写真は国民栄誉賞表彰式に「96」をアピールして、偉大な二人のスポーツマンの晴れの日を台無しにする内閣総理大臣。
わたくしごとながら、先日、母親がうちに遊びに来たときに、
「あんたのブログ読ませて」
というのです。
それで、適当なのを見繕おうとすると、
「憲法96条について、あんたはどう考えるのん?」
というので、のけぞりました。
うちの80歳近い母親が興味を持つほど、96条が今話題なのだなあと。
そして、当ブログのアクセス分析で、2013年の憲法記念日の検索ワード(グーグルやヤフーなどで検索して当ブログにたどり着いた人がどういう検索ワードでいらしたか)のベストテンが以下の通りだったのです(この日は2万アクセスで多かった)。
順位 | 検索キーワード | 閲覧数 | |
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1 | 憲法96条とは わかりやすく | 270 PV | |
2 | 憲法96 | 145 PV | |
3 | 憲法96条 | 110 PV | |
4 | 憲法96条 わかりやすい | 77 PV | |
5 | 憲法96条 | 52 PV | |
6 | ラブコメ 映画 | 45 PV | |
7 | 日本国憲法96条とは | 40 PV | |
8 | 日本国憲法96条 | 31 PV | |
9 | 96条とは | 25 PV | |
10 | 猪瀬 トルコ | 24 PV |
「わかりやすく」という言葉を使っていないにもかかわらず、ありがたいことに、次のうちの記事が上位に来るんですね。もうこの記事だけで、10万アクセスを超えました。
なぜ日本国憲法96条は憲法改正をしにくくしているのか 「笑顔のファシズム」に気をつけましょう 改訂版
しかし、一介のブロガーの記事がこれだけ求められるというのは、いかに政府とマスコミの説明がわかりにくいかということだと思います。朝日と毎日は社説で96条改正反対を、読売と産経は賛成を打ち出しましたが、とにかく読みにくい。
みんな、直感的に、これは大事(おおごと)だ、という感触はあるんですよ。また、安倍自民党も橋下氏もマスコミも誤魔化している感じもなんとなくわかるから、これだけの方が毎日毎日来てくださるのだと思います。
なぜ、憲法改正のしょっぱなが憲法改正要件の緩和なのか。96条改正派はそこをまず説明すべきです。試験を受ける前に、受験生がいきなりまず合格最低点を下げるようなことが許されるのか。
そんな中、2013年5月5日に、長嶋茂雄さんと松井秀喜さんの国民栄誉賞の表彰式後の始球式に背番号96のユニホームを着て臨んだ安倍首相は、憲法改正の手続きを定めた96条の改正について、「十分に国民的議論が深まっていない」としたうえで、改正に慎重な公明党などと、丁寧に議論していく考えを強調しましたが、国民的議論が深まっていないのは、自分の意図を正直にちゃんと説明しないからです。
政治家もマスコミも、改憲派も護憲派も、わたしは逃げずに堂々と説明して戦うべきだと思います。
憲法96条の改正発議要件が厳しすぎるから国民投票できないというデマ 同じく厳しい米独仏は戦後95回改正
ちなみにうちの母親は上の記事を読ませたのですが、ゴリゴリの反中派で改憲派なので、上の記事は都合が悪くて意に添わなかったらしく、途中で読むのを止めてしまいました(笑)。
だから、〇憲派ってやつは・・・そしてお袋ってやつは・・・・・(以下 自粛)。
ちなみにラブコメ映画もぜひ検索してくださいませ(笑)。
第一位に私の記事が来るはずです。
これぞ、エブリワン・マインド。
ロマンティック・コメディ映画 ラブコメ洋画お勧めランキング ベスト10!改訂版!!
