文化放送「くにまるジャパン」

深読みジャパン(佐藤優、作家、元外交官)

日時:平成2666()

 

邦丸さん「時刻912分です。文化放送『くにまるジャパン・深読みジャパン』です。え~、今日のコメンテーターは第一金曜日でございますので佐藤優さんです」

 

邦丸さん「このニュースを取り上げます」

佳子さん「はい。産経新聞1面です。ベルギーのブリュッセルで開かれていたG7…先進7カ国首脳会議は、5日、中国の海洋進出を念頭に名指しを避けつつ『現状の如何なる一方的な試みにも反対する』という首脳宣言を採択して閉幕しました。ウクライナ情勢については525日の大統領選でポロシェンコ氏を次期大統領に決まったことを歓迎し、新政権による国家再建を引き続き後押しする方針が盛り込まれました」

 

邦丸さん「はい。え~、ちょっと前まではG8だったんですけども、ロシアとウクライナの関係で今回はロシアは外されましてG7…まぁ、元の形に戻った形になるんですかね」

佐藤さん「半永久的にもう外すでしょうね」

邦丸さん「外すんですかね」

佐藤さん「だから、G8ってのは終わったってことだと思います。それで日本の報道を観ているとですね、中国を牽制したってことをどの新聞も大きく書いてあると。ところが外国の新聞を観ると、そこは殆ど出てないんですね」

邦丸さん「ほ~」

佐藤さん「それでロシアに対して『我々はロシア連邦によるウクライナの主権と領土の一体性の継続的な侵害を一致団結で非難する』とか…」

邦丸さん「うん」

佐藤さん「なんかこういったようなことで厳しく出たっていうことを強調していると。それから『こういう悪事に関与したヤツは制裁の対象になるな』と。こういうところを強調しているんですけども、日本は他の国が制裁の対象にしているナルィシュキンという下院議長にビザを出して、2日に伊吹衆議院議長、森喜朗元首相、あるいは鈴木宗男さんなんかと一緒に会食とかやってますよね」

邦丸さん「う~ん」

佐藤さん「そこには世耕さんがきて官房副長官がきて、あの~、総理の歓迎メッセージを伝えたりとかやっている訳ですから、そうすると日本はだいぶ違う抜け駆けをやっている訳ですよね。その辺に焦点が当たらないように当たらないように外務省がリークして…」

邦丸さん「ほ~」

佐藤さん「それを素直な記者たちが素直に書いていますよね」

 

邦丸さん「う~ん。あの今回、佐藤優さんはイスラエルに出張に行かれました」

佐藤さん「ちょうど大統領選挙の25日はイスラエルにいました」

邦丸さん「このイスラエルで収集した色んな情報ってのは、もちろん我が日本にも大きく関わってくることで、既に文書でも発表されていますけども、その中でイスラエルもそのロシアに対しての制裁っていうのをアメリカ合衆国から、『イスラエル!お前も仲間に入れ!』って言ってるんだけど、イスラエルは『いやいやいや、まぁまぁ色々なことありますから』と」

佐藤さん「『うちは小さい国で力がないんで』と」

邦丸さん「『周りのことで手いっぱいで』と」

佐藤さん「『周りで手いっぱいで、もうそういったことに巻き込まないで欲しいんです』って逃げ回っていると。ただ、本音はそうじゃなくて…」

邦丸さん「ええ」

佐藤さん「2つ理由があるんですね。1つはイスラエルって人口どれぐらいと思います?結構小さい国なんですよ」

邦丸さん「何百万でしたっけ?」

佐藤さん「800万」

邦丸さん「800万」

佳子さん「800万」

佐藤さん「東京より小さいんですよ」

邦丸さん「はい」

佳子さん「ふ~ん」

佐藤さん「そのうち200万人がアラブ人」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「それで残りの600万人がユダヤ人なんだけども、100万人が新移民という人たちなんですね」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「この新移民というのは1980年代の終わりからソ連から移民してきた人たちなんです」

佳子さん「ふ~ん」

佐藤さん「で、ロシア語喋るんですよ。それでロシア文化を維持してる。それからIT産業なんていうのは、この人たちが中心な訳です」

邦丸さん「あ~、そうなんですか」

佐藤さん「それでこの人たちは今でもロシアと緊密な関係を持っているんで、制裁とかいうことになったらこの100万人のロシア人たちが…ロシア系のユダヤ人たちが『何やってんだ!』って話になるんですよ。え~、そんな感じですよね」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「それからあともう1つはウクライナの政権ていうのは前でも放送で申し上げましたけど、ガリツィアというところ、ここを拠点にしている」

