熊本地震支援で、小生なりの情報提供です。
現場の状況がわからないのですが、この規模の災害に対応した支援メニューが、東日本大震災以降の法改正などで、拡充されていますので情報提供します。
現場での支援に係る方、現場の状況を踏まえて、適切にお使いいただければ幸いです。
なお、小生は、前内閣府防災担当審議官の佐々木晶二と申します。(内閣府審議官時代に、2013年災対法改正と「大規模災害からの復興に関する法律」の法制立案担当室長をしてました。肩書き、氏名がないと情報がつかいにくいかもしれませんのであえて一時公表します)
現場の状況がわからないのですが、この規模の災害に対応した支援メニューが、東日本大震災以降の法改正などで、拡充されていますので情報提供します。
現場での支援に係る方、現場の状況を踏まえて、適切にお使いいただければ幸いです。
なお、小生は、前内閣府防災担当審議官の佐々木晶二と申します。(内閣府審議官時代に、2013年災対法改正と「大規模災害からの復興に関する法律」の法制立案担当室長をしてました。肩書き、氏名がないと情報がつかいにくいかもしれませんのであえて一時公表します)
1-1 旅館借り上げ避難所のための手続
災害救助法の事務取扱要領では、補助対象となる避難所は公的施設が原則となっていますが、内閣府防災との連絡調整によって、旅館、ホテル等も避難所とすることができます。(国土交通大臣の旅館を開放するとの発言は、観光庁所管の立場だと思いますが、災害救助法の補助対象に自動的になるわけでないのでご注意ください。詳細は、災害救助法事務処理要領 第4 1(1)イ(イ)です。http://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/pdf/h26kaigi/siryo1-2.pdf この事務処理要領には細かな手続、補助対象などが記述されています。)
1-2 借り上げ避難所での災害救助法での国庫補助対象額
避難所に旅館を借り上げる具体の費用については、借り上げの費用として、新潟中越や東日本大震災では、一人一日5000円が特別基準の参考として示されました。http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015jqc.pdf
しかし、原則は「地域の実情に応じた相当な価格」であり、災害救助法担当者は地元市町村の実態を踏まえ、内閣防災の担当者と協議して、熊本市など大都市での実際の旅館やホテル代などを踏まえて、引き上げが可能です。(先ほどの事務処理要領では、ク(2)まる2、まる4に記述があります。そこでは実費弁償基準(一日320円)https://www.city.nanao.lg.jp/bosai/documents/22saigai_kyuuzyo_hou.pdfの範囲内で借り上げに対する使用謝金が払えること、さらにそれの上乗せが必要な場合には内閣防災に協議するよう求めています。
1-3 広域避難について
避難所の開設は被災地の市町村内に限定することはありません。県内の他の市町村に対して避難所の開設及び避難者の受け入れを求めることができます。これに対して、受け入れ市町村は自分たちも被災しているなど正当な理由がなければ拒むことができません。(災害対策基本法第86条の8)
また、他県に避難所を求める場合には、知事が他の知事と協議します。それに対して、受け手側の知事が正当な理由なしに断れないのは、市町村の場合と同じです。(災対法第86条9)
被災者の輸送はバスが中心となりますが、そのバス会社への被災者運送について、最終的に運送の指示及びバス運転手への従事命令をだす権限は知事にあります。(災対法第86条の14、災害救助法第7条)
また、県外で災害救助法の費用を負担した知事は、被災県に求償する代わりに、国に求償するという方法が2013年改正で措置されています。(災害救助法第20条第2項、第3項)
それを前提にして、借り上げ避難所の確保も是非お願いします。
特に余震が続いていますので、他県も含めて、RC建造物など堅牢な構造の旅館を借り上げて避難所にすることは有効と考えます。
1-4 避難所の災害救助法の国庫補助対象
また、通常の公共施設の避難所でも、坂茂さんが提案された間仕切りも補助対象になっています。また、仮設便所、更衣室など補助メニューが拡充されています。その他補助対象は上記事務処理要領に細かく記載されています。
2-1 福祉避難所の災害救助法での位置づけと支援内容
福祉避難所は、今の事務取扱要領では福祉施設に入っている方は福祉施設に移転していただく、それ以外の高齢者や妊婦への対応として福祉避難所がいちづけられています。もちろん、現実に適当な福祉施設がない場合には、要介護度の高い方も福祉避難所に入ることは可能です。
なお、災害救助法の補助内容は依然として通知や事務要領によっていますが、2013年災対法改正で以下の条文が追加されています。この精神で制度が運用されるべきであり、また、現場の要請に国も対応する必要があります。
3-1 安否確認のための高齢者や身障者の情報利用
避難行動要支援者名簿は、事前に福祉部局と県の医療部局で、高齢者、要介護者、身体死傷者などのリストが市町村ごとに作成が義務づけられています。また、この名簿は平時は、「本人の同意」、「条例の制定」、「市町村に設置されている個人情報審議会の公開基準での位置づけ」のどれかがないと、自治会等へ公開されません。
