
喉元過ぎれば熱さ忘れる、と言いますが、日本ではめったに報道されることのなくなった2015年11月13日に発生し、130名もの尊い犠牲が生じたパリ同時多発テロ。
この同時多発テロを受けて、オランド大統領により発令された非常事態宣言は法律の規定で12日間だけのはずのところ、11月20日に3か月の延長が決まり、現在、非常事態宣言は継続中です。
オランド仏大統領「戦争状態」宣言。憲法改正、人権制限に言及。「人権宣言の国」に今日本が学ぶべきこと。
さらに、フランス政府は12月23日の閣議で、非常事態の発動要件緩和など大統領権限を強化する憲法改正案を国会に上程することを決めたのですが、その改正案に、テロに関与した二重国籍者からのフランス国籍剥奪、テロ容疑者らの移動制限強化などを盛り込む方針を決定しました。
これを受けて、ヴァルス首相は記者会見して
「テロの脅威はかつてなく高まっている」
と述べ、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いに全力を挙げる必要性を強調し、2016年2月3日に憲法改正案を国民議会(下院)に上程すると述べました。
緊急事態宣言のパリで地球温暖化デモができないことを、キレイにまとめた朝日新聞の記事がなんだか変だ。
実は、今発令されているフランスの非常事態宣言は、フランスの憲法に規定のあるものではなく、一法律によるものです。
フランスには、日本で議論されている緊急事態条項に類するものとして、
1 憲法上の戒厳令 秩序維持の権限が行政府から軍隊に移される
2 憲法上の非常措置大権 大統領に基本的人権を制限するなどの大権が与えられる
3 緊急状態法による非常事態宣言で警察権が強化される
の3つがあり、今回はこの3による措置が取られているのです。
ちなみに、日本の自民党が憲法改正草案に規定しているのは2ですからね。今から、フランスの3を見ていきますから、これが2になったらどれだけ恐ろしいか、よく想像してみてください。
フランス全土に非常事態宣言が出されてから一か月半。
テロのあったパリを中心に、美術館や図書館が閉鎖され、集会やデモの許可が取り消されました(集会結社の自由の制限)。住民には不急の外出を控えるように通達されています(移動の自由の制限)。
警察権の強化により、内務大臣が「公の秩序と安全に対し危険な活動をしている人々」を自宅軟禁することができる権限を持ったため、テロからたった一週間で164人を自宅軟禁状態としました(移動の自由の制限、
また、裁判所の令状なしに、昼夜問わずに家宅捜索したり、武器を押収したりすることも可能となるそうなのですが、ヴァルス首相によると、これまで令状なしに793件の家宅捜索がなされ、174件の武器押収がありました(刑事手続きにおける適正手続きの修正)。
その後、一か月で、令状なしの家宅捜索の件数は3000件に及んでいます。
さらに、命令のあった場所・時間における人や車の交通が禁止されたり、安全地帯が設定されたりすることで、移動の自由が制限されています。また、コンサートホールなどの興業場、酒類の小売店閉鎖命令など、行動の自由も制限されているのです。
軍隊も警察活動に従事する。
これらのフランスの非常事態措置は法律に基づくものなので、これから憲法違反であるという裁判が起こされることも考えられ、だからこそフランスは憲法改正によって、これらの措置に憲法上の根拠を与え、違憲主張を封じようとしています。
ところが、日本の緊急事態条項はいきなり憲法に規定を設けるので、それに基づいてあとから作る法律は、憲法上の根拠に基づくものということで憲法違反という主張を全くできないことになりかねません。
さらに、困ったことには、自民党の憲法草案の規定では、緊急事態条項が発令できる場合が、戦争、災害、秩序の混乱、その他となっていて、総花的ですから、パリのような警察権の強化だけでなく、国民の財産権や表現の自由・知る権利・通信の自由の制限まで考えられます。
たとえば、自衛隊が出動して勝手に庭が使われてしまうとか、食料などが徴収されるとか(財産権の制限)、混乱防止のために携帯・スマホやネットの利用が制限されるとか(通信の自由の制限)、報道が規制されるとかです(表現の自由、知る権利の制限)。
しかも、内閣総理大臣は国会が作る法律と同じ効力を持つ緊急政令を出せることになっているので、緊急事態前に法律がなくても、バンバン政令を発布して人権を制限することができます。
そして、フランスの非常事態宣言よりもっともっと恐ろしいのは、日本の自民党の緊急事態条項がもっともっと恐ろしいのは、いつ終わるか期限がなくてエンドレスなところです。
フランスでは、12日間の期限を延長するために法改正をして3か月に期限を延長しているわけですが、これをさらに延長しようと思うとまた新法を制定しないといけません。
ところが、自民党の改憲草案ではこうなっています。
第99条第4項
緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
期間制限は法律に委ねられていて、憲法上は白紙です(100日を超えるたびに国会承認が必要とだけ規定されている)。
おまけに、議員の任期を特例で延長を伸ばすことができて、さらに緊急事態宣言が出されていると衆議院は解散がない、つまり総選挙がないので、緊急事態宣言を承認した国会議員を選挙で落とすことができませんし、緊急事態にした内閣も変えられないのです。
これ、酷くないですか?政府はやりたい放題ですよね。これが日本の緊急事態条項が世界に誇る?恐怖の制度の実態です。
安倍自民党の「日本国憲法改正草案」の恐怖1 緊急事態条項=戒厳令の明記
関連記事
安倍政権「災害対策名目の緊急事態条項から改憲に着手」と政権幹部。でも、現代の戒厳令は超危険!
安倍首相が「改憲は緊急事態条項から」。阪神、東日本大震災などの災害弁護士たちは不要だと言っています。
憲法記念日 安倍政権の「自由民主党 日本国憲法改正草案」に見る緊急事態条項=戒厳令の恐怖
自民党とヒゲの隊長佐藤正久議員が「緊急時における個人の自由・権利制限は、憲法で明記すべき」
参照 自民党改憲草案
こんな危険な緊急事態条項が、野党の中でも国民の中でも、改憲の中で一番評判が良くて、安倍政権も突破口と見ているだなんて信じがたいです。
みんな、信じがたいバカだ(ごめん!)
