8月15日は終戦の日。お盆とあいまって先の大戦で亡くなった英霊が多数現世にもどってくるシーズンだ。彼らを祀る靖国神社もかき入れ時…のはずだが、今年はなぜか“霊出”がまばら。関係者は首をひねっている。背景には、世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット」(コミケ)の開催が重なってしまったことがあるようだ。閑散とした九段下と対照的に、東京ビッグサイトはサークル・一般参加で訪れる英霊でごったがえしている。
コミケはコミックマーケット準備会が主催する世界最大の同人誌即売会。マンガやアニメなどの愛好家らが同人誌・グッズを販売、これを求めるファンが多数殺到することで知られ、一回の参加総数は60万人にものぼる。今年は14日から16日の三日間開催されているが、ちょうどお盆にあたることから「これ幸い」と訪れる英霊が増えたものと見られる。レアグッズを確実にゲットするため開催前日の深夜から“徹夜組”として会場近くに並ぶ英霊も多数目撃されており、
「インパールを思い出すな、ハハハ」
と談笑していたという。スタッフは「徹夜は禁止されているのですが、相手が相手ですので…」と大目に見たようだ。
いっぽう、めったにない機会だけにサークルとして参加した例も多い。二日目に「スタジオ796」として参戦した同人作家の796-Chuイチさんもその一柱。仮想戦記コミックの新刊「大勝利! 超時空機動空母艦隊南雲」は完売御礼となった。
「ギリギリでテーマを変えたので危うく締切に間に合わないところだったのですが…。ミッドウェーの過ちは繰り返しませんよ」
と満足げに語る。ほかにも、
などをひっさげ多数の英霊サークルが活躍している。
こうした動きに対し、靖国神社の関係者は
「英霊もアニメ・マンガにハマるというのは時代の流れでしかたないが、いちど合祀したら切り離せないという建前があるので8月15日くらいは靖国に戻ってほしい」
と苦々しい顔だ。また、あの世からの物流を一手に引き受けているカロン奪衣婆運輸(本社:三途の川)も「この時期にコミケ向けの搬入が重なると死ぬほど忙しくなってしまう。開催日は慎重に選んでほしい」と準備会に訴えているとのことだ。