HelixでENDGAMEする
この記事は、キーボード #1 Advent Calendar 2021 24日目の記事です。
お楽しみ袋でHelix rev3 LPを手に入れたのでこれでENDGAMEを目指すことにしました。
これで手に入ったキットでENDGAMEします / 遊舎工房で購入しました! #自作キーボード @yushakobo [Pre Order]お楽しみ袋 https://t.co/mDPh1TkmSI
— c7s (@foostan) October 16, 2021
ENDGAMEです https://t.co/CvRd28ATJC pic.twitter.com/khOZwyC6cc
— c7s (@foostan) October 31, 2021
出来上がったものがこちらです。ケースのプロトタイプは発注済みですが残念ながら執筆現在でまだ完成していないのでレンダリング画像だけの公開になります。 本記事ではどのようなコンセプトでどのようにケースを設計したのかを簡単にご紹介します。
こんな感じhttps://t.co/oCZarUoK7C pic.twitter.com/tntM12kqdB
— c7s (@foostan) November 23, 2021
HelixのPCBを確認する
GitHubからKiCadのデータを取得してPCBを確認します。 公開されているデータは初期のものでリバーシブルタイプなのでTRRSコネクタとProMicroの位置が若干異なっていることに注意します。 このあとFusion360に取り込むので、いくつかのパーツは手持ちのデータと差し替えて各種パーツの3Dデータを組み合わせています(Fusion360側で組み合わせるでも可)。
ファイル > エクスポート > STEP... から stepファイルをエクスポートしてFusion360にインポートします。 下記画像のものはインポート後に素材を少し修正しました。
上面から大まかにスケッチする
全体像を想像しながら上面から見た図を大まかにスケッチします。 下記画像ではいきなり完成していますが、あとからいくらでも修正できるので最初は大まかで大丈夫です。
Helixのキーピッチは19mmなのでそれに合わせて14mm四方のキースイッチの穴を開けています。 ケースの枠はキーキャップと干渉しないように、キーピッチ+1mmのクリアランスを確保しています(下記画像10.50mmの部分)。
Helixを組み立てる
今回は既存のキットを利用するため、できる限り元のデザインを活かしてケースを設計していきます。 まずは、キットの内容を確認するためにFusion360上でキーボードを組み立てていきます(この作業が結構楽しい)。
先程のスケッチからスイッチプレートを作成します。 今回はロープロファイルなので2.2mmの高さにプレート上面が来るようにします。プレートは1.6mmのFR4なので寸法もそれに合わせます。
キット付属のスペーサーは4mmなので、スイッチプレートの下面とボトムプレートの上面との間が4mmになるように1.6mmのボトムプレートを作成します。
キースイッチとキーキャップをつけて完成です。 それぞれのモデルを自作して挿入していますが、それぞれ解説していると長いので省略します。
ボディを設計する
全体を覆うようにケースの枠を作ります。 今回は厚みのあるデザインにしたかったので枠の幅を広め(9mm)にしてあります。 またこの時点でケースの高さはまだ確定しておらず大まかに設定してあります。
ケースの側面にTRRSケーブルを通す穴をスケッチします。 ケーブルのジャック部分の外周が10mm程度を想定して穴を開けます。 微調整した結果、とりあえず縦9.7mm、横12.0mmにしました。横を広めにとったのはリバーシブルタイプのPCBにも対応するためです。
同様にUSBケーブルの穴を開けます。 ProMicro部分は類似商品が複数あるため多少大きめに設計してあります。 個人的にはケーブル類の穴は最小限にするのが好みですが、妥協せざるを得ない部分です。
スケッチを元に押し出してケーブルの穴を開けたところ。
細かいところは省略してなんやかんやでボディが完成したところ。 今回のデザインでは全体をフラットな印象にしたかったため、OLED部分を隠すプレートを仕込めるように、ケースの上面に溝を用意してあります。 またコストの関係上トレイマウントにしてあります(分割キーボードは一体型に比べて2倍程度コストが掛かるのでコストを考慮するとデザインの制約がそれなりにあります)。
なお、ケースの高さについてはケーブルの穴を開けたあとに調整しています。 TRRSケーブル用の穴が結構大きいため、最低限その穴が開けられるようにしていますが、あまり高くしすぎるとロープロファイルの利点を潰してしまうのでなるべくギリギリを攻めます。
OLEDプレートを設計する
溝に合うようにOLEDプレートを作ります。 またボディーとプレートとの間はCNCの公差を考慮したクリアランスを設けています(忘れがち)。
ちなみにプレートの厚みはFR4も使えるように1.6mmにしてあります。
ネジ穴を開けます。 また超低頭のM2ネジが仕込めるように加工します。 ちなみにプレートのみリバーシブルにできるように裏表に加工を施しています。
レンダリングしてデザインを見直す
ネジやスペーサ等を仕込んで一旦完成です。
ここからはレンダリングをして実際の完成のイメージをより明確にしていきます。 まずはレンダリングをする前にそれっぽい板を作って机を用意します。 今回はもともと用意されている素材から半光沢のウォルナットを使用しました。
またこの時点で設計した各種パーツの素材も設定しておきます。 今回はこちらももともと用意されている物理マテリアルの中からアルミニウムの陽極酸化を使用しました。 カラーバリエーションは少ないので適当に黒っぽく色を変えています。
レンダリングではHDRIを利用してリアルな光源でそれっぽく見せます。 レンダリングのシーン設定 > 環境ライブラリ > カスタム環境を置換からHDRI素材を選択します。 HDRI素材は以下のようなサイトから入手可能です。
あとはお好みのアングルと設定をしてレンダリング
カメラをグリグリ回して、レンダリングを繰り返してデザインを見直します。
色々とパターンを変えてバリエーションを考えたりもします。
ところでENDGAMEって?