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
パリ同時多発テロを受け会見するオランド大統領(代表撮影/ロイター/アフロ、11月14日撮影)
フランス議会は20日、全土に発令されている「非常事態宣言」を3カ月延長することを決定した。13日のパリ同時テロ発生直後から発令されている「非常事態宣言」には、どのような効果があるのか。
13日夜にパリ市とその近郊で発生した同時テロは130人の犠牲者を出した。発生直後、オランド仏大統領は非常事態を宣言。美術館や図書館が閉鎖され、集会やデモの許可が取り消された。住民には不急の外出を控えるように通達された。
憲法ではなく法律上の規定
フランス憲法では国家の非常時、大統領に強大な権限が集中する「非常措置権」や、秩序維持の権限が行政から軍隊に移される戒厳状態が認められているが、今回の「非常事態宣言」はこのどちらでもなく、憲法に明文規定はない。「非常事態宣言」の根拠は1955年に制定された「緊急状態法」という法律で、アルジェリア独立戦争を受けて制定されたものだ。
「非常事態宣言」は公の秩序に対する重大な脅威があると判断された場合に大統領が宣言でき、期間を限定して警察権限を強化することなどが可能となる。1962年のアルジェリア独立戦争終結後は、1985年に仏領ニューカレドニアの暴動で宣言されたほか、フランス本土では2005年にパリ郊外で移民の若者による暴動があった際にも発令されている。
非常事態宣言は、12日以上の延長をする場合には議会の承認を得て法律を制定する必要がある。今回は、20日に議会で非常事態宣言を延長する法案が可決され、来年2月25日まで3カ月延長された。
宣言で何が起きる?
「非常事態」が宣言されると、人々の生活にはどのようなことが起きるのか。
大きな特徴は、警察権限の強化だ。内務大臣は「公の秩序と安全に対し危険な活動をしている人々」を自宅軟禁することができる権限を持つ。20日の上院でバルス首相は、これまでに164人を自宅軟禁状態としたことを明かしている。
また、裁判所の令状なしに、昼夜問わずに家宅捜索したり、武器を押収したりすることも可能となる。バルス首相によると、これまで793件の家宅捜索がなされ、174件の武器押収があった。公権力の行為を妨害しようとする者に対し、地域の全部または一部の滞在禁止を命じることもできる。
市民にとっては、命令のあった場所・時間における人や車の交通が禁止されたり、安全地帯が設定されたりすることで、移動の自由が制限される。コンサートホールなどの興業場、酒類の小売店、集会場の閉鎖命令や一定の集会の禁止が命じられるなど、行動の自由も制限される。
「緊急状態法」では、新聞、出版、放送、映画の上映、演劇の上映の規制も認められている。しかし表現の自由を制限するこの規定は1955年から一度も適用されておらず、今回も規制が見送られている。
他国での「非常事態宣言」
大きな自然災害や紛争などの非常時に、国が平時とは違う権限を行使することは「国家緊急権」と呼ばれ、各国の憲法や法律で定められていることが多い。アフリカのマリでは20日に起きたホテル襲撃を受け、10日間の非常事態宣言が発令されている。
アメリカでは州知事が地域レベルでの非常事態を宣言する権限を持ち、ハリケーンや大雪など自然災害の場合にも宣言されている。日本では憲法や法律の明文規定はない。2011年の東京電力福島第一原発事故では、原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言が発出されたが、災害や紛争などあらゆる非常時に対応できる「非常事態宣言」の包括的な明文規定はない。非常時の国の緊急権の濫用を防ぐためにも、発動要件や期間、取りうる具体的措置などについて明文化する必要があるのではないかとの指摘も上がっている。
(安藤歩美/THE EAST TIMES)
/2 狙われた仏の「自由」
毎日新聞2016年1月1日 東京朝刊
相次ぐテロに見舞われた年の終わりを目前にしたパリのクリスマス。学生街「カルチェラタン」のカフェはいつものように、学生らでにぎわっていた。1968年にソルボンヌ大の管理強化に反発し、自由を求める学生らが、大規模なデモを繰り返した「5月革命」の舞台の一つとなった地だ。
「カフェにいたら突然撃たれるんじゃないか。そんな恐怖を感じていないと言えば、うそになる」
カフェのテラスで友人らとビールを飲んでいた大学生、ニコラ・シャクボロフトフさん(22)が心情を吐露した。一方で、「だからといって一生おびえながら生きるのはごめんだ。僕らの好きなことがテロの標的となったなら、それを続けるのが最大の抵抗だよ」と、カフェに繰り出す理由を説明した。
「私はテラスにいます」「怖くもない」。同時多発テロ後、いくつかの言葉が合言葉のように広まった。その一つに「バタクラン世代」という言葉があった。
仏紙リベラシオンは事件から3日後の11月16日、テロ現場近くの共和国広場に集まった若者らの写真を掲載し、「バタクラン世代」と見出しをつけた。「豊かな感受性を持ち、外国の音楽や文化、価値観を広く許容し、自由を謳歌(おうか)するライフスタイルを貫く20〜30代の世代」。取材に応じた同紙のローラン・ジョフラン編集長(63)は、バタクラン世代と名付けた理由を説明した。
「テロの実行犯らは自分たちと年がさほど変わらない若者のライフスタイルを『退廃』の象徴とみなした」と話す。標的となったバタクラン劇場や一連のカフェなどに集まっていた、共通の価値観を持つ若者世代が狙われたという指摘だ。
仏政府は1月に起きた週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件後、ネット上の通信記録の傍受などを可能にする法律を成立させた。同時多発テロ後には非常事態宣言を3カ月に延長し、捜索令状なしで約3000件に上る家宅捜索を行ってきた。
それでも同時多発テロ後の世論調査では、安全のため「自由の制限を受け入れる」との回答が8割を超えた。
だが、ジョフラン氏は「テロリストの目的は民主主義を後退させ自由を奪うことだ。その目的をかなえさせるべきではない」と述べ、治安強化の名の下で恒常的に自由が制限されかねないことに懸念を示した。
仏政府は12月23日、テロを想定した国家非常事態を条文に盛り込んだ憲法改正案を決めた。今後、改憲へ向けた手続きが行われる。
改憲案には、二重国籍者から仏国籍を剥奪することを可能にする条文が盛り込まれた。テロ容疑者らが生まれ育った地域に多い移民2世を念頭に置いていることは明白だ。フランスで生まれ、一定期間居住すればフランス人になれる「国籍の出生地主義の理念に反する」として、与党内からも異論が出る。
カフェにいたシャクボロフトフさんもロシア系移民の家庭に生まれ、仏露の二重国籍。「私はパリで生まれ育った。生粋のフランス人という意識しかない。治安対策の必要性は理解するが、完全なフランス人ではないと見なされるようで複雑だ」と胸の内を語った。【パリ賀有勇】=つづく
フランス:非常事態権限による人権抑圧の恐れ
議会は新たな権限の濫用防止に動くべき
(パリ) フランス政府は、今回拡大された国家非常事態法によって付与された新たな権限を、人権抑圧を引き起こさないよう、極力抑制的に用いるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。同法は1955年の法律で政府に認められた非常事態時の権限を拡大するものだ。また国家非常事態を、国家承認なしで政府が非常事態宣言を実施できる12日の期限が終わる2015年11月26日から3ヶ月延長する。
French police stop and search a local resident during an operation in Saint-Denis, France.
