コツコツ一直線

好きな作品をアニメ・ジャイキリ・牙狼<GARO>中心に感想レビューしています。

CLANNAD~AFTER STORY~ 第12話 「突然の出来事」 感想 その1

2008-12-20 18:42:16 | CLANNAD 1&2期AFTER STORY(2007-2009)

 クラナドアフター12話。今回は朋也と渚の話メインかと思えば、見てみれば芳野の過去話中心でもありました。芳野好きな自分にはたまりませんでした。今回はそんな芳野の過去中心にお送りします。
 とはいえ、朋也にも大事件が起こったりと本編もいよいよ話が大きく進みだしました。朋也がこの危機を乗り切れるか、そして「涙」に要注目です。

 また今回も芳野の過去話があるということで、語る前から何となく予想していましたが、文字数オーバーになってしまいました。今回も削りたくないなと思ったので2つに分けます。よろしければ最後までお付き合い下さい。TBはできればこちらにくださると嬉しいです。


 始めは朋也と芳野が仕事で現場へ向かっているシーンから。季節は夏。あれから朋也も仕事に慣れてきたようで、芳野に褒められます。これには朋也嬉しそう。嬉しそうな表情な朋也の表情はこれまでなかなか見れなかったのもあって良かったです~。仕草がまた良い味出しています。あとアフターに入ってから流れる音楽は涼しげな感じがして好きです。
 そんな中朋也は外を歩く高校生を見て、こう感じます。

『俺一人がここにいる。
 でも一人じゃない。同じように毎日煤にまみれる人がいる。
 俺が選んで新しく選んだ場所だ…』

 朋也も色々思いながらも、順調に社会に適応しつつあるようです。そんな仕事場の人と働く朋也の表情には笑顔が。朋也も仕事にやりがいを感じているようですね。何だか安心しました。

 ある日の休日。朋也は古河家に顔見せに来ていました。で、そこではまた秋生がどこか行こうと提案しているところでした。しかもまたピクピクのような3択が!どう考えても①の海のバーベキューですが、海でバーバラ藤岡が何気に気になります。一体何か起こるんでしょう…。どうやら秋生は渚とあんまり遊べないことを寂しがっているようで。古河家はいつものように平和でした。
 そんな中渚はあることを気にしていて、朋也に何か言うのを躊躇っていました。で、その帰り渚は水着の話の後に朋也の腕を掴んで、

「朋也君、引越ししてからちゃんとお父さんに会いましたか?
 新しい住所、ちゃんと伝えましたか?」

 と、朋也に訪ねます。渚はこれまで朋也と朋也父のことを気にかけていました。結局文化祭以来朋也は父と会っていないまま…。2人の関係は修復されないままでした。渚は少しでも2人の関係をよくしようとしていましたが、朋也は、

「いや…、お前にも分かってるだろ?
 あの人と俺の間には距離があるって。絶対に埋まらない距離なんだ」
「でも…」
「俺は毎日働いている…。ヘトヘトになるまで働いているんだ。
 休みの日ぐらいお前といたい。嫌な思いはしたくないんだ…」

 と、辛そうに自分と父親との距離、そしてそれと向かい合うことを恐れていることを渚に話します。確かに分かっている上で、父なのに他人行儀な態度を取る父と向かい合うのは相当辛そうです…。
 そんな朋也の思いを聞いた渚はとりあえずこの場では納得。代わりに約束をします。

「今じゃなくてもいいです。
 ãã®ã†ã¡ä¸€ç·’にお父さんに会いに行きましょう」
「ああ。いつかな…」
「はい、いつかきっと…」

 
 今はまだ向かいあえなくても、まずはその気持ちを持つことがきっと大事なはず。朋也と父が和解する日はいつになるんでしょうか…。

 ある日朋也は親方・芳野からある話をされます。それは親方の知り合いが現場を監督できる若い人を探しているという話。その会社にいけば給料も上がるとのこと。一体いくらなんでしょう。芳野ではないのはその後の芳野の話にあるように、人付き合いが得意ではなく、監督には向かないと芳野自身でそう思っていたため。そこで親方は朋也をそれに推薦しようと思っていると、朋也に行ってみる気はないかと訪ねます。親方は朋也の頑張りを認めてくれていました。

 これに朋也は始めはクビかと動揺してしまいますが、移動中の芳野の話を聞き考えを改めていきます。そんな中、芳野の一言がきっかけで話は思わぬ方向へ進んでいきます。ここで窓に空が映しこんであるのも良かったです。

「大事な人がいるなら、多少の苦労は乗り越えていけるものだ」
「芳野さんもそういうことを考えて、今の仕事に就いたんですか?
 あっ、すいません。立ち入ったことを聞いてしまって…」
「…昔話をしてやろうか?」
「えっ?」
「この街にいた、出来の悪いロック少年の話だ」