邦丸さん「ウクライナでもヨーロッパ側の方ですね」

佐藤さん「西の方です。これは元々1945年にソ連の赤軍が入ってくるまでは、ポーランド領。それまで前はハプスブルク帝国…オーストリア・ハンガリー二重帝国領だったところなんですね。ここはユダヤ人が元々多かったところなんです。今のイスラエルの人たちっていうのは、そこから逃げてきた人たちが多いんですよ。ナチスドイツだけじゃなくてそこにいたポーランド人やウクライナ人も物凄いユダヤ人弾圧、迫害、殺害をやってるんですね。ですから今回のウクライナの政権の中にスボボダなんていうネオナチ…反ユダヤ人主義者がいるっていうことで物凄くイスラエルの人たちっていうのは、ウクライナの政権に対して冷ややかですよね」

邦丸さん「う~ん」

佐藤さん「『あんまり、いいもんじゃない』と。だから、『ロシアがやっていることがおかしい』と。『帝国主義だ』と。『これは批判するけども、それだからと言ってウクライナ支持する必要はないだろう』と。ですから、私がこの放送で前から繰り返し言ったのが同じラインなんで非常に安心しました。観てる観方は間違えてないんだなと。だから、『これは関わんない方がいい』と。それからもっと端的に言ってましたね。『破綻国家の一つだ』と」

邦丸さん「ウクライナが」

佐藤さん「はい」

佳子さん「う~ん」

佐藤さん「『リビアもそうだ』と。『トリポリの周辺しか権力はなくて、あとみんな部族たちが対立している』と。『シリアもそうだ』と。『あるいはナイジェリアも今、誘拐…拉致の問題になっている。あそこも北部地域がちゃんと統制できていない』と。『こういうような形で今、国家がきちんと統制できていない破綻国家がある』と。『ウクライナも東部と南部は統治できてない』と。『それでこの政権ていうのはやはり自国民に対して空爆をしたりとか…こういったことを平気でするから、西側との価値観なんてのは一緒じゃないよ』と。『しばらく経てば出てくるよ』と。『ドイツとかは分かってるんだろうけどね』と。『まぁ、アメリカが興奮しているから適宜つきあっている』と。こういう観方でしたよね」

 

邦丸さん「う~ん。あの~、このウクライナには今さっきニュースでもお伝えしましたけど、新しい大統領がポロシェンコさん」

佐藤さん「はい」

邦丸さん「このポロシェンコさんっていうのは、そのウクライナのお菓子王とかチョコレート王とか言われている方…」

佐藤さん「いや、だからね、政商です」

邦丸さん「政商」

佐藤さん「ええ」

邦丸さん「政治の『政』という字に商人の『商』と書いて…」

佐藤さん「そうです。ウクライナにおいては政治と経済は凄く結びついているんですね。ですから、経済利権を維持するためには政治に出てこないといけない。それで政治家になるとどんどんどんどんカネが貯まっていくと。こういうことになる訳ですよ」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「ですから、第2位で落ちたティモシェンコさん…美しすぎる政治家とか言われていた彼女がなんで十数%しか取れないのかと。それは不正蓄財とか山ほどやっているっていうことを国民が知っているからですよ。ポロシェンコさんという人は元々、大学卒業した後ですね、カカオ豆のバイヤーをやってたんですよ。それで大儲けするんです。それでソ連崩壊期のウクライナのお菓子会社を全部買うんですね。それでお菓子の大コンツェルンを作ってチョコレート王って言われてるんですが、造船所も持っている」

邦丸さん「ほ~」

佐藤さん「ガラスもウクライナの殆どが彼の工場で作っている」

佳子さん「ふ~ん」

佐藤さん「それからテレビ局とラジオ局を持ってんです」

邦丸さん「へぇ~」

佐藤さん「メディア王でもあるんです」

邦丸さん「う~ん」

佳子さん「う~ん」

佐藤さん「それの権力で出てきている。常にユシェンコという最初の西欧派的な大統領の時は外務大臣、それで前のヤヌコヴィッチ…ダチョウ飼ってたあの大統領の時は経済発展貿易大臣。常に権力の周辺にいるんです」