拡大された非常事態権限は政府に対し、裁判官の承認なしの自宅軟禁措置、令状なしの家宅捜索で発見したコンピュータの押収、裁判所の事前承認なしでのテロリズムを称えるとおぼしきウェブサイトの遮断を認めている。こうした権限は、人身の自由と安全、移動の自由、プライバシー、結社と表現の自由の権利に干渉すると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。
「フランス政府は人びとの安全を確保し、おぞましい襲撃事件の実行者を裁判にかけるべきだが、人びとの自由と権利を保護し、いかなる部分も差別しない義務もまた有している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの西ヨーロッパ調査員イザ・レグタスは指摘する。「議会は、政府にゆだねた広範な権限が可能な限り控えめかつ短期間だけ用いられるようにすべきだ。」
議会は、1955年の国家非常事態法を改正、拡大する新法を11月20日に圧倒的多数の賛成で、短期間のうちに可決した。フランソワ・オランド大統領は11月13日のパリでの襲撃事件とパリ郊外サンドニでの事態を受けて国家非常事態を宣言した。同大統領は24日にバラク・オバマ米国大統領、25日にドイツのアンゲラ・メルケル首相、26日にはロシアのウラジミール・プーチン大統領と会談する。
国家非常事態の発令以後、ルモンド紙の11月23日の報道によれば、フランス政府当局は令状なしの家宅捜索を1,072件実施し、139人を路上で取り調べて117人を起訴前拘束したほか、253人を自宅軟禁とし、201点の武器を発見した。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこうした大量の捜索と自宅軟禁措置の必要性と均衡性についてただちに評価を行うことができない。だが政治と世論からの強い圧力を背景に一連の権限が行使される状況では人権侵害のリスクは高まる、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。
今後3ヶ月、フランス議会はこうした権限の適用のあり方を、とくに政府には均衡確保の原理を尊重し、差別をしてはならない義務があり、また権限の行使には司法の監督がないことを踏まえて、慎重に精査すべきである。またこうした措置は一時的なものに留まるようにすべきだ。
今回の新法はフランス政府に移動の自由を制限する広範な権限を認めており、自由の剥奪に該当する移動制限につながる可能性がある。移動の自由と人身の自由の権利は、フランス政府がともに批准するヨーロッパ人権規約ならびに市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)で保障されている。新法により、内務大臣は「その行動が公共の秩序と安全への脅威を構成すると信じるに足る重大な理由がある者」を自宅軟禁することができる。内相に広範な裁量が与えられ、裁判所の承認や審査が必要とされないとの規定は、人権侵害をただちに発生させる可能性がある。
この条項の定めるところでは、個人は1日あたり最大12時間自宅から出てはいけないほか、警察署に定期的に出頭し、一定期間はパスポートなどの身分証明書を警察に提出しなければならない場合がある。さらに、もしある人物が「その行動が公共の秩序と安全への脅威を構成すると信じるに足る重大な理由がある」時には、接触を禁じられる。この条項は私的生活と家族生活の権利だけでなく、自由権規約とヨーロッパ人権規約が保障する結社の権利も脅かすものだ。
加えてこの法律は、自宅軟禁となった人物が過去に重大なテロ関係容疑で有罪になり、刑期を終えてから8年が経っていない場合には、内相がその人物に行動を監視する装置を装着させることができると定めている。ただし装着には本人の同意が必要である。
同法はまた内相と県知事に対し、「その行動が公共の秩序と安全への脅威を構成する人物が、頻繁に訪れていると信じるに足る重大な理由がある」場合について、時間を問わず、個人宅を含むいかなる場所でも令状なしで家宅捜索を行うことを認めている。しかし令状なしのこうした捜索を弁護士、裁判官、ジャーナリスト、国会議員が使用する敷地内で行うことは禁じられている。同法には、その後の刑事裁判で、こうした捜索で発見された物品が証拠として採用されるかについての規定はない。
同法は捜索を行う当局に対し、敷地内の電子機器に保存されているか、その機器からアクセスできる電子データへのアクセスとコピーを認める点で、ヨーロッパ人権規約と自由権規約の下で保障された表現の自由とプライバシーの権利を脅かすものである。同法では、こうした広範な捜索権限に基づいて収集された(捜索が違法行為との関係を一切示さない場合も含まれる)データの使用、保持、拡散を制限する安全策が特に規定されていない。
同法は「公共の秩序の重大な侵害となるか、その活動がそうした活動の実施を促進または扇動する行為の実施に参加している」と大まかに定義された組織や団体の解散権を政府に認めているが、これは自由権規約とヨーロッパ人権規約が保障する結社の自由の権利を脅かすものだ。同法には、こうした方策が国家非常事態の終了と同時には終わらないことが明記されている。
同法はさらにフランス公安当局に対し、同法に基づき解散した組織や集団の「維持や再建を目的とした行動の防止」という、おおまかに定義された目的に従って監視活動を行う権限を与えている。集団が解散命令を守らない場合、構成員は訴追される可能性がある。
内相には「テロ行為を犯すことを促し、またはそうした行為を賞賛するオンラインの公共コミュニケーションサービスの遮断を確保するあらゆる手段」を取ることも認められている。この規定には実効性のある制限がないため、テロ行為を「賞賛する」(フランス法上幅広い意味を有する)発言を制限するために、インターネットのネットワーク全体を遮断することが可能であると読むこともできる。
ヨーロッパ人権規約第15条と自由権規約4条に基づき、国家非常事態では移動、表現、結社の自由などいくつかの権利を規制することが政府に認められているが、「状況の緊急性が厳格に求める範囲内」に限られており、同法に基づくあらゆる措置が達成しようとする目的と厳密に均衡が保たれ、差別的に行われていないようにする義務もある。政府はさらにこうした権限が差別的に適用されないようにするとともに、特定の民族や宗教、社会集団に属する人びとを非難することがないようにしなければならない。
非常事態法が政府に与える権限の期間を3ヶ月から延長するとの提案は、徹底的な議論と市民社会の関与を可能にする手続きによって検討されるべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。
自由権規約とヨーロッパ人権規約の下で定められた政府の義務に照らし、フランス政府は他の条約加盟国に対し、これら2条約が保障する権利に対するデロゲーション(違反)がある場合には、直ちに公にして通知するべきだ。ただしフランス政府が今回の非常事態下での権限をデロゲーションと見なすかは明らかでない。
各国の自由権規約の遵守状況をモニタリングする機関である国連規約人権委員会は、こうした通知にあたっては「行われる措置についての完全な情報とその理由についての明快な説明が、その根拠となる法律に関する正式な文書とともに」付されなければならない点を強調する。
「いまのフランスには、しっかりとした人権状況であることがかつてないほど求められている」と、前出のレグタス調査員は語る。「過剰な規制を行えば、フランスとヨーロッパで恐怖を浸透させ、民主主義の価値観を損ない、法の支配を骨抜きにしようと狙う人びとを逆に利することになってしまう。」
レイバーネット 第33回・2016年1月1日掲載
フランス共和国の価値観
*2015年11月29日、COP21に向けた市民団体のデモが禁止されたので、「歩けないなら靴を」と靴が置かれたレピュブリック広場。12月12日の最終日まで、市民によるCOP21関連の催しやアクションは実行された。写真(Etsuko F.)
