実写版『推しの子』の完結編、
映画 『【推しの子】-The Final Act-』を見てきました。
以下、少なからずネタばれていますので、ご了承ください。
ちなみに、原作は未読です。
まず、良かったところ。
アクアが死亡するという点では、原作と変わりませんが、
炎上するような要素は、ほぼないと思いました。
カミキによって重傷を負わされたアクアが、ルビーの命を助けると同時に、
自分が殺人を犯すことで、ルビーを殺人者の妹にすることがないよう、選んだ方法が、
カミキを道連れに海に飛び込むことだった、という流れ。
映画版は、前世の話から一貫して、アクア視点で描かれているので、
死亡エンドは悲しいですが、土壇場で本人がギリギリの選択をした結果なのだから、
受け入れなければ――と、納得しやすいんですよね。
アクア死亡後の、ルビーたちの再出発の様子も、アクアのモノローグで語られるので、
肉体は滅んでも、魂は残っていて、みんなを見守っている、という感じ。
なので、後味は、さほど悪くない。
残念な点は、まず、圧倒的に尺が足りていないこと。
約2時間の上映時間のうちの半分が、アイが殺されるまでの話に費やされ、
真犯人を追い詰めるための「15年の嘘」以降のエピソードは、たったの1時間。
これでは、駆け足になるのも仕方ないというか・・・・
個人的に、『推しの子』はミステリとして楽しんでいると、以前書きましたが、
ミステリの視点で見ると、やはり、急ぎすぎていて、雑なところが目につきます。
特に、カミキに関しては、腑に落ちないことだらけ。
現在の職業からはじまって、アイを殺した動機まで、ワケワカラン。
そもそも、快楽殺人者なのか、それとも、保身のため口封じをしているのかも、曖昧なまま。
犯人のプロフィールがぼんやりするのは、ミステリ的に、いただけない要素です。
まぁ、この辺りのことは、原作を読んでいれば分かるのだと思いますが、
せっかくプライムビデオのドラマ版と連携させたのだから、
前世の話や、アイが殺されるまで話は、全8話を、全10話に拡大するなりして、
ドラマ版の方でしっかり描いてもらって、映画では、それ以降のエピソード――
「15年の嘘」を用いて、カミキを社会的に抹殺しようとするアクアと、
それを妨害する、カミキとの対決に絞った方が、良かったのではないかと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、今回、映画を見る前に、少しは予備知識を仕入れておこうと思って、
いったい原作の何が炎上しているか、サラッと調べてみたんですよね。
そうしたところ、バッドエンド過ぎる終わらせ方以外にも、地雷があったと。
ドラマでは8話で描かれた、有馬かなのスキャンダル、
原作では、なんと、枕営業の話だったそうで、これには、本当にビックリしました。
そりゃ、炎上もしますわな。
ドラマでは、有馬かなは、騙されて、監督の家に連れ込まれた、という流れ。
とはいっても、監督は極悪人ではなく、あわよくば、くらいの、ただのスケベ親爺で、
(実際、ああいう誘いに乗ってくる、売り出し中の芸能人女性は、相当いると思われ)
女友達と雑誌記者が組んで、有馬と監督を嵌めた、という構図ですね。
また、有馬も、一方的な被害者ではなく、メンタルが落ち込んでいたとはいえ、
監督の自宅に入ってしまうなど、軽率な行動で周囲に多大な迷惑をかけているので、
反省すべき点がある、という、バランスの取れた落とし所になっている・・・・
なので、ドラマを見ている分には、まったく違和感がなかったのですが、
要は、ドラマの脚本家が、キャラクターのイメージを損ねないように、改変していたと。
ということで、脚本を担当された北川亜矢子氏は、グッジョブなのですが、
映画の方では、如何せん、尺が足りなさすぎました。
出来れば、プライムビデオのドラマ版で、続きをしっかり描いていただけたらと、
そう願う次第です。
映画 『【推しの子】-The Final Act-』を見てきました。
以下、少なからずネタばれていますので、ご了承ください。
ちなみに、原作は未読です。
まず、良かったところ。
アクアが死亡するという点では、原作と変わりませんが、
炎上するような要素は、ほぼないと思いました。
カミキによって重傷を負わされたアクアが、ルビーの命を助けると同時に、
自分が殺人を犯すことで、ルビーを殺人者の妹にすることがないよう、選んだ方法が、
カミキを道連れに海に飛び込むことだった、という流れ。
映画版は、前世の話から一貫して、アクア視点で描かれているので、
死亡エンドは悲しいですが、土壇場で本人がギリギリの選択をした結果なのだから、
受け入れなければ――と、納得しやすいんですよね。
アクア死亡後の、ルビーたちの再出発の様子も、アクアのモノローグで語られるので、
肉体は滅んでも、魂は残っていて、みんなを見守っている、という感じ。
なので、後味は、さほど悪くない。
残念な点は、まず、圧倒的に尺が足りていないこと。
約2時間の上映時間のうちの半分が、アイが殺されるまでの話に費やされ、
真犯人を追い詰めるための「15年の嘘」以降のエピソードは、たったの1時間。
これでは、駆け足になるのも仕方ないというか・・・・
個人的に、『推しの子』はミステリとして楽しんでいると、以前書きましたが、
ミステリの視点で見ると、やはり、急ぎすぎていて、雑なところが目につきます。
特に、カミキに関しては、腑に落ちないことだらけ。
現在の職業からはじまって、アイを殺した動機まで、ワケワカラン。
そもそも、快楽殺人者なのか、それとも、保身のため口封じをしているのかも、曖昧なまま。
犯人のプロフィールがぼんやりするのは、ミステリ的に、いただけない要素です。
まぁ、この辺りのことは、原作を読んでいれば分かるのだと思いますが、
せっかくプライムビデオのドラマ版と連携させたのだから、
前世の話や、アイが殺されるまで話は、全8話を、全10話に拡大するなりして、
ドラマ版の方でしっかり描いてもらって、映画では、それ以降のエピソード――
「15年の嘘」を用いて、カミキを社会的に抹殺しようとするアクアと、
それを妨害する、カミキとの対決に絞った方が、良かったのではないかと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、今回、映画を見る前に、少しは予備知識を仕入れておこうと思って、
いったい原作の何が炎上しているか、サラッと調べてみたんですよね。
そうしたところ、バッドエンド過ぎる終わらせ方以外にも、地雷があったと。
ドラマでは8話で描かれた、有馬かなのスキャンダル、
原作では、なんと、枕営業の話だったそうで、これには、本当にビックリしました。
そりゃ、炎上もしますわな。
ドラマでは、有馬かなは、騙されて、監督の家に連れ込まれた、という流れ。
とはいっても、監督は極悪人ではなく、あわよくば、くらいの、ただのスケベ親爺で、
(実際、ああいう誘いに乗ってくる、売り出し中の芸能人女性は、相当いると思われ)
女友達と雑誌記者が組んで、有馬と監督を嵌めた、という構図ですね。
また、有馬も、一方的な被害者ではなく、メンタルが落ち込んでいたとはいえ、
監督の自宅に入ってしまうなど、軽率な行動で周囲に多大な迷惑をかけているので、
反省すべき点がある、という、バランスの取れた落とし所になっている・・・・
なので、ドラマを見ている分には、まったく違和感がなかったのですが、
要は、ドラマの脚本家が、キャラクターのイメージを損ねないように、改変していたと。
ということで、脚本を担当された北川亜矢子氏は、グッジョブなのですが、
映画の方では、如何せん、尺が足りなさすぎました。
出来れば、プライムビデオのドラマ版で、続きをしっかり描いていただけたらと、
そう願う次第です。