世界コンピュータ将棋選手権(WCSC)後に開発者様が大会で使用した評価関数を惜しげもなく公開、さらに有志の方が手間をかけてソフト同士を連続対戦させレーティング値を概算。


そのあいだ、僕はじっと全裸待機っ……!
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そうして数日後に導き出された結果を見届けた僕は、おもむろに両手を口元にあてブログで叫ぶ。

おーい、みんなーっ!
最強の評価関数は「Háo」だぞーーっ!!


いや、何の役にも立ってなくてホント申し訳ない……

これまでは導入方法をわかりやすく解説することで多少なり貢献してきたつもりなのですが、それも今回はたややん氏の↓↓の動画をみれば一発でわかるので、マジで僕の出る幕がないです。



――というわけで、今回は技術的な話は抜きにして「Háo」にまつわる周辺エピソードをゆる~く取り上げようかなと思います。



◆「Háo」の開発者はだれ?

医療機器ソフトウェアの開発会社「ザイオソフト」に勤める5、6人によって編成されたコンピュータ将棋サークルで、そのうちnodchip(ノドチップ)さんが評価関数を配布されました。
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第28回WCSCでは「たぬき(T.N.K.)」のソフト名で出場し、「ディープラーニングの技術を将棋に持ち込むのは無理筋」と考えられていたKPPT全盛期(~2018)に、あえてNNUE系のソフトを採用し見事上位入賞。今日のDL系ブームに先鞭を付けた時代の寵児であらせられます。





◆「Háo」の名前の由来は?

「それは你好(ニーハオ)のハオに決まってるでしょ」

って思われた方、残念!

「á」は"ピンイン"とよばれる発音表記のひとつで、
例えば日本語で「ま」は一通りですが、中国語では↓のように4種類もの声調があります。
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你好のHaoは「ニーハ↓↑オ」のように第三声(場合によっては第四声)。
Háo」(第二声)に該当しないんですね。

ちなみに今年のWCSCは「Háo」ではなく「Lí」というソフト名で参加されており、これをピンインをもとに漢字に当てはめると「狸」になります。



いつから始まったのか定かではありませんが、COM将界には動物をなぞらえた命名をする謎の因習があり、nodchipさん所属サークルの過去の出場名を振り返ってみると、、、
・「Lí(の中国語読み)」(第33回)
・「マメット・ブンブク」(第32回)
・「たぬぽん」(第31回)
・「究極幻想アルテマタヌポン」(第30回)
・「王」(第29回)
・「T.N.K.(タヌキの頭文字)」(第28回)
・「蒼天幻想ナイツ・オブ・タヌキ」(第27回)
・「たぬきのもり」(第26回)
いずれも「タヌキ」にちなんだソフト名をつけられていることが分かります。
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そして、いよいよ解決編になりますが、

Háo」は「貉(むじな)」
慣用句「同じ穴のムジナ」に使われる、あの"むじな"です。


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▲ムジナは『日本書紀』に早くも記述があり、種の特定は困難だがアナグマ説がもっとも有力。
ただ、地方や時代によってはタヌキやハクビシンをムジナとすることもある。


いやはや、軽~い気持ちでソフトの由来を調べはじめたはいいけど、気づいたら丸一日かかっていました…。COM将界の教養レベル高すぎィ!


香川愛生とふたりで将棋 - Switch
シルバースタージャパン
2021-03-25





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