多分存在しませんがないものを自分でつくるのは楽しいのでぜひチャレンジしてみてください。
この記事はCornelius R2 prototype + H1 switches lubed by Krytox 205g0で書きました。
2021 KEEB_PD 振り返り
この記事は、KEEB_PD Advent Calendar 2021 24日目の記事です。
KEEB_PDの投稿をもとにこれまでの自キ活動を振り返っていきます。
KEEB_PDについては主催者であるにるぽさんの記事をご参照ください。 毎週日曜日によいキーボードの写真が見れてよい目の保養になりますね。継続して開催して頂き感謝です。
こちらはKEEB_PDに張りそびれた今年のサマリです。せっかくなのでここに置いておきます。
2020
Polaris E-White with Brass clear PVD, PBT HEAVY INDUSTRY keycap set #KEEB_PD #俺キー pic.twitter.com/OXLQlGb2np
— c7s (@foostan) 2020年7月19日
記念すべき第一回目の参加はPolarisでした。 お気に入りの1台で常に見える場所に飾ってあります。
ガスケットマウント+ポリカ+ハーフプレートのやわらかい打鍵感は所持しているキーボードの中でもトップクラスでよいものです。 PVDコーティングされた大きめのブラスウェイトも色鮮で美しいです。 アルミ削り出しのキーボードの設計に挑戦するきっかけになった1台で、あちこち寸法を測ったりもしました。
R3で勝利 👑 したCorne Lightです。Keyboard: Corne Light
— c7s (@foostan) 2020年8月2日
Switch: Kailh Choc V2 RED
Keycap: MT3 Susuwatari#KEEB_PD #KEEB_PD_R3 pic.twitter.com/jhT37hIrlO
Choc V2スイッチに対応させていてかつボトムプレートを外して滑り止め用のフォームを貼り付けた特徴的な1台です。 フォームを切り抜く型を発注して、一枚一枚手でくり抜いています。 限定的にフォーム付きで販売もして、ありがたいことにそこそこ反響もありました。
R4で勝利 👑 したCorne Cherryです。Title: The new version of Corne Cherry with 54 RGB LEDs controlled by VIA
— c7s (@foostan) 2020年8月9日
Keyboard: Corne Cherry v3
Switch: Zilent
Keycap: ePBT Extended 2048#KEEB_PD #KEEB_PD_R4 pic.twitter.com/8YNh8N536V
V3をつくってVIAに対応したところを撮った一枚です。 VIAやRemapが出てきてキーマップを簡単に変更できるようになったのは嬉しいですね。
R5で勝利 👑 したOrbitです。Keyboard: Orbit
— c7s (@foostan) 2020年8月16日
Switch: Ink Black
Keycap: GMK Oblivion assembly kit#KEEB_PD #KEEB_PD_R5 pic.twitter.com/zmuT1P1OaC
GBに参加してから到着まで1年以上かかり、GBの苦労を垣間見た思い出深い1台です。 またcrkbdからforkして頂いている点でも感慨深いですね。 github.com
R9で勝利 👑 したCorne Lightです。Keyboard: Corne Light v2
— c7s (@foostan) 2020年9月13日
Switch: Red pro
Keycap: MBK Choc#KEEB_PD #KEEB_PD_R9 pic.twitter.com/bOIxe9gUn2
Choc V1スイッチを利用し可能な限り薄くなるようにつくった1台です。 持ち運びも簡単ですね(バキバキになりそう)。
KeyboardioのAtreusです。Keyboard: The Keyboardio Atreus
— c7s (@foostan) 2020年10月18日
Switch: Turquoise Tealios x Gateron Ink Black
Keycap: The Keyboardio Atreus QWERTY keycaps#KEEB_PD #KEEB_PD_R14 pic.twitter.com/qkiJHhKP6o
コンパクトながらErgonomicで洗練されたデザインです。 ずっと前からAtreusが欲しくて手が出せていなかったのですが、Keyboardioさんが販売開始してくれてようやく手にすることができました。 ちなみにCorneliusのデザインはAtreusのデザインに完全に影響されています。
R15で勝利 👑 したCorneliusです。Keyboard: Cornelius
— c7s (@foostan) 2020年10月25日
Switch: H1
Keycap: GMK 8008#KEEB_PD #KEEB_PD_R15 pic.twitter.com/kAh9vivG3n
当時つくっていたプロトタイプ版を写した一枚です。 Corneliusに関しては1年前に記事を書いたので良かったらご覧ください。
Keyboard: -
— c7s (@foostan) 2020年11月15日
Switch: -
Keycap: GMK WoB / Gopher keycap blue#KEEB_PD #KEEB_PD_R18 pic.twitter.com/gi2WgY91vj
※ The Go gopher was designed by Renée French.
