(8/30:再考察をしました。
子宮頸がんワクチンに効果ありの新潟大論文の再評価ーー20歳でのhpv 16/18感染を抑制するかも知れないが、非接種で35歳以上でほぼ消えるので、無意味
2024年08月30日)

HPVワクチンが90%以上の感染抑制効果を示したという、新たな間違い論文を紹介します。
間違いの原因はあまりにも稚拙です。詐欺の意図はなく、単に稚拙なだけだと思います。

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新潟大学の研究は有名だということでネットで検索しました。下記の説明がありました。
日本人女性に対する子宮頸がんワクチンの有効性 -HPV ウイルスの感染予防効果を実証-
新潟大学医学部 平成30年10月9日 
 
>子宮頸がんワクチンのHPV16/18 型感染予防に対する有効率は 90%以上と高い数字を示し、特に、初交前に同ワクチンを接種するとその効果がさらに高くなることを明らかにしました。

5年前の研究です。その後の追跡調査はしないでしょう。きっと。結論を否定せざるを得なくなるので。

調査の詳細を知るために、発表論文を探しました。  

Bivalent Human Papillomavirus Vaccine Effectiveness in a Japanese Population: High Vaccine-Type–Specific Effectiveness and Evidence of Cross-Protection
 J Infect Dis. 2019 Jan 9;219(3):382-390. doi: 10.1093/infdis/jiy516
Risa Kudo et al. 
Department of Obstetrics and Gynecology, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata, Japa

(論文の中の数字)
論文には、表しかないので、図にしました。
検査は2014~2015年に行われました。対象者は1993~1996年生まれでした。

接種は1994年から始まったので、当時22歳の全員が未接種です。接種率がどんどん増え、19歳では未接種者は10%しかいません。未接種者の半分が22歳でした。接種者の内、4割が21歳、20歳が3割、19歳も3割弱。
新潟大の研究、対象者

陽性者と陰性者は、年齢別には示されず(これが詐欺の、みそ)、以下の結果でした。

HPV 31/45/52ウィルスに対しては、非接種者では陽性が21人でしたが、接種者では13人でした。対象者数が1355人と459人で3倍違うので、罹患率では6倍異なります。
HPV 16/18ウィルスに対しては、非接種者と接種者の陽性者はそれぞれ10人とたったの1人で、罹患率は30倍も違いました。

性交経験と初交年齢と言う恐ろしい質問もしています。

表にはなく、文中にあるのかも知れませんが馬鹿馬鹿しいので探していませんが、初交前に接種するとさらに効果が高くなると、日本語では説明しています。
新潟大の研究、結果

(詐欺の手口)
読者の皆さんは、凄~~~い。と思ったでしょうか?富江の解析
子宮頸がんは増えているか(14)--罹患率は1985年生まれがピーク世代で、その後減っている。ワクチンは1994年生まれ以降
2024年05月05日
は間違いじゃあないか?と思ったでしょうか?

詐欺の手口は、陽性、陰性の人数を、年齢ごとに明らかにせず、全年齢の数字しか書かなかったことです。

子宮頸がんの罹患者は30歳未満で激減します。20歳未満は殆どいない、と言えます。20~24歳と25~29歳のデータ点を単純に結ぶと1.8歳違うと2.7倍罹患者数が増えます。

従って、22歳と19歳を単純に比較してはなりません。

10歳は、接種したからではなく若すぎて罹患しません。非接種の半数を占める22歳は、非接種だから罹患率が高かったのではない、19歳より4歳も年上なので罹患率が10倍も高いのです。

急激な年齢依存を完全に無視して、22歳(非接種群)と19~21歳(接種群)を比べて、90%抑制した、と結論したのです。なんと幼稚な。
子宮頸がん罹患者数、年齢依存
余りにも幼稚な間違いです。

詐欺の手口は、年齢ごとに接種、非接種を比べるべきところを、年齢を区別せずに比較したことです。

(正しい図)
罹患率が激減する30歳未満のデータの取り扱いには慎重でないといけません。少なくとも、異なる年齢を比べてはいけません。環境が似ているであろう生まれ年で比較せねばなりません。それが私が示している図です。

罹患数が少なく精度が低いので、前に示した図から20~24歳のデータを削除しました。理由は不明ですが、2013年以降、子宮頸がんの罹患者は減っています。生年で言うと1980~1985年がピーク世代で、その後減っています。ワクチン接種世代(1994~2000年生まれ)の前から減っており、ワクチンとは無関係の減少です。

10年後にワクチン世代(1994~2000年生まれ)が30歳以上になって、大きな罹患数が出てくれば、ワクチン接種が、罹患数を増やしたのか影響はなかったのか、がはっきりします。
子宮頸がん罹患率の推移ー生年依存ー2