しかし、今回のような災害発生時には、救助にあたる消防団や警察官、自衛官、民生委員の他、自治会などに、「本人の同意にかかわらず」、避難行動要支援者名簿を提供できることになっています。(災対法第49条の11第3項)この規定を使って、是非、市町村職員は関係者に名簿を提供して、安否確認を依頼してください。
4 建築物の応急危険度判定
建築物の応急危険度判定は県の建築士会と県及び特定行政庁(大きな市のイメージ)が体制を作っている応急危険度判定士(建築技術士のプロです)が、建築物を続けて使用した場合に危険かどうかの判定をする仕組みです。
市町村の防災部局はまず、県の建築部局に診断を行うことを要請してください。特に、避難者が避難する予定又は既に避難している施設の状況を先に診断してもらってください。建築物の構造がちゃんとしていれば、震度6で命が失われることはないと市町村職員も説明できるので、避難者も安心します。
県建築部局は他県からの建築技術者の応援が必要であれば、他県に直接声をかける、地方整備局建政部又は国土交通省建築指導課に相談してみてください。
ただし、この応急危険度判定は、危険物を今使って大丈夫かどうかの判断で、罹災証明書に書かれ、被災者支援につながる「全壊」「半壊」などの区別とは異なります。
5 罹災証明書の発行と被災者台帳の作成
罹災証明書の作成は、市町村長の義務です。(災対法第90条の2)これは、被災者支援や道路交通のために不可欠な書類です。地域防災計画に基づき発行の作業をお願いします。
被災者台帳は努力義務ですが、被災者が被災者支援金や税制上の支援、金融上の支援をもれなくうけるために是非とも必要です。法律で作成のために市町村内の福祉や税制の情報を個人情報保護条例を突破して利用できる規定、さらに、都道府県の医療情報なども県の個人情報保護法を突破して、市町村が作成できます。(地域防災計画に位置づけられているのであればそれに基づいて作成してください)(災対法第90条の3)
なお、被災者の立場にたって被災者支援の枠組みを整理したものとして、小生の友人であり、実際に被災地の現場に詳しい防災のプロである岡本正弁護士のHPのページを引用します。こちらも是非ご一覧ください。http://www.law-okamoto.jp/column/3064.html
金融機関の対応については、津久井弁護士から情報提供いただきました。早速九州財務局が捺印で預金がおろせるなど対応を明確化しています。こちらも是非ご覧ください。http://kyusyu.mof.go.jp/rizai/pagekyusyuhp016000094.html
津久井先生の情報も役に立ちます。とにかく、スマホでいいから壊れた家の写真撮っておいてくださいなどです。http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-927.html
今後の、都市計画・住宅などの復旧、復興の準備情報としては以下の点をとりあえず提供します。
避難行動要支援者名簿は、事前に福祉部局と県の医療部局で、高齢者、要介護者、身体死傷者などのリストが市町村ごとに作成が義務づけられています。また、この名簿は平時は、「本人の同意」、「条例の制定」、「市町村に設置されている個人情報審議会の公開基準での位置づけ」のどれかがないと、自治会等へ公開されません。
しかし、今回のような災害発生時には、救助にあたる消防団や警察官、自衛官、民生委員の他、自治会などに、「本人の同意にかかわらず」、避難行動要支援者名簿を提供できることになっています。(災対法第49条の11第3項)この規定を使って、是非、市町村職員は関係者に名簿を提供して、安否確認を依頼してください。
4 建築物の応急危険度判定
建築物の応急危険度判定は県の建築士会と県及び特定行政庁(大きな市のイメージ)が体制を作っている応急危険度判定士(建築技術士のプロです)が、建築物を続けて使用した場合に危険かどうかの判定をする仕組みです。
市町村の防災部局はまず、県の建築部局に診断を行うことを要請してください。特に、避難者が避難する予定又は既に避難している施設の状況を先に診断してもらってください。建築物の構造がちゃんとしていれば、震度6で命が失われることはないと市町村職員も説明できるので、避難者も安心します。
県建築部局は他県からの建築技術者の応援が必要であれば、他県に直接声をかける、地方整備局建政部又は国土交通省建築指導課に相談してみてください。
ただし、この応急危険度判定は、危険物を今使って大丈夫かどうかの判断で、罹災証明書に書かれ、被災者支援につながる「全壊」「半壊」などの区別とは異なります。
5 罹災証明書の発行と被災者台帳の作成
罹災証明書の作成は、市町村長の義務です。(災対法第90条の2)これは、被災者支援や道路交通のために不可欠な書類です。地域防災計画に基づき発行の作業をお願いします。
被災者台帳は努力義務ですが、被災者が被災者支援金や税制上の支援、金融上の支援をもれなくうけるために是非とも必要です。法律で作成のために市町村内の福祉や税制の情報を個人情報保護条例を突破して利用できる規定、さらに、都道府県の医療情報なども県の個人情報保護法を突破して、市町村が作成できます。(地域防災計画に位置づけられているのであればそれに基づいて作成してください)(災対法第90条の3)
なお、被災者の立場にたって被災者支援の枠組みを整理したものとして、小生の友人であり、実際に被災地の現場に詳しい防災のプロである岡本正弁護士のHPのページを引用します。こちらも是非ご一覧ください。http://www.law-okamoto.jp/column/3064.html
