友人から聞いた話。
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今から20年前、川崎のボーリング場でバイトしているときのこと。
川崎には堀の内と呼ばれる、東京で言えば吉原のようなソープ街がある。
そのボーリング場(数年前に閉店)では、数ヶ月に一回ほど、堀の内にある某ソープランドの従業員の慰安ボーリング大会が開かれていた。
ソープランドの従業員といっても「よくお客さんがつくな」と思うような女性ばっかりで、バイトはみんなで怪物ランドと陰口を叩いたり、猪木とかアゴ勇とかあだ名をつけていた。
ある日、その「怪物ランド」の中に、地味な年配の人がまざってプレーしていた。
従業員といっても事務員か何かだろうと思っていたら「アゴ勇」が近づいてきて「あの人、現役よ」と耳打ちした。
事務員さんに見えた女性は中学生ぐらいの子どもをつれてきていた。
まじめそうな感じの子で、その親子の様子をみたとき、あだ名をつけて嘲っていたことに初めて心苦しさを感じた。あだ名をつけるなんてよくないことだと思った。
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このお話を聞いて、今まで私にとって表面的な言葉でしかなかった「職業に貴賎なし」が実感できました。
この話は友人から聞いたものだし、そのボーリング大会に連れてきてもらっていた中学生の子の状況や考えていることは私にはわからないわけだけど、そのお母さんにあだ名をつけて嘲ることが、ささやかな親子の生活や幸せを踏みにじることに繋がる気がしました。
単身者だって職業でバカにしていけないことは同じなんだけど、こういう、その仕事の先に家族がいるんだということを目の当たりにすると、人の仕事を嘲ることの罪深さを実感します。
こんな話を書いてたら、私が小学1,2年生の頃、同級生の男の子に、私の父の仕事(鳶職)をよくバカにされていたことを思い出しました。仕事をバカにするといっても、小学生で鳶職という職業自体はよくわかっておらず、なんとなく肉体労働というものをバカにしたかったようでした。その子は、私の祖母が高血圧のクスリをもらいに行く医者の息子だったのですが、今思えば親が言っていたことをそのまま言っていたんでしょうね。
情けないことに当時はその同級生の言うことを真に受けて、医者の方が偉くて鳶職は偉くない仕事だと思ってしまっていましたが、今の私は「そうじゃないんだ」って体の底から理解できます。様々な仕事をしている人に支えられて、現代のこの便利な生活は成り立っているんです。(ちょいちょい忘れちゃうけど!)