そして、笑顔のファシズムは忍び足でやってくる。
よろしかったらお手数ではございますが、
上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
背番号96の安倍総理 憲法96条改正への意欲語る(05/05 17:38)
長嶋茂雄さんと松井秀喜さんの国民栄誉賞の表彰式後の始球式に背番号96のユニホームを着て臨んだ安倍総理大臣は、改正に意欲を示す憲法96条とユニホームを重ね合わせた記者の質問に次のように答えました。
安倍総理大臣:「あのユニホームは私が96代(総理)だから(背番号)96なんですが、憲法改正、また96条の改正については、まだ十分に国民的世論が深まっているとは言えませんし、理解が十分とも言えません。十分な議論、熟議が必要だろうなと思います」
さらに安倍総理は、「公明党とも丁寧に議論をしていきたい」と述べ、改正に慎重な公明党に配慮を示しました。背番号96のユニホームを着る案は10日以上前から検討されてきましたが、96条改正のアピールではないかと与党内からも批判的な声が出ていました。
【石松恒】「選挙で審判を受けた後に、国民会議を設ける必要があるでしょう。もちろん国民会議は、96条改正賛成派で固めます」
トピックス・憲法特集日本維新の会の橋下徹共同代表は4月23日、同党の国会議員らにこんなメールを送った。維新は、国会での改憲の発議要件を定めた憲法96条改正を実現しようと、有識者による「国民会議」の設置を提唱。夏の参院選で改憲勢力が3分の2以上集まれば、国民会議で結論を出し、一気に96条改正に進みたいと意気込む。
その2週間前の同9日には安倍晋三首相と首相官邸で会談し、96条改正を目指す考えで一致。数日後、自身のツイッターで「96条改正賛成派は国民を信じる。反対派は憲法が悪い方向に進むと懸念し、国民投票を避ける」とつぶやき、早速反対派を牽制(けんせい)した。
96条改正では昨年12月の衆院選で議席を倍増させたみんなの党も足並みをそろえる。渡辺喜美代表は「憲法のみが一度も改正がないのは日本を覆う閉塞(へいそく)感の大きな要因。改正手続きの簡略化を図ることも大事だ」。
首相は3日、訪問先のトルコでの記者会見で、「維新の会、みんなの党も96条に賛成している。多数派を形成していく上でも、96条(改正)に協力をお願いしていきたい」と両党と連携していく考えを強調した。
だが、改憲案の発議要件を3分の2以上から過半数に引き下げることには、与党にも異論がくすぶる。
自民党と連立を組む公明党。弁護士の山口那津男代表が憲法記念日の3日、東京都内の街頭演説で「憲法96条はすべての議員の3分の2以上の賛同がなければ、改正を発議することができないという高いハードルを定めている。憲法の大事な性格を考えれば、高いハードルを保っていくことが必要だ」と訴え、96条の先行改正に疑義を唱えた。
自民党憲法調査会長を務め、改憲論議を牽引(けんいん)してきた船田元・党憲法改正推進本部長代行も「過半数では一般の法律の採決と変わらない。憲法は最高法規。それでよいのかと(党内で)議論したことがある」と明かし、「96条だけ先行して憲法改正や国民投票をやってよいのか。改正のための改正と国民に警戒感も出る。まだ議論が尽くされていない」と指摘。「党内で声をあげない人たちの考えや意見にも聞く耳を持たないといけない。このまま、いけいけどんどんにしてはいけない」
■目標すれ違う改憲勢力
橋下徹・日本維新の会共同代表は3月30日の初の党大会で「憲法を変えていく勢力が3分の2を形成することも重要な参院選のテーマだ」と訴えた。
足並みをそろえる自民、維新、みんなの3党だが、「96条改正」後に何を目指すのか行き先は食い違う。
自民は昨年4月の憲法改正草案に「国防軍」の保持を明記。高村正彦副総裁は「絶対譲れないのは9条2項の削除だ」と9条改正に照準を合わせる。
一方、維新は「96条改正は道州制改憲のためのもの。ここを明確に打ち出していきたい」(橋下氏)。道州制や首相公選制が、維新の「本丸」だ。
しかし、道州制は、自民の改憲草案には「テーマが重すぎて、いまの時点で入っていない」(中谷元・自民党憲法改正推進本部事務局長)。維新やみんなが掲げる首相公選制にも自民は消極的だ。4月の衆院憲法審査会で首相公選制の導入を提案した維新とみんなに、自民の高鳥修一氏が「具体的にどのような制度設計を考えているのか」と詰め寄った。維新の委員は「我が党では、詳細な制度設計の議論は道半ば」などと答えるだけ。議論はまったく深まらなかった。
