無口は"思慮深さ”ではなく、"無能”を演出する
新人のころは会議で発言するのも勇気がいりますよね。「正しい意見を言えるのだろうか」とか、「皆が膝を叩くような、素晴らしいアイデアを提案できるのだろうか」とか、考えているうちに結局、しゃべることができず会議が終わってしまったりします。
ですが、先輩、上司はそもそも、新人にグッドアイデアや正論などを期待していません。期待しているのは、新人が何を考えているのか知りたいということと、経験の少なさからくる慣習にとらわれない意見だったりします。そして、会議で熟考していても"思慮深い人”とは受け取ってくれません。"何を考えているのか分からないやつ”あるいは最悪“無能なやつ”と思われる確率の方が高いでしょう。
また、発言したからといって即賞賛、なんてことにはなりません。素人の意見なのですから。ですが、発言しなければ評価は下がるばかりです。新社会人にとってこれは、自分の評価をプラスに導く作業ではなく、どちらかと言えばマイナスを生まないための作業かも知れません。ただ仕事は日々の積み重ねですので、くだらないアイデアでもハキハキ発言するに越したことはないですよね。
他人の評価は自己評価よりも正しい
この場合の他人とは、先輩、上司、取引先などです。彼らはこれまでの仕事のなかでたくさんの人と出会い、たくさんの人を見てきました。新社会人1年生よりも経験豊富なまわりの評価の方が正しいのは当たり前ですね。
さらに言えば、「自分はこういうタイプだ」、「自分は出来る方だ」、「自分には実力が足りない」とか自己評価と言われるものは様々ありますが、この場合、合っているか否かなんかは実際どうでも良かったりします。大切なのは他人にどう評価されているか、だったりするのです。
新社会人1年目なんて大概は、自分で仕事を作り出せる環境にありません。「あの新人は◯◯◯な素養を持ってそうだから、この仕事を任せてみよう」という具合に仕事をふられる場合の方が多いでしょう、というかほとんどそうなんじゃ無いかと思います。ですから、(自分を見つめ直すみたいな目的であれば多少は意味がありますが)自分の適性にあった仕事をしよう、なんて考えから逆算した際の自己評価なんてあんまり意味がありません。
そんなことをしている暇があったら、あらゆるタイプの仕事に打ち込んでみたほうが効率的ですね。
人に信頼されなければ仕事は始まらない
繰り返しになりますが、新社会人1年目は大概、自分で仕事を作り出せる環境にありません。先輩や上司が、新人のキャパシティと会社のオーダーの間を調整しつつ仕事を振ることが多いでしょう。多くは雑用から始まります。重要な仕事は任せてもらえません。なぜなら、重要な仕事は会社にとって失敗したときのリスクが大きいからです。当たり前ですね。
ですが社会人1年目だって、当人としてはビジネスパーソンである意識もあるわけですから、重要な仕事を任されたいという思いもあるでしょう。そこで大切なのは、先輩や上司(=仕事を発注する側)の信頼を得るということになります。雑用であっても、先輩や上司は新人(=仕事を発注される側)が信頼できる人間であるかどうかを見ています。雑用であっても手を抜かずやり遂げることで、先輩や上司(=仕事を発注する側)からの信頼が生まれ、より難度が高く重要な仕事を与えれるようになるのです。
たまに目立つ仕事じゃないとパフォーマンスを出さない阿呆がいますが、そんな阿呆は極めて高い確率でそのうちの職場から居なくなりますので、気にしないようにしましょう。
ただこれは、全ての仕事中をフルパワーでやるべき!というとはニュアンスが違うんですけどね。そんなことしてたらガス欠になってしまいますから。これが芸術家などであれば全ての仕事に灰になるまで尽力するのでしょうが、ビジネスパーソンの場合は仕事のクオリティに波があってはいけません。明日も明後日も仕事はあるのです。完成度100パーの仕事を70パーの力でやるってイメージでしょうか。
たまにこれが逆のやつがいて、完成度の低い仕事に業務時間の全てを注ぎ込むような阿呆ですが、そういう阿呆の場合は、「お前もう実家帰れ」って思いますね。思うくらいにしておきましょう。
アウトプットは求められる前に出す
アウトプットは求められる前に出す、ということも大切です。「無口は"思慮深さ”ではなく、"無能”を演出する」ことになってしまうのでは無いか、という考えを書きましたが、これと似たようなリスクが新人にはあります。それは、(先輩よりも)アウトプットの回数が少ないことによる資質の不明確さです。職場の先輩らは、営業でのプレゼン回数も、提案資料の制作頻度も、報告書の提出数も新人以上にあるわけですから、先輩がどんな人か?ということについては、周囲も既に認知しています。