邦丸さん「う~ん」

佐藤さん「権力党員なんです。ところが一昨年の12月、国会議員選挙で当選した後から、『今度閣内に入らない』と。『どうもヤヌコヴィッチはやり過ぎている』と。『このまんま一緒に付きあっていると酷い目に遭うかもしれない』と。それで無任所になって距離を置いてたんですね」

佳子さん「ふ~ん」

佐藤さん「それで今度、今年の2月にこのユーロマイダンって広場っていう運動が出てきて、ヤヌコヴィッチ批判が出てきたら今度お金を出す訳です。『あっ、これが権力取りそうだ』と。それで後ろに隠れて黒幕として金を出して政界を動かすっていうこういう人ですよね」

邦丸さん「ふ~ん」

佐藤さん「ですから、裏の人間が表に出てきたようなもんですから」

邦丸さん「う~ん。これに対してロシアのプーチン大統領が『今回のウクライナの大統領選というものはもちろん尊重するし、新大統領についても祝福するとは言ってませんけども、その地位に就かれることについては尊重しますよ』と言っている。で、どうやらウクライナのポロシェンコさんとプーチンさんの一対一の首脳会談もあるんじゃないかとも言われている」

佐藤さん「それはやるでしょうね」

邦丸さん「は~」

佐藤さん「それをポロシェンコはどう取り引きしますかと。それ基本は政商で取引が仕事ですから。ただ取引はしても約束はしても守るかどうかっていうのはまた別の話ですからね」

邦丸さん「約束をしても約束を守る約束はしてないって…」

佐藤さん「そういうことがウクライナの場合、大いに出てきますから。だから、なかなか大変だと思いますよ。あともう1つはアメリカのものの見方ってのは、本当に単細胞でデジタルで白か黒しかないと。こういう見方になっていますよね」

邦丸さん「佐藤さんも幼稚だとも仰ってましたよね」

佐藤さん「ホントに幼稚です」

邦丸さん「う~ん」

佐藤さん「ですから、これで…ただ、力がありますからね。ジャイアン君が大きな声で歌を歌い始めたっていうあの雰囲気ですね、ドラえもんの」

邦丸さん「う~ん、ただアメリカの方がそのジャイアンが歌い…大きい声で歌を歌い始めている中で、そのヨーロッパ…今回のG7の中でも『みんなでロシアを制裁しようよ』っていうことは言っているんだけども、ドイツとかフランスとかあるいはイギリスそれぞれの立場がこう色々あって、みんなでこうスクラム組んでいるようだけども足元はもうバラバラになっている」

佐藤さん「その通りです」

 

佐藤さん「だから、そこのところ日本もよく観てる訳ですよね。それで日本は中国に対する牽制を入れるとともに面白いのは北朝鮮に対する牽制は弱いんですよ、今回」

佳子さん「ん~~?」

邦丸さん「北朝鮮と日本、拉致問題も含めて包括的に再調査をする。それも権限を持たした特別調査委員会を北朝鮮は作るということを言ったということが、日本側の文書に書かれているということですね」

佐藤さん「ええ。それであの今回のG7の昨日の合意ではですね。『我々は北朝鮮の核及び弾道ミサイル開発の継続を強く非難する。我々は北朝鮮に対するすべて核兵器並びに既存の核及び弾道ミサイル計画を放棄し、また関連する国連安全保障会議云々…』という形で弾道ミサイル、核の話を中心にして後ろの方でチョコっとですね。『北朝鮮に対して拉致問題含めこれらの侵害に対処するために速やかな処置をとるとともに関連するすべての国連機関に完全に協力することを要請する』っていうことで核弾道ミサイルの方にウェイトがある形になって、拉致ってそんなに強く出ていないんです」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「ここはこれから面白くなってくる訳ですね」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「北朝鮮の狙いっていうのは、今なんでこのタイミングで日本との関係を改善しようとしているのか。それ1番は内政で張成沢」