逆に、維新も自民の改憲草案には違和感を持つ。橋下氏は自民が家族の助け合いなどを草案に明記したことを念頭に「国家権力を制限していくのが憲法論の根本。(自民党草案は)国民に一定の価値を強要していく憲法になっていると僕は感じる」と否定的だ。みんなも自民の補完勢力になることを警戒。渡辺喜美代表は「政治、選挙、公務員制度改革がまず先行しなければならない」とクギを刺す。
橋下氏が党大会で3分の2の結集を呼びかけた3月30日。自民の石破茂幹事長は「我が党にとって心強い」と歓迎しつつ、楽観論を戒めるように語った。
「根幹政策の憲法についてもっと詰めないといけない。維新もできたばかりの政党。我々は改憲を訴えて半世紀以上になる政党だ。スローガンはいいが、具体的な手法など選挙後に協議することはあると思う」
■丁寧な議論、影を潜める
改憲論議が盛んになっているにもかかわらず、中身の論議は粗くなっている。
4月11日の衆院憲法審査会。一票の格差をめぐり、各地の高裁で違憲や無効判決が出たことに、自民の土屋正忠氏は「国民感情を反映できる憲法判断をしていただくためにも、憲法裁判所の設置が望ましい」。現在の「司法」は信用ならないと言わんばかりの発言に、公明の斉藤鉄夫幹事長代行が「気持ちはわかるが、憲法裁判所については慎重に」と取りなした。
同審査会では定数50のうち、自民が6割を占めるが、最近は半数近くが欠席。維新、みんなは新人議員が多く、選挙公約を一方的に主張する場面が目立つ。
憲法をめぐる国会審議は、少数政党にも発言時間などで配慮して「最大限の合意形成」を目指す空気が支配的だった。しかし、3日の改憲派集会で、みんなの江口克彦最高顧問は「全く異なる考えの委員と同じテーブルについて議論が求められ、話が前に進まない。具体的な憲法改正案を出し、国民がどちらを選択するか考える時だ」と議論打ち切りを主張した。
かつて社民の政審会長代理として憲法を担当した民主の辻元清美氏は「憲法論議が薄っぺらくなった。憲法の共通1次試験を国会議員に課してほしいほどだ」と嘆く。護憲派の減衰は著しく、護憲の象徴だった社会党が前身の社民は昨年の衆院選で議席を減らし、衆院憲法審査会に1人の委員も送り出せない状況だ。
とはいえ、野党には96条改正反対で共闘を模索する動きも出てきている。
護憲、改憲両派を抱え、対応を明確にしていなかった民主の海江田万里代表は96条改正への反対を表明。3日の都内での街頭演説でも「自民党の改憲草案は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重からかなり遠いところにある。そんな憲法に変えるため96条を改正するのなら、賛成するわけにはいかない」と訴えた。
民主や生活の党、社民などの有志議員が、超党派議連「立憲フォーラム」を立ち上げ、賛同者を募る。共産の志位和夫委員長は3日の護憲派集会で「96条改悪反対の一点で、政治的立場を超えて力を合わせよう」と訴え、社民の福島瑞穂党首も同日、記者団にこう力を込めた。「海江田さんも反対、共産も反対、公明も慎重。超党派の動きをもっともっと強めていきたい」
衆院憲法審査会、各党が96条への立場表明へ
衆院憲法審査会は、憲法の全11章について、章ごとに改正の必要性の議論を進めている。
9日には憲法改正要件を定めた96条について、各党が立場を表明する。これまでの審査会の議論では、環境権などを明記することについて多くの党が 前向きな考えを示した。一方で、「戦争の放棄」を定めた9条については、改正を明確に主張する自民党、日本維新の会、みんなの党と慎重な他党の違いが際 立っている。
「9日に96条の議論があるが、国民的な論議をするために、安倍首相が問題提起をしている。ただ手続きを先行するということではなく、ぜひ総合的な議論につなげたい」
衆院憲法審査会幹事で自民党の中谷元・元防衛長官は3日、都内で開かれたシンポジウムで、審査会の議論を通じて、憲法改正の必要性を国民に訴える考えを強調した。
9日の審査会では、自民、維新の会、みんなの3党が96条を改正し、発議に必要な両院の国会議員の賛成を3分の2から過半数へ下げることで足並み をそろえる見通しだ。これに対し、公明党は96条改正に慎重な姿勢を示しつつ、明確な改正反対は表明しないものとみられる。96条の改正は、参院選の争点 にも浮上しているだけに各党の議論が注目される。