Gopherキーキャップが可愛くて撮った一枚です。 シンプルなGMK WoBとの相性はバッチリです。
2021
TGR Alice 互換ケースの Lorina です。Keyboard: Project Keyboard Alice with the aluminum case
— c7s (@foostan) 2021年1月31日
Switch: Everglide Oreo
Keycap: GMK Solarized Dark#KEEB_PD #KEEB_PD_R29 pic.twitter.com/dmMLMe9RLn
Alice互換のPCBを購入していてしばらく放置していたのですが、アルミ削り出しのケースを設計してつくったものです。 プロトタイプ1台つくったきり何もしていないのでもし興味ある方がいればデータ公開しようかなと思います。
R33で勝利 👑 したCorneliusです。Keyboard: Cornelius E-White
— c7s (@foostan) 2021年2月28日
Switch: H1
Keycap: EPBT Ivory#KEEB_PD #KEEB_PD_R33 pic.twitter.com/XfdJ4eZFO9
ePBT Ivory が届いたので白いボディと合わせて撮影したものです。 真っ白じゃないところがアクセントになるのでこのキーキャップはお気に入りです(PBTなので打鍵感も良い)。
壁に掛かっていた Equinox です。Keyboard: Equinox
— c7s (@foostan) 2021年4月4日
Switch: Alpaca
Keycap: GMK Vaporwave#KEEB_PD #KEEB_PD_R38 pic.twitter.com/oQw4QQ3BOl
遊舎工房オリジナルカラーのEquinoxとVaporwaveの組み合わせがなかなかいいんですよね。 しかしこの写真は光源が足りなくてもったいない。
R50で勝利 👑 したCorneliusです。祝50回!
— c7s (@foostan) 2021年6月27日
Keyboard: Cornelius E-White
Switch: H1
Keycap: Infinity Black Light#KEEB_PD #KEEB_PD_R50 pic.twitter.com/KgP9xUDGXg
こちらは Infinity Black Light が届いた時に撮影したものです。 PBTの黒系で色合いもシンプルなので常用しています。
まるでプラモデルみたいな Buger B-BOX60 High-Profile Keyboard Case です。Keyboard: Buger B-BOX60 High-Profile Keyboard Case + DZ60 RGB
— c7s (@foostan) 2021年7月18日
Switch: Gateron Caps
Keycap: Buger & Hammerworks CRP C64#KEEB_PD #KEEB_PD_R53 pic.twitter.com/0YuoFADH2b
パーツがランナーについていてニッパーで切り取って組み立てました。 キーキャップのデザインもいいですね。
R64で勝利 👑 したMoiioです。Keyboard: Moiio
— c7s (@foostan) 2021年10月3日
Switch: Ink 8008
Keycap: ePBT Ivory#KEEB_PD #KEEB_PD_R64 pic.twitter.com/KjVNRCOLfq
KEEB_PDでも大人気のMoiioです。コンパクトなデザイン、塗装の質感や色合いがいいですね。 ePBT Ivoryとの相性もよくかわいい1台です。
試しに買ってみた Keychron Q1 です。Keyboard: Keychron Q1
— c7s (@foostan) 2021年10月24日
Keycap: GMK Laser Synthwave M170 + Turbo#KEEB_PD #KEEB_PD_R67 pic.twitter.com/c6UVwkg4In
Keychronから出たQMK対応のガスケットマウントのキーボードで、他のカスタムキーボードと比較すると破格のお値段です。 買う前から何かと話題で気になっていたので打鍵感とかの比較用で購入しました。
ただ打鍵感についてはある程度改善するもののスイッチ部分のクリアランスが設計ミスのレベルでなくてキーキャップが干渉します。Q2以降に期待したいところです。
総評
執筆時点(R75)での参加数は15回で、参加率は約20%でした。 また参加時の勝率は約53%でした。
最近参加者が増えてきてレベルがどんどん上ってきていますが来年はもっと参加できるといいなと思っています。
この記事はCornelius R2 prototype + H1 switches lubed by Krytox 205g0で書きました。