 それは芳野の過去話!個人的に原作で一番好きな話なので期待していましたが、ここでくるとは!見ているときはテンションが一人上がりました。原作で話に入るきっかけとなった音楽の話が削られたのは少し残念でしたが、ここさえやってくれれば。
 というわけでここからは芳野自身の語りによる、芳野の過去話に入ります。芳野のセリフすべてを書き出したいのは山々ですが、それはちょっと量的にアレなので、気になったところを書き出していこうと思います。この芳野のどこか哀愁のある語り方がやっぱり好きです。
 話の始まりは美佐枝の話でもちょっと出てきた高校時代から。芳野はその頃一人で音楽をやっており、他のロックバンドに乱入したりと、がむしゃらにロックに明け暮れていました。
 そんな高校3年の時、空き教室でギターを弾いてきた芳野にある出会いが。それが当時教育実習生だった公子との出会い。そこでの公子との出会いが芳野の音楽にも変化をもたらすことになりました。

「彼女はそいつのラブソングを褒めてくれた。
 恥ずかしいような歌詞だったが、
 彼女は真摯にその歌詞の意味を読み取ってくれた。

 まっ、話し込んで自分が教室を移動する最中だってことを
 忘れてしまうような、どこか抜けたような人だったが…

 卒業したら、音楽で食って行く気だった」

 ここで公子に褒めてもらっている時・別れた後の照れる芳野の表情がまたさり気なくて良かったです~。芳野にもこういう時があったんですね…。公子の時を語るその芳野からは公子への愛を感じました。美佐枝ルートでの伏線が上手く生きていました。
 それから卒業後、芳野は皆に笑われても公子の、

「ずっと続けていれば叶うから、諦めないで」

 という自分への励ましを受け、上京することを決意。そして別れの日。芳野は公子へこう思いを告白します。

「絶対にプロになるから、そうしたら付き合って下さい、ってな。
 絶対にプロになる――そう心に決めた」

 その芳野の言葉を公子も受けてくれました。これに喜ぶ芳野が~。そうして桜が舞う中、芳野は東京へと向かいます――。
 そうして上京した芳野はそれからすぐにデビューを決め、ステージへ。芳野はこれまで自分を嘲笑った人達にざまあみろと思いつつ、それ以降がむしゃらに音楽へ没頭していきます。

「歌いたいことを、全力で歌った。
 吐き出すように、嗚咽のように、時には醜いものも歌った――

 でも全力で歌うと、それは綺麗に見えた。
 生きるということが瑞々しく見えた。
 生きること。それが醜いことだからだ――

 そいつは自分の居場所を見つけたんだ」

 歌い終わった後、芳野はステージから見えたものに戸惑いつつも、生きるということがどういうことが見いだしていきます。ここの歌う芳野の画はちょっと怖かったですが、迫力と力があってすごかったです。カッコよくて、生き生きとして見えました。本当に京アニにありがとうです。
 そんながむしゃらに音楽へ向かう芳野の姿・歌には確かに人を惹きつける力があり、そしてそれは徐々に世間にも認められていくことになります。街のCDショップには芳野のポスター、コンサート会場にはでかでかと芳野の宣伝がのっていました。ポスターには「――生きることは醜い事だ」というフレーズが。この時点では芳野はただ、自分の音楽を貫いており、そして人々もそれに夢中になっていました。ここまでは上手くいっていました…。

 が、あるTV局の企画で芳野の運命は狂わされてしまいます。それは孤児院にいる芳野のファンである子供達への訪問。相変わらず京アニの描く子供達は可愛らしいです。ただ彼の姿がやっぱりないようで残念だったような。
 まあそれは置いておいて、そこにいる子供達は、様々な複雑な事情により逆境に立たされていました。でも芳野の音楽によって救われ、それをよりどころにして強く生き続けていました。芳野はそんな苦しみながらも笑顔で生きていく子供達の姿を見て、心を打たれます――。そして芳野はこのことで自分の歌についての考えを変えてしまいます。

「もう自分の歌は、自分一人のものじゃない。
 それを思い知らされた…」

 これまで芳野はただ自分のためにだけ、音楽をやってきました。が、それが今回自分の音楽がもう自分ひとりのものじゃないと気負ってしまったことが原因で、以降芳野の心には迷いが生じることになってしまい…そして――

「それまでそいつがやってきたのは、自分のための音楽だった。
 でも、今は違っていた。
 会ったことのない、何万何千人の人達のために、
 音楽を作らなくてはならなくなったんだ。

 そいつは曲が作れなくなっていった――
 現実の壮絶さを、自分の浅はかさを、薄っぺらさを、
 思い知ったからだ――」

 芳野は曲が作れなくなり、事務所からは休養を言い渡されてしまいます。ここで孤児院の人達の姿が出てくるのがまた重かったです…。芳野のその思いがただ痛く感じました…。実際そういう立場に立たされたら皆、そう思うのでしょうか?きっとそういう立場に立たされている人はそれぞれ色々な重みを抱えているんでしょうね…。今トップで歌い続けるアーティストの皆さんは本当にすごいと思います。
 そしてそんな芳野に追い討ちをかけたのが、番組で会った孤児院にいた青年(21)が罪を犯してしまったという事件…。それは取り返しのつかない大きな罪でした。おそらく殺人でしょう…。その青年は早くあなたの新曲が聴きたいと熱心に芳野に語った人でもあり…。それを見た芳野はもう精神がボロボロ…。自分自身で自分を追い詰めていきます。

「何もかも自分のせいだと思った。
 自分が歌わなくなったせいで、
 事件を起こした奴の生きる糧を奪ってしまったのだと」

 でも自分が何かしないといけない。そんな芳野の思いが以降、間違った方向へ進むことになってしまいます。ここからすべてが崩れてしまいます…。BGMも本当にどん底って感じでした。以降芳野が歌う歌は無理な理想や奇麗事ばかり、歌詞も支離滅裂で希望がない曲ばかりになっていくことに。
 しかしそんな芳野の歌が人々の心に届くはずもなく、そんな芳野の歌を聴く人はいなくなっていきます。空席のイスがそんな空虚な芳野の気持ちを表しているかのようでした。芳野はそれでもとりつかれたようにただ歌い続けます…。
 
「それでも彼は歌い続けた。
 歌を失うことを何よりも恐れたからだ」

 芳野にとって、歌がすべて。芳野はそれを失うことを最も恐れていました。そしてその後、芳野は取り返しのつかない過ちを犯すことに――。それはドラッグ。芳野は最後の方では薬の力を使わなくては歌えなくなっていました。本当に芳野はどん底まで落ちてしまいます…。そんな事件を起こした芳野にもう歌手としての世間での居場所はなくなり、違う歌手がその代わりに出てくるだけでした。街のポスターもそれに張り替えられてしまいます。でもこの新しく出てきた歌手、美人さんでカッコいいなと思ってしまいました。
 出所した後、芳野に残った思いはただ一つ。

「一度罪を犯した彼に居場所などなかった。
 すがるものもなく絶望の中、彼はたった一度だけ願った。
 帰りたいと…」

 芳野は最後に故郷へ帰りたいと願い、そして失意の中上京した時のようにバスで桜の舞う街に帰ってきました。が、芳野を待ち受けていたのは残酷な仕打ち。すべて失った芳野の前に、かって約束を交わした公子が笑顔で現れます――。呆然と芳野は公子を見つめます。が、公子がまず発したのは意外な一言でした。

「まだ音楽は続けてる?」

 そんな公子の一言に芳野は涙を流します…。ここはそんな芳野の涙に早くもジーンときてしまいました。そんな中、芳野が思い出すのは上京する前の公子の言葉…。芳野は変わってしまっても、公子だけは変わっていませんでした。そんな公子の言葉を思い出し、芳野はその場に泣き崩れてしまいます…。

「何もかも、変わってしまった。変わらないわけにはいかなかった…」

『諦めないで続けていれば、夢は叶うから』

「でも見失ってはいけないこともあった。
 歌い続けるべきだった…。
 誰のためでもなく、
 この人のために、ラブソングを…――」

 原作のあの芳野のCGもしっかり再現されていて素晴らしかったです。それに加えての細かい動きも見事でした。こうして芳野は公子に再会したことで、歌う上で一番大切なことを知り、そして救われました――。このシーンはもう一人見ていて本当泣きました…。これまでの芳野の過去を見ているとどうしても…。こうして見返すたびに涙が出てきます…。アニメでも芳野の過去をばっちり描いてくれました。

 そうしてひとまず芳野の話はここで終わり。そして芳野は締めくくりに朋也にある一言を。

「岡崎…大事なもの、見失うなよ」
「はい…」

 何だか意味深な一言。芳野は何かこの先のことを予見していたんでしょうか。今の芳野が言うからこそ説得力のある一言でした。芳野のこれまでの人生はあまりにも壮絶なものでした。この話を今朋也が聞くことに意味があるような気がします。

 ここから話は朋也に突然の出来事が起きることになるのですが、文字数オーバーのためその2に続きます。毎度すいません。TBは2に送っても大丈夫ですが、できればこの「その1」の方にお願いします。

 その2にはこちらからどうぞ~。