審査会は、3月14日に7か月ぶりに再開され、自民党が党の憲法改正草案をベースに具体的に改正すべき点を提示したほか、他党も論点についての考 えを表明してきた。ただ、民主党は2005年にまとめた憲法提言の内容を示すのみで、明確な態度表明を避けることも少なくない。章ごとの議論は8章まで終 わっており、今月中に全章を終える見通しだ。
改憲、動きだした96条論議=安倍首相意欲、参院選争点に
憲法改正の発議要件を定めた第96条。安倍晋三首相がその改正に意欲を示す一方、民主党などは96条の先行改正に反対する構えで、参院選では改正の是非が争点になりそうだ。衆院憲法審査会は9日、96条について討議する予定。参院選後の政権の枠組みもにらみ、憲法をめぐる与野党の動きが活発化してきた。
「憲法改正は自民党立党以来の課題で昨年の総選挙でも公約だった。その際、まずは96条ということで、当然参院選でも変わりはない」。首相は1日、外遊先のサウジアラビアのジッダで記者団に、96条改正を参院選で訴え、先行改正を目指す姿勢を鮮明にした。
自民党は2012年4月に策定した憲法改正草案に96条改正を明記。衆参両院の総議員の「3分の2以上」と定めている発議要件を「過半数」に緩めたい考え だ。首相は憲法9条への「国防軍」明記などをかねて主張しており、手続きのハードルを下げることで、持論を実現しやすくする狙いがある。
96条改正では、日本維新の会やみんなの党などが自民党と足並みをそろえる。自民党内からは、改憲に向けて「パーシャル(部分連合)は選択肢の一つ」(石破茂幹事長)との声も出ている。首相に近い古屋圭司国家公安委員長は13日、96条改正を目指す超党派議連の会合を開く。
民主党は04年、党憲法調査会の中間報告で発議要件の緩和を打ち出したが、護憲派の巻き返しもあって05年の憲法提言からは抜け落ちた。現執行部は「憲法を変える手段だけ突出するのは本末転倒だ」(細野豪志幹事長)として、96条の先行改正反対を掲げ、安倍政権に対抗していく構えだ。ただ、党内には96条改正に前向きな改憲勢力もあり、意見集約が難航する可能性もある。
「平和主義」を掲げる公明党も対応に苦慮している。国防軍明記などを目指す自民党とはもともと相いれないが、参院選前に与党内対立を深めるような事態は回 避したいのが本音。このため党内では、仮に96条改正を容認する場合でも、平和主義や基本的人権の尊重、国民主権の憲法3原則に関わる条文については発議 要件を維持する案も出ている。
共産、社民両党は96条改正に反対。生活の党も「本当に(改憲が)必要ならコンセンサスをつくるべきだ」(小沢一郎代表)として、要件緩和に異を唱えている。
◇憲法96条改正をめぐる各党見解
自民 衆参両院の総議員の3分の2以上の発議要件を過半数に
民主 先行改正に反対の方向
維新 衆参両院の総議員の3分の2以上の発議要件を過半数に
公明 反対論が大勢
みんな 改正手続きの簡略化を進め、発議要件を緩和
共産 断固反対生活 96条堅持
社民 96条改正は憲法改悪の手段
みどり 96条改正は本末転倒
新党改革 発議要件緩和に賛成
(時事通信 2013/05/02-15:53)
毎日新聞 2013年05月03日 02時30分(最終更新 05月03日 16時17分)
上映中の映画「リンカーン」は、米国史上最も偉大な大統領といわれるリンカーンが南北戦争のさなか、奴隷解放をうたう憲法修正13条の下院可決に文字通り政治生命を懸けた物語だ。彼の前に立ちはだかったのは、可決に必要な「3分の2」以上の多数という壁だった。
反対する議員に会って「自らの心に問え」と迫るリンカーン。自由と平等、公正さへの揺るぎない信念と根 気強い説得で、憲法修正13条の賛同者はついに3分の2を超える。憲法とは何か、憲法を変えるとはどういうことか。映画は150年前の米国を描きつつ、今 の私たちにも多くのことを考えさせる。
◇「権力者をしばる鎖」
安倍晋三首相と自民党は、この夏にある参院選の公約に憲法96条の改正を掲げるとしている。かつてない改憲論議の高まりの中で迎えた、66回目の憲法記念日である。