11月13日の同時テロ、非常事態宣言の発令と延長、12月の地域圏選挙での国民戦線のさらなる躍進・・・1月の連続テロで始まった2015年フランスの晩秋と暮れは、重大で剣呑な出来事がつづいた。11月末からのCOP21(気候変動枠組条約第21回提携国会議)関連の市民団体の催しが終わり、少し落ち着いて一連の出来事について書こうとしていたクリスマス直前に、再び衝撃的なことが起きた。2016年2月から議会にかけられる「非常事態宣言」に関する憲法改正案に、予測に反して、二重国籍者がテロ行為などで有罪になった場合の国籍剥奪が盛り込まれたのだ。こうした措置は国民戦線など極右が主張してきたもので、サルコジ前大統領が2010年7月に行った演説にも含まれていた。左派の議員や市民はもとより、当時はオランド自身もサルコジの提案には断固反対だった。
オランド大統領はテロのあと直ちに「非常事態」を発令し、11月16日の国民議会・元老院両院を召集した場で、「非常事態」と「国籍失権」を憲法に書き加える意志を告げた。テロのショックで血迷ったのだろうか、いや、保守と国民戦線が治安強化をがなり立てるだろうから、先手を打った策略だ、などと詮索された。行政と警察に権力が集中する「非常事態」(1955年3月の法律によるもの。最高12日間に限って有効)を憲法に加えること自体も大問題だが、二重国籍者の国籍剥奪(フランス国籍取得者については、スパイやテロで有罪になった者に適用する法律がある)をフランス生まれの者にまで広げるという提案は、左派のみならず共和国の理念と伝統に反する。サルコジがそうしたように、国民戦線の主張を代弁すれば支持率が上がるとオランドも企んだようだが、考え直して国籍剥奪案は引き下げるだろうという予測に反して、12月23日の閣議決定で国籍剥奪は「国家の保護」という憲法改正案に含められた。
日本には二重国籍という考え方がないが、住民の他国への移住や亡命が歴史的に頻繁にあった欧米など世界各地では、二重国籍を認める国が多い。フランスでも二重国籍は「伝統的に認められていて、人口の約5%を占めるという(2008年)。両親が外国人でもフランスで生まれて、11歳から18歳(成人)までの期間、フランスに5年間住んだことを証明できれば、自動的に国籍を得られる(出生地主義)。また、結婚や職業活動などさまざまな理由によって、フランス国籍を獲得できる。二重国籍をもつ者の9割は移民系のフランス人だ。移民系フランス人に対する国籍剥奪の可能性をテロ対策の最優先に掲げることは、移民系は身分証上だけのフランス人だと言う国民戦線と同じ論理をふりかざすのに等しい。
人権団体、パリ市長のアンヌ・イダルゴ(スペイン生まれ、14歳で国籍獲得)をはじめ左派の政治家からの辛辣な抗議と批判に対して、マニュエル・ヴァルス首相(スペイン系、20歳で国籍獲得)は、「左翼の一部は偉大な価値観の名にもとに道を誤っている」と国籍剥奪法案を擁護し、英国やベルギーなど他のヨーロッパ民主国にもあると反論した。ベルギーはたしかに2015年7月、国籍剥奪に関する法律を採決したが、ベルギー生まれの二重国籍者への適用は認めていない。イギリスは9.11以後、ブレア政権が2002年に国籍を剥奪できる法律をつくったが、4件しか適用しなかった。保守党が政権をとった2010年以降は、テレサ・メイ内務大臣がテロ対策として、国籍剥奪やジハードに赴いたイギリス人の帰還を禁止する権限を手中に収めた。オランドとヴァルスのお手本は、移民に敵対的な政策を進める英国保守党らしい。
イギリスとフランスでは第一次大戦中、敵国出身者に対して国籍を剥奪する法律がつくられて施行された(フランスは約550人、イギリスは60人以下)。しかしフランスには、第二次大戦でナチス・ドイツに協力したヴィシー政権(共和政から逸脱した政体)という暗い過去がある。ヴィシー政府の1940年の法律によって、1927年以降のフランス国籍獲得者のうち約15000人(多くのユダヤ系を含む)が国籍を剥奪された。レジスタンスのために外国へ行ったドゴール将軍やマンデス・フランス、共産主義者などの国籍も剥奪された。この法律は1945年に廃止された。以後は1927年の国籍法の精神にしたがって、フランス生まれでないフランス国籍獲得者が、スパイやテロなど国家の重大な危機をもたらす罪を犯した場合にのみ、国籍の剥奪が許される(民法第25条)。1990年代から現在まで、適用されたのは20数件ほどだ。1948年の世界人権宣言は第15条で、すべての人間が国籍をもつ権利を定めている。また、フランスは無国籍者の地位と削減に関する国連条約(1954年、1961年)に署名していて、無国籍者を出すわけにはいかないから、二重国籍をもたない人の国籍を剥奪することは原則的にできない。
12月23日に発表された社会党青年部の抗議書にもあるように、フランス生まれの者の国籍を剥奪する措置をつくることは、フランス共和国の伝統である出生地主義の否定につながり、極右の唱える血統主義への道を開くことになる。国籍や移民の歴史の専門家である歴史・政治学者のパトリック・ヴェイルは、新たな立法や憲法改正をしなくても、1938年に加えられた民放23条7項に、フランス生まれでも「他国の国民のように振る舞う者」は(二重国籍者なら)フランス国籍を失う規定があると指摘する(戦後~1967年にナチスとヴィッシー政府協力者、共産圏への協力者に対して適用された)。この民法を国際テロリズムに合わせて書き直せばよいわけで、憲法に国籍剥奪を加えることは、移民系フランス人に対する疑いを引き起こし、国民を二つのカテゴリーに分けるから、共和国の理念に逆らうと告発する。「テロ後の今の状況で国が探し求めるべきは、出身などの区別をしない国民の結合なのに、この措置は逆に国民を分断する」と。第五共和政憲法の第1条は、「フランスは、不可分の非宗教的、民主的かつ社会的な共和国である。フランスは、出身、人種または宗教による区別なしに、すべての市民の法律の前の平等を保障する」という文で始まる。