金融機関の対応については、津久井弁護士から情報提供いただきました。早速九州財務局が捺印で預金がおろせるなど対応を明確化しています。こちらも是非ご覧ください。http://kyusyu.mof.go.jp/rizai/pagekyusyuhp016000094.html
津久井先生の情報も役に立ちます。とにかく、スマホでいいから壊れた家の写真撮っておいてくださいなどです。http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-927.html
今後の、都市計画・住宅などの復旧、復興の準備情報としては以下の点をとりあえず提供します。
1 災害復旧事業、都市計画の市町村の業務の県による代行
大規模災害からの復興に関する法律によって、今回の災害対策本部が設置された災害に対しては、市町村が行うべき災害復旧事業を県が、県が行うべき災害復旧事業を各大臣が代行できます。また、都市計画決定も市町村決定を都道府県が代行できます。被災市街地復興推進地域は補助メニューや税制ともリンクしていますが、今回の市町村のノウハウからいって都市計画職員が不足している場合には、熊本県が都市計画決定できます。
大規模災害からの復興に関する法律によって、今回の災害対策本部が設置された災害に対しては、市町村が行うべき災害復旧事業を県が、県が行うべき災害復旧事業を各大臣が代行できます。また、都市計画決定も市町村決定を都道府県が代行できます。被災市街地復興推進地域は補助メニューや税制ともリンクしていますが、今回の市町村のノウハウからいって都市計画職員が不足している場合には、熊本県が都市計画決定できます。
2 UR都市再生機構の業務特例
また、被災市街地復興特別措置法第22条の規定に基づき、UR都市機構がいわゆる定員をちゃんと確保して災害公営住宅の建設や市街地系の事業を実施することができます。(定員要求すべきかはURと住宅局がまず検討が必要です)熊本市や周辺地方公共団体には是非URの職員が支援に入ることを期待しています。
3 都市計画やまちづくりを考えるための猶予期間を与える建築規制、都市計画の特例
ある程度面的に建築物が被害を受けた地域については、建築基準法第84条で、当面、特定行政庁の判断で、また、2ヶ月のの被災地建築制限をかけることができます。さらに、丁寧に地元調整が必要な場合には、被災市街地復興特別措置法第5条に基づく被災市街地復興推進地域を広めに都市計画決定して、2年間の間、土地区画整理事業、地区計画等によって住宅局の任意事業をする、地区計画だけであとは個別建物支援だけをする場合の地元調整を時間をかけて行うことができます。
被災市街地復興推進地域は、市街地再開発事業や土地区画整理事業の施行を予定している区域だけでなく、施行しないかもしれない区域、とりあえずまだ方針がきまっていない区域にもかけて、とりあえず土木工事、建設工事を仮設を除いて、市(町村の区域は知事)にチェックしてもらう制度です。
また、この記事はご質問に答えて拡充していきます。
災対法関係の新しい条文関係は以下のURLです。http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/u57_03.pdf
復旧・復興関係は、『政策課題別都市計画制度徹底活用法』が詳しいですが、とりあえずの情報は、以下のURLの4(5)以降と最後の参考の「災害規模別の都市計画・事業の適用内容」の1と2を見てください。2の規模の災害に今回はあたるはずです。http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/u59_03.pdf また、被災市街地復興特別措置法第22条の規定に基づき、UR都市機構がいわゆる定員をちゃんと確保して災害公営住宅の建設や市街地系の事業を実施することができます。(定員要求すべきかはURと住宅局がまず検討が必要です)熊本市や周辺地方公共団体には是非URの職員が支援に入ることを期待しています。
3 都市計画やまちづくりを考えるための猶予期間を与える建築規制、都市計画の特例
ある程度面的に建築物が被害を受けた地域については、建築基準法第84条で、当面、特定行政庁の判断で、また、2ヶ月のの被災地建築制限をかけることができます。さらに、丁寧に地元調整が必要な場合には、被災市街地復興特別措置法第5条に基づく被災市街地復興推進地域を広めに都市計画決定して、2年間の間、土地区画整理事業、地区計画等によって住宅局の任意事業をする、地区計画だけであとは個別建物支援だけをする場合の地元調整を時間をかけて行うことができます。
被災市街地復興推進地域は、市街地再開発事業や土地区画整理事業の施行を予定している区域だけでなく、施行しないかもしれない区域、とりあえずまだ方針がきまっていない区域にもかけて、とりあえず土木工事、建設工事を仮設を除いて、市(町村の区域は知事)にチェックしてもらう制度です。
また、この記事はご質問に答えて拡充していきます。
災対法関係の新しい条文関係は以下のURLです。http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/u57_03.pdf
法令の条文については、以下のURLの法令名の欄に法律名をいれて検索してください。http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi