ネット広告がテレビCMを超える日は、野村総研の山崎さんとOK Waveの兼元さんの共著です。
光栄にも献本をいただきました。
ネット広告がテレビCMを超えるというと、正直今の日本の現状を考えるとありえないという話になりがちなわけですが、この本では2018年にはそれが起こると分析をされています。
もちろん、単純に今の定義のネット広告が、テレビCMを飲み込むという意味ではなく、視聴者の生活スタイルやネットでできることの幅が増えてそうなるわけですが。
あらためて時期を書かれるとなかなか考えさせられるところです。
もちろん共著者のお2人とも厳密な定義でいうといわゆる広告業界の人ではないので、それをどう評価するかも難しいところですが、だからこそ第三者の視点で冷静に解説をしているといえるのかもしれません。
特に本書の中で指摘されていた「プライムタイムのテレビCMの広告主は事実上100社程度」という数字にはあらためてびっくり。極端なヘッドの世界になっているわけで、なるほどネットがその後ろをカバーできていけるとしたら、金額のシフトは起こりそうな気もしてきます。
現在の広告をめぐる状況を一歩引いて考えてみたい人にお勧めです。
【読書メモ】
■プライムタイム(19時~23時)のタイムCM枠の電通シェア 49.8%
(2005年4月 広告業界の取引実体に関する調査報告書)
■プライムタイムのテレビCMの広告主は事実上100社程度(同上)
(日本の2004年における事業者数は153万)
■テレビ番組の権利者すべての許諾がなくても、使用料を払えばインターネットに配信できる新法を2年以内に整える方針(知的財産推進計画2007)
■テレビは国民全体の9割が見ている
・1週間平均で1日当たり3時間39分
・70歳以上 5時間以上
・20代男性では、テレビを見る人の率が初めてどの曜日も8割を切っている。
■BBC 「クリエイティブ・フューチャー」
「デジタルの第二波は第一のものよりはるかに破壊的で、伝統的なメディアを吹き飛ばし、私たちを放送の向こう側に連れて行く」
「BBCはもはやテレビやラジオ、それに付随する新しいメディアの放送局だと考えるべきではない。私たちは公共サービスのコンテンツを、考え得るあらゆるメディア、あらゆる装置で視聴者に届けることを目指すべきだ」(BBC会長マーク・トンプソン)
■広告の市場規模
・AIDMAモデル テレビ 2兆円 雑誌などその他メディア 4兆円
・AISASモデル メディア広告 6兆円 販促費+CRM費、ネット広告 14兆円
■Q&Aサイトでは機械的な検索では見つかりにくい3つの情報を得ることができる
・人のあいまいな記憶に関連した情報
・兆しの情報
・血の通った情報
ネット広告がテレビCMを超える日 (マイコミ新書) 山崎 秀夫 兼元 謙任 by G-Tools |