ヴェイルはさらに、法案の諮問機関コンセイユ・デタ(国務院)の「意見」にあるように、二重国籍者と単一国籍者を分ける措置は、EUの「人権と基本的自由の保護のための条約」における非差別の原則に反するとも指摘する。法案反対者の中には保守の元首相などを含め、テロ犯罪の場合は国籍剥奪ではなく、すべてのフランス人に対して平等に市民権喪失(非国民罪)をふつうの法律で定めればよいという意見もある。
オランド大統領の憲法改正案のもうひとつ不条理な点は、反対者とコンセイユ・デタ、そしてヴァルス首相など賛成者のすべてが口を揃えて、国籍剥奪の措置に相当するケースはごく少数だし、それらもほとんど適用不可能だろうと言っている点だ。自死するつもりのジハーディストは、フランス国籍剥奪の危険など怖れずにテロを行うだろうから、予防の効果もない。生き残って有罪となった犯人を国外追放しようとしても、もうひとつの国籍の国が受け入れるとは限らず、非人道的な扱いを受ける恐れのある国の場合は、そこへ追放することもできない。
つまり、テロ対策として効果がないと承知の上で、シンボリックな措置だとオランドもヴァルスも認めているわけだ。そのシンボルとは移民系、ムスリム・アラブ系フランス人に対する不信感、「本当の」フランス人とそうでない人がいるという差別思考だろう。左翼の一部は道を誤っていると言ったヴァルスに応えて、ミッテラン政権下の内務大臣、憲法評議員などを務めたピエール・ジョックスは、「自分たちの価値観を忘れて『道を誤った』社会党議員たちは、かつて左翼の信用を失わせ、党を破壊して第3共和政を倒した と書いた。(ヴィシー政権をつくるペタン元帥に全権委任の投票をした社会党の前身SFIO議員は90名、反対したSFIO議員は36名。)
ヴェイルは憲法改正案の閣議決定の前に、オランド大統領と面会して説得を試みており、この法案に反対だったトビラ法務大臣は閣議の前日にアルジェリアで、国籍剥奪は改正案に含まれないと発言した。法務大臣に告げずに法案がつくられ、親しい弁護士や知識人、社会党のかつての「同胞」の意見に耳を貸さずに、オランドはこの措置を通すつもりのようだ。12月末の世論調査結果では、フランス人の85%がこの措置に賛成しているというが、大統領と首相の支持率は下がった。12月の地域圏選挙の結果を見れば、国民戦線票をつかもうと同じ路線をとると、コピーではなくオリジナルの国民戦線の支持率がさらに上がることがわかる。サルコジはその戦略で保守党を弱体化させたが、オランドはこの憲法改正案で社会党を分裂させ、左翼(エコロジストEELV党と左の党は法案に反対)をさらに弱体化させるのだろうか。いずれにせよ、緊縮政策と労働法破壊のネオリベラル政策を展開する現政権はすでに左翼の政治はしていないが、この恥ずべき憲法改正案(非常事態については次の機会に書くことにする)がもし採決されたら、オランドはフランス社会党を失墜させた者として歴史に名前を残すだろう。しかしそれより重大なのは、2008年の経済危機以来、影響をもっとも受けている恵まれない人々、とりわけ移民系の若者たちがこの措置によって傷つき、現政権とフランス社会への幻滅をますます深めるだろうということだ。
2005年晩秋に起きた大都市郊外の大規模な「暴動」のあと、それらの地区で移民系の若者に政治参加を促すNPOがいくつも生まれた。2006年~07年、例えばセーヌ・サン・ドゥニ県(11月のテロがあったサッカー場のあるパリの北郊外)の選挙民登録数は11%増加した。移民系の若者たちは、郊外庶民地区の移民系若者を内務大臣時代から敵視してきたサルコジへに対して、強い反感を抱いている。この県では2007年の大統領選挙のとき、社会党候補のセゴレーヌ・ロワイヤルの得票率が高かった。その後2012年まで、郊外庶民地区の選挙民登録数はさらに増えた。大統領になったサルコジ(2007~2012年)の「ル・ペン化」もさらに進み、「国民のアイデンティティ省」をつくり、「ムスリム」を敵視する発言を繰り返した。2012年の大統領選第一次投票で、国民戦線のマリーヌ・ル・ペンは17,9%(642万票)を集めるが、セーヌ・サン・ドゥニ県では第一次投票からオランドが38%以上、第二次では65%を得票した(サルコジ19%、35%)。厳密な調査はないが、いくつかの世論調査によると、ムスリム系の選挙民の8~9割はオランドに投票したとみられる(アントワーヌ・ジャルダンによる庶民地区の選挙力学研究より)。オランドとサルコジの差は約114万票とあまり開いていなかったから、サルコジに反発したムスリム系選挙民の存在は、オランド勝利の部分的な要素だったといえる。しかし、もはやそれが繰り返されることはないだろう。
憲法改正案は2016年2月3日から議会で討論が始まる。可決には、国民議会と元老院を合わせた925人の議員のうち、5分の3以上の賛成が必要だ。保守陣営の中にも反対者がいて社会党議員の票は割れているし、議論はまだ続くだろう。一方、70以上の市民団体や組合が法案に反対するNous ne céderons pas! (私たちは負けない)と題する署名を、トマ・ピケティなどの学者・研究者たちも同様の署名を始めた。2016年の闘いが始まる。
http://www.nousnecederonspas.org/
http://www.liberation.fr/debats/2015/12/30/monsieur-le-president-ne-permettez-pas-que-demain-notre-pays-connaisse-deux-categories-de-citoyens_1423676
