「Webサイト改善は図を描きなさい!」 〜 SiteCatalyst達人から教わった分析フレームワーク
こんにちは。マーケティング担当の伊藤大地です。
先日、米AdobeでWeb解析ツール「SiteCatalyst」のプロダクトマネージャープログラムマネージャー(初出時、役職を誤って表記しておりました。お詫びし、訂正いたします)を務めていらっしゃる清水誠さんが、一時帰国された折に弊社に遊びに来てくださいました。たっぷり2時間、最新Webマーケティング事情やWeb解析についてお話を伺いした中から、WebのKPI測定・改善サイクルとそのノウハウについて、エッセンスをお伝えしたいと思います。
清水さんが提唱されているWeb改善のフレームワーク「コンセプトダイアグラム」という手法は、主に3つのプロセスから成り立っています。
- ユーザー視点でサイトを図解し、コンセプトを明確にする
- サイトの機能ごとにKPIを定義する
- 改善プロセスを組み立てる
さっそく、1から見て行きましょう。
なにはともあれ図を描く
まずは、ユーザー視点に立って、サイトのコンセプトを図に落とし込みます。ここで重要なのは、「誰に」「どうなって欲しいのか」を明確にすること。
検索やソーシャル、広告など、どういったチャネルを通じてサイトに流入し、入った後に、どういうページを見て、どういうアクションを起こして欲しいのか。サイトを見るだけでいいのか、購入してもらうのか、会員登録してもらうのか。そういったユーザー側から見た行動と、サイトの機能を図に落とし込みます。
下の図は、清水さんが運営に携わっている、SiteCatalystのユーザーコミュニティ「eVar7」を例に、図解をしたものです。
「この作業をきっちりと行なうことが重要」と清水さんは言います。個別のコンバージョンポイントやKPIを検討する前に、しっかりと全体像を押さえておかないと、抜けや漏れ、偏りが生じるからだそうです。頭ではわかっていても、きっちりと全体像を理解することが重要だというわけです。
機能のつながりを考えながらコンバージョンポイントを定義
ユーザーの行動とサイトの機能を一枚の図に落とし込んだら、次は各機能ごとのゴールを定義していきます。先ほどのユーザーコミュニティサイトの例であれば、サイトに訪れてもらう(例、訪問数)、記事を読んでもらう(PV)、投稿してもらう(投稿数)、会員登録数、FacebookやTwitter、はてブなどソーシャルへの拡散数、イベントへの参加数、サイトに戻ってきてくれた会員の数、などなど。下の図では、ゴールのポイントに旗を立てています。
そして、旗を立てたゴールを、数値に置き換えていきます。これがいわゆる、KPI(Key Performance Indicator)というやつですね。
次に、サイトそのものの目的、ゴールは、先ほど定義したどの数値が上がったら上がるのか、どの数値が悪くなると下がるのかを検証していきます。このスライドの例では「会員の満足度」がサイトのゴールに定義されています。
まずは上がった方。
次に、下がった方。
ここで、最初に図を描いていたことが効いてきます。図を使って関連付けをしないと、こうしたデータがバラバラに存在して、意味や扱いがわかりにくくなります。最初に図で全体像を把握しているため、つながりや因果関係がすっきり整理できます。どの数字を追って改善すればいいのか、自ずとわかってくるというわけです。
より論理的な仮説構築が可能に
ここまで来ると、サイト改善の仮説構築、検証サイクルが、より論理的な構造を持って行なうことができます。ゴールを達成できないのはなぜか→どのKPIが達成されていないのか→そのKPIを向上させるにはどういう施策を打てばいいのか、とブレイクダウンしていくわけです。
Web解析は取れる数字の数や切り口が無数にあります。ともすれば、単純にPVやUUを見て一喜一憂したり、逆に、「取れるデータは全部とっとけ!」→「使い道も切り口もわからず死蔵」となりがちです。
清水さんは、「知っていてもアクションできないことは、知る必要がない」と強調されていました。Webサイトのコンセプト、全体像を明確に把握した上でフレームワークを用いることで、無駄な数字に振り回されずに済む、ということでしょう。
シックス・アパートでも、サイトを「集客」「誘導」「販売」「サポート」の機能ごとに分類し、KPIを整理する試みを始めています。
まず、ソーシャルメディアやオウンドメディアで、多くの方に弊社について知っていただいて、それをきっかけに製品の認知・販売へとつなげていく。そして既存のお客様へのサポートを通じて、また弊社のサイトに戻ってきていただく、といったサイクルを想定して、解析する数値の吟味や、改善サイクルの構築を進めています。
たとえば、このSix Apart ブログは「集客」の機能を受け持つサイトとして、PVはもちろんのこと、他の弊社のサイトへどれだけ誘導できたか、繰り返し訪れていただいたか、など「入り口」としての機能を評価しています。
みなさんも一度、Webサイトを図で整理してみてはいかがでしょうか。今回、引用したスライドの全編は、以下のSlideShareでご覧いただけます。
最後に、貴重なお話を聞かせていただき、資料の転載も快諾してくださった清水さん、ありがとうございました!
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