96条は憲法改正の入り口、改憲の手続き条項だ。改憲は衆参各院の総議員の「3分の2」以上の賛成で発議し、国民投票で過半数を得ることが必要と規定されている。この「3分の2」を「過半数」にして発議の条件を緩和し、改憲しやすくするのが96条改正案である。
憲法には、次に掲げるような基本理念が盛り込まれている。
「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」(97条)
「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(98条1項)
その時の多数派が一時的な勢いで変えてはならない普遍の原理を定めたのが憲法なのであり、改憲には厳格な要件が必要だ。ゆえに私たちは、96条改正に反対する。
確かに、過半数で結論を出すのが民主主義の通常のルールである。しかし、憲法は基本的人権を保障し、それに反する法律は認めないという「法の中の法」だ。その憲法からチェックを受けるべき一般の法律と憲法を同列に扱うのは、本末転倒と言うべきだろう。
米独立宣言の起草者で大統領にもなったジェファーソンの言葉に「自由な政治は信頼ではなく警戒心によっ て作られる。権力は憲法の鎖でしばっておこう」というのがある。健全な民主主義は、権力者が「多数の暴政」(フランス人思想家トクビル)に陥りがちな危険 を常に意識することで成り立つ。改憲にあたって、国論を分裂させかねない「51対49」ではなく、あえて「3分の2」以上の多数が発議の条件となっている 重みを、改めてかみしめたい。
外国と比べて改憲条件が厳しすぎる、というのも間違いだ。
米国は今も両院の3分の2以上による発議が必要だし、59回も改憲している例として自民党が引き合いに 出すドイツも、両院の3分の2以上が議決要件となっている。改憲のハードルの高さと改憲の回数に因果関係はない。問われるべきは改憲手続きではなく、改憲 論議の質と成熟度だ。改憲してきた国にはそれがあった。日本にはなかった。
◇堂々と中身を論じよ
改憲案は最後に国民投票に付すことから、首相や自民党は、発議要件を緩和するのは国民の意思で決めてもらうためだと言う。こうした主張は、代議制民主主義の自己否定につながる危うさをはらむ。
普遍的な原理規範である憲法を変えるには、まず、国民の代表者の集まりである国会が徹底的に審議を尽くし、国民を納得させるような広範なコンセンサスを形成することが大前提だ。それを踏まえた発議と国民投票という二重のしばりが、憲法を最高法規たらしめている。
国民代表による熟議と国民投票が補完しあうことで、改憲は初めて説得力を持ち、社会に浸透する。過半数で決め、あとは国民に委ねる、という態度は、立憲主義国家の政治家として無責任ではないか。
衆院憲法調査会が8年前にまとめた報告書には「できるだけ国民の間に共通認識を醸成し、その民意を確認 する手続きとして国民投票が行われるという過程になるように、国会議員は努力する責任がある」「たとえ政権交代があった場合でもぶれることのない、一貫し た共通のルールを作る視点が大事であり、そのためには国会で幅広い合意を得ることが重要だ」などの意見が盛り込まれている。改憲を発議にするにあたって、 国会が果たす役割と責任を強く自覚する姿勢である。
そうした声は今、手っ取り早く憲法を変えようという動きにかき消されつつある。憲法が軽く扱われる風潮を危惧する。
私たちは、戦後日本の平和と発展を支えてきた憲法を評価する。その精神を生かしつつ、時代に合わせて変えるべきものがあれば、改憲手続きの緩和から入るのではなく、中身を論ずべきだと考える。国会は堂々と、正面から「3分の2」の壁に立ち向かうべきである。
憲法には、決して変えてはならないことがある。
近代の歴史が築いた国民主権や基本的人権の尊重、平和主義などがそうだ。時代の要請に合わせて改めてもいい条項はあるにせよ、こうした普遍の原理は守り続けねばならない。
安倍首相が憲法改正を主張している。まずは96条の改正手続きを改め、個々の条項を変えやすくする。それを、夏の参院選の争点にするという。
だがその結果、大切にすべきものが削られたり、ゆがめられたりするおそれはないのか。
いまを生きる私たちだけでなく、子や孫の世代にもかかわる問題だ。
■権力を縛る最高法規
そもそも、憲法とは何か。
憲法学のイロハで言えば、権力に勝手なことをさせないよう縛りをかける最高法規だ。この「立憲主義」こそ、近代憲法の本質である。