2015年12月31日 飛幡祐規(たかはたゆうき)
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
緊急事態条項の危険性については、自民党の最悪な憲法改悪草案の発表当時からその危険性が言われてきましたが、自民党の議員諸氏においては「既に改憲は成ったも同然」なのではないでしょうか。
だから、「言論の自由」は平然と弾圧するし、「集会結社の自由」を国民が行使すると拒絶反応を示す訳ですよね。
そしてそれらが、さして咎められない。
誰も辞任とかしないし、1年間役職停止のはずの議員が堂々と3ヶ月で処分解除とかになったりしているわけです。
本来は、嘆かわしい状況です。
でも、これが「多数の日本人が望んでいる世の中」なんでしょう。
日本人は、お互いの人権を守ろうとするより、他人が人権を行使しているのが許せないと考えてしまう、そんな民族なのだと思います。
それがわかっているから、自民党もあんな無茶苦茶な憲法改悪草案をいつまでも掲げられるし、議員は日本国憲法を平然と蔑ろに出来る訳ですね。
重要なことは二回経験しないと身に沁みないということだが、もう一度独裁国家主義体制で抑圧されないと、わかんないわけ? そして、わかった時にはもう遅い。
日本人 = 世界一奴隷が似合う国民 か。
この例えは、環境問題で良く引かれた話なのですが、それよりも、今の日本についての例えとして最適だと思われます。
安倍首相以下の閣僚が、黒服に身を固めて軍事行進すれば、誰でも、気がつくのでしょうが、徐々に固められると、知らず知らずに、全体主義に縛られて、気がついた段階では、どうしようもなくなっているのです。
その手法は、矢張り、第一番に大本営発表です。 地球温暖化詐欺には、大成功を収めている訳ですから、他の問題でも、全て、その応用が可能な訳です。
ワシントン・ポストの記者が暴露したスキャンダルに準えてクライメート・ゲート事件と呼称された国連IPCCの大スキャンダルは、日本の報道では、殆ど無視されました。
よくこれだけ続々と出て来るな、と思われる程に、温暖化に関わる捏造、デッチ挙げ、謀議、詐欺、等々が報道されましたが、それらは、日本では、全く無視されました。
原発事故では、最初から大本営発表でしたし、今もそうです。 米国は、日本政府からは、情報が十分に提供されないので、自国に依り情報収集せざるを得ませんでした。
大本営発表が継続して成功している原因は、諸種ありますが、第一には、日本語が、あらゆる面で、自然の障壁になっていることが挙げられます。
これだけネットが普及しても、外国では大問題になっている事象で、国内では、殆どの人が知らないものが沢山あることに気がついている良識ある方々が、サイトを立ち上げて発信しておられますので、検索してご覧になれば愕然とされることが多々あるでしょうが、そうした時間のない一般では、知り様も無いのです。
ネット・TVを利用出来るようにすれば、この包囲網を打ち破れるかも知れませんが、大規模な組織と予算が必要ですので、なかなか困難でしょう。
世界的には、U-Tubeも含めてネット・TVが普及しつつありますが、日本は、言語の面で、鎖国状態です。
例えば、EUは、既に、EU共通のネット・TVが稼働しています。 使用言語は、EU加盟国の言語が全て含まれています。
単一国でも、英国では、多数のネット・TVが稼働中です。
euronews LIVE
http://www.euronews.com/news/streaming-live/
sky NEWS
http://news.sky.com/
こうした媒体を利用して、井の中の蛙状態を打破する試みをしなければ、と思っているのですが。。。思うだけではね。
国会の連中、とりわけ自民党の連中は憲兵隊でも作る気か!!
同じ奴隷であろうとも、館や主人の危機にこれ幸いとサボって憂さを晴らす”野の奴隷”が決定的に少ない事は、この列島を実効支配する統治機構に民衆が完敗してきた徳川幕府以降の数百年にDNAレベルにまで叩き込まれた心底情けない行動様式なのでしょう。
自らから見て下にはサディズムをもって、自らから見て上にはマゾヒズムをもって…が9割以上の”日本人”と称する”日本列島”住民の正しい行動様式で礼儀であるようです。
非常事態は間違いなくそういった大多数の統治機構と思考を限りなく同一にした個々人の脳内の事であると考えられるというのに。
戒厳令も、夜間外出禁止令も、一切の治安弾圧による行動制限も、楯突いたりする”不逞な””野の奴隷”が悪いとのみ理解されるイカレ具合を世界中に輸出するなと強く感じて抗い30年以上が経ってしまいました…
anyway, la batalo continuos!
→→→→→→ 「は ハ Ha」 安倍自民党より1万倍ヤバい国がいますけど。
隣国に侵入して、男は虐殺して、女は兵士が犯して、民族の言葉と慣習を禁じる民族浄化
を行っている国が在る事を宮武様は御存知ですよね。 「まさか知らないとは・・・・・。」
その某国と戦って我が日本を守って呉れる気概があるのは、安倍自民党のみです。
確かに、変な政策は多いけど、其処は我々が声を大にして、止めさせれば善い事。
今現在、危険な時期に安倍自民党以外の選択肢は有りません。 是々非々で行けば善いん
ではないでしょうか。 完
突っ込んで欲しいんですね!
まさか、「俺、上手い事、言ったった(ドヤッ)」ってことはないっすよね?
>安倍自民党より1万倍ヤバい国
>隣国に侵入して、男は虐殺して、女は兵士が犯して、民族の言葉と慣習を禁じる民族浄化
を行っている国
を宮武さんはよ~~~~~~~~~~~~く、ご存知ですよ。だって、自分の暮らす戦後日本の元であり”相続”するわが大日本帝国のことだもの。
”真の日本人”ならすぐにわかることでしょ?