ところが新人の場合は、周囲の理解がまだまだありませんので、上司としては仕事を振ろうにも判断がつきません。判断がつかなければ、チャレンジできるような仕事を与えることが出来ません。となると、誰がやっても効果は同じ、というような仕事を振るしかなくなりますが、これではモチベーションも上がらないばかりか、評価もあがりませんよね。
新人は、自分を売り込むという作業が大切です。(中途採用で新しい職場へJOINするキャリアの場合も同じですが、中途採用の場合は教えられなくともこういった行動を起こす方がほとんどですよね。)
人に信頼されなければ仕事は始まらないという考えを書きましたが、新人と先輩が発注者と受注者の立場と考えた場合、仕事を受注したいのであれば売り込みは必要ですよね。
職場で目立て、という言葉に言い換えても良いかもしれません。そして目立つのであれば、アウトプットは求められる前に出す、ということも大切ということです。ものは作業報告や調査報告、会議や商談の議事録でも、先輩に借りた本の感想でも何でも良いと思います。
自分を雇うなら、いくらで雇うのか考える
僕が26才くらいの時にマネージメントしていただいた上司に言われた言葉です。「自分が、自分ににこのプロジェクトを任せるとして、いくら払う?あるいは、自分で自分を雇うとしたら、いくらで雇う?」これには、ハッとしました。なぜなら、自信をもって、当時の給料分のお金を自分に支払っても良い!と言えなかったからです。
これは人日計算、人月計算の確かめ算的な単純な話でとらえても良いでしょうし。自分の監視者は、究極的には自分でしかない、という考え方もできるでしょうし、いろいろ捉え方はあると思いますが、新社会人1年生のころの自分へ向けて言うなら・・・、もらった分の仕事をしているのか常に考えろ、というところでしょうか。経済社会は等価交換で成立しているので、それは自分の給与額とそれに見合った労働成果を考える際にも適応すべきですよね。
相手の立場と気持ちになって考える
先輩は皆言うことですが、相手の立場と気持ちになって考えることも大切です。社会人経験の長い方は自然と身についていることかと思いますが、社会人経験の浅いはじめの頃って案外気づきづらいものですよね。
相手の立場と気持ちになって考えれば、相手の求めているものが見えてくるものです。
急に狭い話で恐縮ですが「お客さんが高いと言っているので、安くしてください」とか、「お客さんが赤が良いと言っているので、このPOPの背景を赤にしてください」とか時折、あ、このひと考えるの放棄しているな、と感じるような交渉(と言えるほど高尚なもんじゃない)を持ちかけてくる新人やそれに付随する阿呆がいますが、泣きたくなりますよね。
この場合は、「なぜ高いと思っているのか?」、「なぜ赤が良いと考えているのか?」とリクエストの根源的な部分をクリアにしておかないと、話がこじれる場合が往々にしてありますし、相手の立場と気持ちになって考えなければ、本当の意味で相手の満足を得ることは出来ませんよね。
いつも なぜ? のフィルターを通して咀嚼する
これは相手の立場と気持ちになって考えるとワンセットなのですが、相手のリクエストや質問に対して、それをリクエストする意図はなんなのか?そんな質問をする理由はどこにあるのか?と「なぜ?」のフィルターを通して考えることで、より正確に相手が求める解を返すことができるようになるというものです。
「なぜ?」のフィルターでもって相手の質問を咀嚼し、その質問の意図が分かれば、その後の返答や戦略を上手く構成することができますよね。「もっと安くなりませんか?」や「今、彼女は居るんですか?」というような質問は、何れもその質問の意図が分かれば、こちらが優位に展開することの出来るような返答や戦略を練ることができるんじゃないかと思います。
最近、新卒のスタッフと話す機会があって、何となくボンヤリ考えていたことをまとめてみました。
僕の職歴の変遷は、雑誌編集(2)>書籍営業(2)>インターネットBtoBの営業(1)>webディレクター(5)ということで、若干偏っていますが、それでも上のトピックは多くの仕事に共通するものだと思っています。※カッコは勤務年数
あとは、早めに大失敗をしとけ、とかですかね。
コメント
コメント一覧 (3)
可能であれば、業界用語や略語も一般的なそのものずばりを指す言葉に代えて。
新人に限らず、仕事をする上で「自分の理解内容の確認」はMUSTでやるべきで、
それ以外の事象は、理解の相互摺合せの中で解決する。
「私(弊社)のやるべきことは○○で、その目的は××ですね」と自分の言葉で話せない奴は
つまりは理解してないってことだ。