明治の伊藤博文は、天皇主権の大日本帝国憲法の制定にあたってでさえ、「憲法を設くる趣旨は第一、君権を制限し、第二、臣民の権利を保全することにある」と喝破している。
こうした考え方は、もちろん今日(こんにち)にも引き継がれている。
憲法99条にはこうある。「天皇又(また)は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。「国民」とは書かれていないのだ。
立憲主義は、国王から市民が権利を勝ち取ってきた近代の西欧社会が築いた原理だ。これを守るため、各国はさまざまなやり方で憲法改正に高いハードルを設けている。
米国では、両院の3分の2以上の賛成と4分の3以上の州議会の承認がいる。デンマークでは国会の過半数の賛成だが、総選挙をはさんで2度の議決と国民投票の承認を求めている。
日本では、両院の総議員の3分の2以上の賛成と、国民投票での過半数の承認が必要だ。
自民党などの改正論は、この「3分の2」を「過半数」に引き下げようというものだ。
■歴史の教訓を刻む
だが、これでは一般の法改正とほぼ同じように発議でき、権力の歯止めの用をなさない。戦争放棄をうたった9条改正以上に、憲法の根本的な性格を一変させるおそれがある。
私たちが、96条改正に反対するのはそのためである。
日本と同様、敗戦後に新しい憲法(基本法)をつくったドイツは、59回の改正を重ねた。一方で、触れてはならないと憲法に明記されている条文がある。
「人間の尊厳の不可侵」や「すべての国家権力は国民に由来する」などの原則だ。
ナチスが合法的に独裁権力を握り、侵略やユダヤ人虐殺につながったことへの反省からだ。
日本国憲法は、97条で基本的人権を「永久の権利」と記している。これに国民主権と平和主義を加えた「三つの原理」の根幹は、改正手続きによっても変えられないというのが学界の多数説だ。
かつての天皇制のもとで軍国主義が招いた惨禍の教訓が、その背景にある。
特に9条は、二度と過ちを繰り返さないという国際社会への約束という性格もある。国民の多くは、それを大切なことだとして重んじてきた。
自民党が96条改正の先に見すえるのは、9条だけではない。改憲草案では、国民の権利への制約を強めかねない条項もある。立憲主義とは逆方向だ。
■政治の自己改革こそ
首相は「国民の手に憲法を取り戻す」という。改正のハードルが高すぎて、国民から投票の権利を奪っているというのだ。
これは論理のすり替えだ。各国が高い壁を乗り越え、何度も憲法を改めていることを見ても、それは明らかだろう。
改めるべき条項があれば、国民にその必要性を十分説く。国会で議論を尽くし、党派を超えて大多数の合意を得る。
そうした努力もせぬまま、ルールを易(やす)きに変えるというのは責任の放棄ではないか。
憲法に指一本触れてはならないというのではない。
例えば、国会の仕組みである。衆院と参院は同じような権限を持つ。このため多数派が異なる「ねじれ」となると、国政の停滞を招いてきた。
いずれ憲法の規定を改め、衆参両院の役割分担を明確にするなどの手直しが必要になるかもしれない。
もっとも、いまの国会の怠慢は度し難い。
ねじれによる政治の停滞を嘆くなら、なぜ衆参両院の議決が異なった時に話し合う両院協議会の運用を見直さないのか。
最高裁に違憲状態とされた一票の格差問題では、司法が口出しするのはおかしいといわんばかりの議論が横行している。これでは、憲法を語る資格などはない。
まずなすべきは、そんな政治の自己改革にほかならない。
上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
先日はコメントを承認くださりありがとうございます。
ツイッターでもお知らせしましたが、分かりやすいチラシを知人から教えていただきましたので、宮武さんはじめ皆さんに活用して頂ければと思います。
「こんなに危険!~自民党の憲法改正草案」
http://project99.jp/wp/wp-content/uploads/2013/02/憲法チラシ改訂版2013.2.18.pdf
憲法がいかに「改悪」されるかをイラストを交えて説明した最後に「改正手続きが容易に」として憲法96条の改正案が描かれています。
この間、テレビで若者がインタビューを受けていました。
「憲法9条は絶対に変えては欲しくないけど、今争点になっている憲法改正問題が今一つよくわからない」