わが大日本帝国の80年は、49年建国の中国の比じゃないからねえ。教養ある日本人なら、蝦夷地(近代的な意味の国家ではないが江戸時代まで全体としては日本の一部という意識はなかった)、琉球国の併合から始まり、台湾、朝鮮を侵略・併合~15年戦争でアジア・太平洋を侵略しまくり、殺しまくり、犯しまくり、”民族の言葉と慣習を禁じる民族浄化を行”いまくったわけだからさ。アイヌなんて、民族としては今も何万人かはいるけどもアイヌ語を母語とする地域集団はもう滅ぼされてしまったようだね。日帝80年の間に殺した数は3000万には達しないだろうが、同じ時期に”外国人を殺した数”ではドイツに次いで堂々の世界第2位だよ。国連憲章で「敵国」指定、”戦争違法の適用外”にされるだけの内実があるわな。
わが帝国は、各地で日本語を強要し、現地の言葉を使えば方言札を掛けさせて屈辱を与え、神社(歴史学用語では戦争神社という)を建てて拝ませ、皇居遥拝をさせ、名前を変えさせ、これらを死も含めて暴力で強制した。
で、
>その某国と戦って我が日本を守って呉れる気概があるのは、安倍自民党
とのことだが、日本会議と一体となってその亡国、もとい某国を素晴しいものとして、戦うところとか、賛美・復活すべく驀進しているのが「安倍自民党」じゃん。
何時間も飛行機に乗らなければ行けない海の向こうの某国よりも、自分がどっぷり浸かっていて、自分に対して直接「合法的」に権力を振り回す「安倍自民党」の方が遥かにリアルな危険だわ。実際、99,9%が惨めで貧しい暮らしをし権利も自由もない国であり、2000万の外国人を殺し、300万の日本人を殺し、国土を焼け野原にして滅んだ国の路線を批判どころか賞賛し、復活させようというのだから。
だから、人権を擁護し社会正義の実現のために生きている宮武様は「安倍自民党」を厳しく批判しているんだよ。
>安倍自民党より1万倍ヤバい国
>隣国に侵入して、男は虐殺して、女は兵士が犯して、民族の言葉と慣習を禁じる民族
浄化を行っている国を宮武さんはよ~~~~~~~~~~~~く、ご存知ですよ。だって、
自分の暮らす戦後日本の元であり”相続”するわが大日本帝国のことだもの。
”真の日本人”ならすぐにわかることでしょ?
わが大日本帝国の80年は、49年建国の中国の比じゃないからねえ。教養ある日本人
なら、蝦夷地(近代的な意味の国家ではないが江戸時代まで全体としては日本の一部と
いう意識はなかった)、琉球国の併合から始まり、台湾、朝鮮を侵略・併合~15年戦争で
アジア・太平洋を侵略しまくり、殺しまくり、犯しまくり、”民族の言葉と慣習を禁じる
民族浄化を行”いまくったわけだからさ。』
→→→→ Lさん、私は不勉強なので、蝦夷地方の事は、善く分からないのですが、
其の事と、旧琉球国(現在は琉球地方)、台湾、朝鮮、アジア・太平洋の事はきっちり
分けて考えるべきではないのでしょうか。 何でも彼んでも、一つの鍋に放り込むが如く
物事を単純化して、脳みそに汗を掻かせないで、思考を省く態度は善きディベーターの
其れでは無い様な気がします。
此処に、Lさんに御紹介したい一文が有りますので、是非とも御一覧下さいます様
此の三角四角、伏して御願いしたい処で御座います。
土井全二郎著 『失われた戦場の記憶 (最前線の人間ドラマ)』光人社NF文庫
[平成23年(2012)5月22日発行]
から一部抜粋引用します。 【第三章 かかる兵士ありき (涙のツ連送)より ・・・
『 その直後、大川伍長の「同期の桜」であり、同じ香川県の出身だった高橋は、中隊長
に呼ばれて次のように命令されている。
「大川伍長のお袋さんに最後を見届けてもらうため、通信室に御案内しなさい」
病身を押して特攻隊を志願したことに対する配慮からか、異例の取り扱いであった。
そして、いま、こうして、レシーバーを耳にしているのだった。
「特攻機、沖縄本島海域」という知らせもあと、しばらく静寂が続いていた。
やがて、通信兵が立ち上がり、黒板の一号機のところに「セ」と書き込んでいる。
大川機だ。 「セ」は戦艦発見。続いて三号機には「ク」と書かれた。空母発見である。
そして、ついに、来るべきものが、来た。
桜弾機の一号機も、そして三号機も、「トツーツート、トツーツート、トツーツート」の
「ツ」の連続信号となっている。
「ワレ突入ス」との暗号だった。 いま、この瞬間、ほんとにこの瞬間、「逆スコール」
と形容されるほどの敵のすさまじい対空砲火のなか、特攻機はまなじりを決し、敵艦
めがけて超低空、真一文字に突っ込んでいるのだ。
高橋は体を硬直させ、手で耳のレシーバーを強くにぎりしめ、同期生の特攻機から
発せられるモールス信号を聞いている。 硝煙けむる沖縄の、その荒れる海の波しぶきが
かかってくるような思いだった。 大川伍長の母親も、弟も、大きく目を虚空に見開いて
いた。
モールスは十回連続して、そして、ぷつん、と、途絶えた。
三号機から信号が途絶えたのは、「午前八時五十七分。」 大川伍長の乗る一号機
の信号が消えたのは「午前九時二十四分」と記録されている。
最高潮に達していた天幕の中の張りつめた空気が、風船がしぼむように、すうーっと
流れていった。ここで大川伍長の母親が周囲の兵隊たちにお礼を述べている。
「たいへんお世話になりました。ありがとうございました。これで安心しました」
当時としては精いっぱいの言葉であった。 しかし、母の視線は泳ぎ、定まって
いなかった。
・・・・・・
高橋(のち、軍曹)は、わずかな遺品を抱いた故大川伍長の母親と弟を国鉄大洗駅まで
見送っている。丸まった背中が悲しく、痛々しかった。さようなら、お母さん。さような
らー、と、高橋は、万感の思いを込め、汽車が見えなくなるまで手を振っている。
雨の沖縄と違い、この日の筑後平野は「五月の空は澄み渡り、夢のように静かな緑が」
があった。 終戦まで、あと3ヵ月足らずであった。』
以上、抜粋終り。
Lさんはどの様に此の一文を見て感じましたか。
私は、某県の代々の無知蒙昧で無教養(特に、日本全体の近現代史)の知事達に成り
代わり、大川伍長とその母親の墓前に罷り出る機会が若し有らば、熱い涙と嗚咽を漏らし
ながら、平伏して、土下座して、御二人の許しを請いたいと思います。 完