邦丸さん「はいはい」

佐藤さん「彼を粛清したと。そうすると悪いことは朝鮮労働党と朝鮮民主主義人民共和国国防委員会の○○。この反党集団、裏切り者…これが悪事をやってたんだと。それでここに被せて拉致問題も。ウソの発表をした後も『こいつらがやったんです』って被せて方針を転換することが可能になりましたよね。2番目は今、中国との関係が悪化していると、北朝鮮と」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「それは張成沢たちってのは中国との経済関係を強化して北朝鮮を安定させようとしたと。そうなると必ず中国は『お前ら核兵器の開発を止めろ』と。『そんなことにカネをかけないで民政に向けろ』と。「その代わり守ってやるから」と。『我々の核で』と。となると北朝鮮の自主性が弱くなると」

邦丸さん「うん」

佳子さん「うん」

佐藤さん「それは危ないっていうのが排除する要因だったんですよね。そうすると中国は張成沢がいた方がよかったから関係悪化していると。そうすると中国と一番関係の悪い国との関係を改善するというのは、北朝鮮とのメリットになるんですよね」

邦丸さん「あ~、そうか!」

佳子さん「ふ~ん」

邦丸さん「それが日本になる訳だ」

佐藤さん「敵の敵は味方だって発想ですよ」

邦丸さん「う~ん」

佐藤さん「それからアメリカがイランに対して弱腰になってきた。『事実上イランが5%までのウラン濃縮をするんだったらいい』と認めている訳ですよね。もう20%の技術は持っている訳ですから、5%に落としていてもすぐに20%にできる。それ90%にすれば原爆作れる訳ですから。ということは北朝鮮も『上手くすれば外国に売らないってことならば核は持てるんじゃないか』と思い始めている訳ですよ」

邦丸さん「ほうほうほう。要するにイランと北朝鮮は太~いパイプがある中でイランはそういう扱いを受けるんだったら、北朝鮮も同じ扱いを受けてもいいんだと」

佐藤さん「少なくとも北朝鮮に関してはイランよりもいい扱いを受けても当然だと。それはイスラエル・アメリカの同盟関係と日米の同盟関係を考えれば、イスラエルとの同盟関係の方が圧倒的に重いからイランに強硬に出てくると。日米同盟っていうのはイスラエルの同盟ほど強くはないと。ならばアメリカだって戦線は拡大しないだろうと。そうすると日本は核の問題に関しては、実は拉致と比べると国民的な関心が低いと」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「そしたら拉致問題での解決をするならば核について日本は比較的緩いんじゃないかと、アメリカに比べて。こういう感覚ですよね。ですから核弾道ミサイルの大量破壊兵器問題と拉致問題を切り離して、人道問題の拉致問題を前向きに示すっていうことで狙いは核を温存すると。こういう取り引きができると期待していますね」

邦丸さん「まぁ、アメリカはとにかく日本列島どころじゃない、太平洋を越えてくる核ミサイルの恐怖もあるから、『とにかく核開発は許さない』なんて言っているけど、その楔を打つように日本がその間で拉致問題をある程度進展させることによって、『まぁ、アメリカさん、そうそうそういきり立たないで、大丈夫だからっていう役割を担えよ』ってことを暗に言ってるんですか」

佐藤さん「そういうことです」

邦丸さん「ほ~」

佐藤さん「それとだから例えばこの前のナルィシュキンを受け入れているってこと」

邦丸さん「ロシアからの」

佐藤さん「つまり日本の外交ってのはアメリカから見るとですよ、『だいぶ独自のことやっているじゃないか』と」

邦丸さん「ええ、ええ、ええ」

佐藤さん「『口で言っていることと実際の行動ってのはちょっとズレてんじゃないか』と。こういう思いを持ってますよね。それで北朝鮮でも始めた訳でしょ。今、2ヶ所でアメリカと方向の違うとこを見てるんですよ」

邦丸さん「ロシアと…」

佐藤さん「180度逆じゃないけども15度から20度ぐらいはズレてる」

邦丸さん「これはオバマ政権からはどうなんですか」

佐藤さん「オバマ政権からすると面白くないですよ」

邦丸さん「うん」

佳子さん「うん」

佐藤さん「面白くないけども、術がない。何かやって日本を矯正する方法がない。首脳会談もやってる訳ですからこういうとこだと思いますよ」

邦丸さん「う~ん。そういう面で言うと佐藤さんはここのとこの総理官邸と外務省のたち振る舞いは非常によくやっているって仰っていますが…」

佐藤さん「よくやっている。ある意味では帝国主義的ですね」

邦丸さん「帝国主義的」

佐藤さん「要するに自分の国の力に合ったところでの勢力に均衡していくと。だからアメリカの力が相対的に弱っていることはよく分かっていると。それだからそこのところで対応を変えると。中国は強くなっていると。だから主敵を中国に定めると。こういうやり方ですよね」

 

邦丸さん「う~ん。一方で佐藤さんは中国とベトナムですね、西沙諸島を巡るこのまぁ、毎日のようにベトナムの船に中国の船が衝突してる。中国は言わせれば『向こうからぶつかってきてるんだ』と言ってきている。この辺の衝突っていうのはどのようになると思ってらっしますか」

佐藤さん「あれはね、今のまんまの状態が続くと思うんですよ」

邦丸さん「続く」

佐藤さん「ちょっと中東と似ているんです」

邦丸さん「はい」

佐藤さん「要するに中東で例えばイスラエルとレバノンとか、シリアの間で偶発的に兵士が誘拐されると、イスラエルの。拉致されると。そういうふうになった場合ってのは、じゃぁどれくらいのことをすればいいかっていうことで、だいたいルールが決まっているんですよね。それと同じでエスカレートしないところで、ずーっとああいうことが続いている訳ですよ。ところが尖閣とかで起きると今までそういう経験がないでしょ。どんどんエスカレートして全面戦争に発展する危険性がある。だから、しょっちゅうぶつかっているっていうのは物凄い逆説的なんだけども、そっからその程度で止めるっていう歩留まりの知恵が出てくるんですよね」

邦丸さん「う~ん」

佳子さん「お~」

佐藤さん「ぶつかっていないでいきなり起きた時に初動が凄く大変なんです」

佳子さん「はい」

邦丸さん「湯加減、手加減が分かんないってこと」

佐藤さん「分からない」

邦丸さん「う~ん」

佐藤さん「だって日本は本格的な戦争をしてないでしょ」

邦丸さん「う~ん」

佐藤さん「中国海軍は?最後に本格的な戦争をしたのは黄海の海戦じゃないですかね。日清戦争の時の」

邦丸さん「うん」

佐藤さん「両方ともその意味では実戦をやってない軍隊ですから、実戦をやってない軍隊同士がぶつかるっていうのは怖いですよ」

邦丸さん「う~ん。まして中国とベトナム…中越でぶつかってますもんね、戦争してますから…」

佐藤さん「実はこれ面白い裏話があるんですね。中越でぶつかった後、中国とイスラエルの軍事協力が始まるんですよ、密かに」

邦丸さん「う~ん、ええ」

佐藤さん「ところがそれは2002年に終わるんですね。アメリカが『辞めろ』って言ったんで」

邦丸さん「うん」

佳子さん「うん」

佐藤さん「それで実は中越戦争ってベトナム側の大勝ちなんですよ。それは対米戦争で鍛えていたこととソ連が最新兵器を供与したからなんですね」

邦丸さん「ほ~(驚)」

佐藤さん「それで中国は自分たちの兵器体系を遅れてるっていうことを知って…」

邦丸さん「イスラエルに」

佐藤さん「ひそかにイスラエルとの協力…これ鄧小平のイニチアティブで始めたんです」

邦丸さん「へぇ~~(驚)。なんか歴史の縦軸と現在の昨今の状況ってのはホントにこう見事に…」

佐藤さん「それだから今、イスラエルと日本がどうして防衛協力に進むことができるかっていうと中国との関係をイスラエルが絶ったから」

佳子さん「ほぉ~~」

邦丸さん「はぁ~」

佐藤さん「それがあるんじゃ危なくてできない訳ですよ」

 

邦丸さん「ふ~ん。え~、お時間が参りましたが、あの~、ホントはイスラエル出張期で言いますとね、イスラエルのお寿司屋さんに面白いメニューがあるという」

佳子さん「はい」

邦丸さん「これはちょっと取っときまして」

佐藤さん「わかりました」

邦丸さん「これもロシアからの影響という。ロシアでそんな店があるのかいっていう…再来週ですね」

佐藤さん「はい」

邦丸さん「そういうやわネタも含めて、また再来週2週間後に伺います。よろしくお願いします。佐藤優さんでした」

佳子さん「ありがとうございました」