しばらくなりを潜めていた楽天koboが、今週久々に脚光を浴びました。
苦境を伝えられつつも、三木谷社長が何かを発表するたびに話題を集めてしまう点はさすがです。

楽天、出版関係者に戦略語る「Amazonに対抗可は楽天だけ」

2013年4月4日、都内のホテルに大手出版各社を集めて同社が開催した楽天ブックスと楽天koboの事業戦略説明会にて、三木谷社長は勇ましくこう宣言しました。

2020年に日本の電子書籍市場を年間1兆円まで伸ばし、楽天は市場シェア50%の5000億円を取りたい。 それが我々の使命だ

チャレンジングな目標設定は良いことですし、実現すればいいだけなので市場規模やシェア目標については特に言及しません。

残念だったのは、説明会の「絵づら」がちょっと古かったこと。

昨年の楽天kobo発売時も同様だったのですが、三木谷社長が各大手出版社トップを脇に従えた絵づらの古さがいかんともしがたいのです。まるで新党の旗揚げ発表を思わせる昭和風な絵づらは、新聞・テレビの記者の感性には合っていても、最も肝心な現代読者の感性には合わないんじゃないでしょうか。

<2013年春>

Rakutenkobo2013

<2012年夏>
Rakutenkobo2012



激化する書店競争で生き残っていくうえで、品揃えの量と質が必要なことは言うまでもありません。これまで目標に掲げていた20万冊を実現するためには、より多くの出版社と密に連携していく必要があるでしょう。

そうした点で、昨年に比べて今年は、壇上に並ぶ出版社の人が減っているのが気になりますが。

そして、楽天Koboが電子書籍市場で圧倒的シャアを持つKindleに対抗していくのであれば、タイトル数だけではなく、目指すべきKindleにすでにあり、まだkoboにないものについても考えることが必要です。

Koboにないものとは、ばらばらに存在する著者とプラットフォーマーと読者の間をつないでいくメディアの存在です。koboについて極めてユニークなレポートを更新しているブログメディア「月刊楽天Koboちゃん」は参考になるものの、そういった存在ではないようです(笑)。


Kindleストアやkoboを含めたプラットフォームは、ある種の巨大自動販売機でしかありません。自動販売機に並んだ膨大な作品群の中から読者におススメの作品をいかにセレクトし発信していくか。著者が書いた作品をいかに読者に知らしめていくか。まだ小さな電子書籍市場を大きくするには、キュレーター的役割を果たす第三者として情報メディアの存在が重要なのです。

ネットでもリアル書店同様に、サービスやシステムの完成度だけではなく、多くの本を読んだうえでおススメする人間、すなわち「本の目利き」が一人でも多く必要です。

日本でオープンして半年足らずのKindleストアには、多くのKindleユーザーブロガーに加えて、毎月著者と読者の注目度を増している2つの情報メディアがすでに存在します。前回エントリーで触れた「きんどるどうでしょう」と「キンドる速報(現つんどく速報)」です。

そこで、春の特別企画として国内唯一のKindle情報まとめサイト「きんどるどうでしょう」編集長にインタビューを実施。Kindle専門メディアとしての役割や上手な活用法、今後目指すもの等について話を伺いました。

一人の素人著者としてそこから見えてきたのは、これまでの国産電子書店に欠けていたものと今後の可能性です。