリスクを取り、企業したのならまだしも、基本的には他人のつくった事業のおかげで飯を食っている投資銀行家のしている仕事が、本当に巨額な報酬に値するとはどう見ても思えなかった。(中略)私は当時から本能的に何かおかしいと感じていた。 ーグローバル・マインド 超一流の思考原理
最近、何のための人生なのかな、と思うことがあります。
ここ数年でわかったのは、お金でもなく、キャリアでもなく、真実の愛をみつけること。それが何かはわからないんですけどね、まだ。 ー「Change」 外資系金融で働くセレブの日記
コンサルでは経営は学べない
コンサル出身の経営者が口をそろえていうことだけど、コンサティングと経営は全く別物で、コンサルに入ったからといって起業するためのノウハウを身につけることが出来るとは限らない。
僕なりの認識だと、コンサルはベストな解を提示するのに対し、起業家は選択した道をベストにする責務があり、それらは本質的にやることが違うんだと思う。追っている責任なども自分でリスクを取って起業するのとそうでないのは大きく違うだろう。他にも違いは沢山あると思う。
また、個人投資家としてベンチャーやスタートアップ企業に関わっている方が書いているこちらのブログのThe ideal startup career pathにはこのようなことが書かれている。
if your goal is to start a company, it is mostly a waste of time to work anywhere but a startup – with the possible exception of a short stint in venture capital
要するに起業したければスタートアップに入る以外のキャリアパスはあまり意味がないと。
(*この記事に関してはスローガンの伊藤さんがまとめているので興味のある方はこちらをご覧下さい)
恐らく外資系の投資銀行も同じなのではないかと思う。
以上の理由から、外資系だから無思考に賞賛するムードはそんなにクールだとは思わない。
そもそもクールかどうかなんて、その人の生き様であって、入る会社が外資とかやる仕事がコンサルだから、という訳では全くない。
それでも入りたくなるなる何かがあるなら入れば良いし、やっぱり日本の会社だとイマイチ合わないなと思えば入れば良いと僕は思う。
いやお前まだ学生だろ
| | 2010/07/13 14:46 | URL |