(大)日本(帝国)の植民地支配というと、台湾や朝鮮がまず想起されてそれで頭がいっぱいになり思考停止してしまうというのは大学で教えている人たちにも戦後長く続いていました。高校でも教えません。だから面食らう方がいるのも理解できます。古い時期に併合、植民地化した北海道や沖縄には基本的に大日本帝国憲法と法体系がほぼそのまま適用され、後から併合、植民地にした台湾や朝鮮ではそうではありませんでした。このため、本土と同じ法体系の北海道や沖縄は植民地に見えなかったし思えなかったのです。また帝国政府は、台湾や朝鮮も含めて植民地という言葉を慎重に避けて使わなかったということもあるでしょう。
まあ、脳に汗をかいたからこそ固定観念を超えて、沖縄・北海道・台湾・朝鮮が大日本帝国によって侵略、併合、植民地にされたと言うことが見えるのですよ。同じに見えたものの違いに気づくことや違って見えたものの共通性を見つけることはまさに知性です。
まあ、気が向いたら小熊 英二『<日本人>の境界――沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮:植民地支配から復帰運動まで』(新曜社 1998年)でもご覧ください。読みやすいと思います。
さて、戦記のご紹介、ありがとうございます。実は薄いミリタリーマニアでして特攻も含めて多少は眺めています。ですから、桜弾という言葉を見れば、飛龍陸攻の背中に積んだ巨大な成型炸薬弾の図が目に浮かびます。
しかし、大枠について勉強していると、個々の”いいお話”に一つ出会ってもそれで認識が揺らいだり変わったりということはまあないわけです。
戦後、水交社のみなさんが密かに集まり戦時中のさまざまな出来事や判断について語り合う海軍反省会を続けていました。法的な責任はもうなく、お迎えも近づいているし、色々と思うところがあるのでそれぞれの知るところを晒し語り合うことにしたのです。非常にえぐい内容もあって、尉官級の方は悲憤慷慨、激怒する場面もあったようですね。また、海軍が陸軍に責任を押し付けて生き残るさまも語られます。”陸軍は粗暴犯、海軍は知能犯”って奴です。海軍に対するマシなイメージは彼らの情宣によるのです。
日本海軍 400時間の証言 第1回 ~開戦“海軍”あって国家なし~
日本海軍 400時間の証言 第2回 ~特攻 “やましき沈黙”~
日本海軍 400時間の 証言・第3回 戦犯裁判・第2の戦争(動画検索してみてください)
特攻作戦を始め、続けた理由は、敗戦必至の中で軍の偉い人が自分の戦犯追及を逃れるためだったということが当事者から明らかにされます。日本の官僚制においては、失敗が失敗であると認められたその時に、その地位にいた人間がすべて悪い、全責任を取らされ、失敗に至る道を過去に決定をした人間には責任と罪がないというお約束になっています。で、世間も追求しないと。連合国はどうか知りませんがw
戦後も同じで、バブル崩壊後、責任を取らされ刑事事件になったのは破綻の時の現役幹部で、バブルで大もうけし、すでに退職していた連中はお咎めなしでした。
で、彼らが考えたのは次の人事異動まで何が何でも降伏を先延ばしにする、そうすれば、自分は別のポストに逃げられ代わりに誰かが戦犯ポストに嵌ってくれる、兵隊や臣民や戦場の現地人など他人の犠牲なんて思いつかない、ということでした。敗戦を先延ばしにする大した知恵があるはずありませんから、特攻をやらせていたというハラが明らかになったのです。つまり、勝つとか国を護るとか無関係、名前のある個々の偉い人の亡者的なご都合だと。
44年の6月には諦めて
>ソ連仲介による終戦工作は、異例ともいうべき天皇召集による御前会議を経て国策として決定された。http://mononofuft.blogspot.jp/2013/10/8.html
そうだから、帝国が敗戦までの1年強の間に殺した内外の軍民は無駄死にだわな。で、帝国臣民はこの時期が一番沢山死んでるんじゃないかな。
じゃあ、特攻隊の運用はと言えば、「振武寮」が象徴だよねえ。
「振武寮」に隔離された元陸軍 特攻隊員の証言など(文字起こし)http://d.hatena.ne.jp/dj19/20090420/p1
>陸軍では特攻隊員として出撃したが、何らかの要因により攻撃に至らずに帰還した特攻隊員を、死んだはずの軍神が生きていてはおかしい、ということで人目につかないよう秘密裏に「振武寮(しんぶりょう)」に隔離した。
>(振武寮では)罵倒され足腰が立たなくなるほど殴られた。仲間の中には耐え切れず自殺した人もいたという。
>「『希望せず』に○を付けた者でも特攻隊になってるの者がおりましたから、そんなもん、形式的なものだけであって、希望するもしないも全部ひっくるめて特攻隊を指名したんじゃないでしょうかね。
>元第六航空軍 倉澤清忠陸軍少佐の証言。(wikipedia:振武寮より)
「多くの隊員を出撃させたので、恨みに思われるのは仕方ないし、遺族からも反感を買っているので、いつ報復されるかわからないと、夜も安心して寝ることができなかった。80歳までは自己防衛のために、ピストルに実弾を込めて持ち歩き、家では軍刀を手離さなかったんです。」
振武寮で苛め抜いた元特攻隊員の報復が恐ろしかったと。この人も、親族に無線を聞かせる仕組みを作れば、誰も引き返せなくなったし、親の恨みもごまかせ、報復を恐れる必要もなかったにねえ。
なお、特攻隊員自体は出撃前の晩に納得がいかず大暴れしたりと言うことが良くあったようだね。
こうして、特攻作戦の黒幕の源田実を含め海軍のお偉方はほぼ全て死刑を逃げて生き残り、恩給を復活させ、米海軍に媚びて組織を事実上復活させ、国会議員になるものなどコネと金を生かして復活、子孫も上級国民。
一方、有名な「敷島隊」の関”日本もおしまいだよ。僕のような優秀なパイロットを殺すなんて”行男の遺族は戦後、”妻は戦後に再婚した。母・サカエは草餅の行商で生活し、後に石鎚村立石鎚中学校に学校用務員として雇われたが、1953年11月9日に用務員室で57歳で急死した。”そうな。水木しげるが実録漫画を描いていて最後はこの遺族の惨めな戦後を示唆して終わっていたのが印象的だった。もちろん、彼は罪と責任を棚上げして戦後もよろしくやっている軍の偉い人たちとの対比を念頭においてこれで〆た訳だ。
とまあ言うわけで、打ち込んでくださった戦記を読むにつけ、こうした怒りがこみ上げてきてしまうのが、マニアの性なのよ。
はるかに濃い水島朝穂さんや宮崎駿も同じ反応だと思うぞ。