こういう人たちは、ちまたに多いのではないかと思います。こういう人たちに、是非知って頂きたい内容です。
憲法96条問題を知れば、必ず声を上げて、もしくは投票の際の選択肢を変えてくれるはずだからです。
今一番可能性として恐ろしいのは
「憲法改正問題はなんだかよく分らないから、みんなが入れるならみんなと同じでいい、自民党に投票しよう」
という流れです。
そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、今現在「若者」である私の息子に聞いたところ、この「多くの人が選択するから自分も同じものを選択する」という風潮が彼らの間に充満しているのだそうです。
是非、少しでも多くの人たち、特に将来を担う若者に、現実を知って頂きたいと思います。
そのために、提示させていただいたチラシをご活用して頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
佐藤栄作氏のノーベル平和賞(多々問題点は置いといて)、日本国憲法下だからこそもらえたものです。アベシと自民党は佐藤栄作氏の受賞も侮辱するべきです。身内から苦情が出ても知りません。
沖縄にとっては屈辱の日ですが、日本の独立の回復は、日本国憲法なくしてなし、アベシの言動は矛盾だらけ。
曰く“自分達が負けそうだからといって、「今からは三振でなく四振でアウトにしてくれ」なんて申し入れは認められない”。
これは第99条にも通じると思います。自分達に不利であってもそのルールに遵う義務がある。まして権力の横暴を制止する最高法規。
ちなみにウィキペディアにこれを加筆しようとして、石頭のウィキホリック共に袋叩きにされ消されました(苦笑
佐藤栄作氏はアベシの大叔父なんですけどねぇ。
(岸信介氏の実弟で岸家から佐藤家に養子に行った)
題して『96条改正という『革命」』。
曰く“選手が「勝つためのルール変更」をすることは許されない”。
……これをウィキペディアに書いても消されるんだろうなぁ。
国民は、政府の発表をマスメディアを通して知ることがほとんどですが、今のマスメディアに「正しく伝える」ことができるのでしょうか?
それと、「9条改正=ファシズム」と考えるのは、
あまりに短絡的だと思います。
9条改正を考える前提として、
明治から昭和初期にかけて
世界でなにが起こっていたのか、
国民は「正しく」知る必要があると思います。
改正すべきかどうか本当に納得できる答えを出すには
自分で調べるしかないと思います。
通りすがりに失礼いたしました。
ただし、ここで言う「国益」という言葉の意味は、国民の利益ではなく、国の都合である。「国」とは、もちろん「日本国政府」のことであり国民ではない。
では、国の都合とはなんだろうか。
知力が必要な、めんどくさい外交などにエネルギーを注がず、アメリカの武力を背景に楽に仕事をしたい。そのためにはアメリカに追従していつでも戦争に参加できるようにしたい。
個人主義を尊重すれば老後を保証する制度をしっかり構築する必要があるが、そんなめんどくさい事をせず、病人や老人は家族に押しつけたい。
「消費税還元セール」などという、増税を悪者扱いし、業者が国民の見方であるかのような名称は、政府への批判と同じなので、言論を統制したい。
とにかく、借金増大、歳入激減の中、医療、教育、福祉、外交、あらゆる面で問題続出の日本において、もうこれ以上努力したくない。文句も言われたくない。国民の自由を保証しながら問題解決するという困難な仕事はしたくない。
頭を使わず武器を振り回して外国勢力を抑えたい。できればそれで日本企業が儲かるようにしたい。
これが政府の本音であり、持たざるものたちの人権を抑制して楽に金儲けがしたい、現与党を支える人たちと利害が一致しているのである。
もし、憲法改正論議に「もちろんNo!」とはっきり言えないなら、考えてみてほしい。この改正案を求めている人たちがどんな人たちなのか。そしてその人たちのために、あなたや子供たちの大切な自由や人権を犠牲にしたいと思うのか。
参院選の結果次第では96条が改正できる状態になり、結果としてどんな憲法でも押しつけられるようになる。それを防ぐには、現在のねじれを維持する選挙結果が必要である。
問題は、次のことである。
現憲法を守るためには、96条改正に反対する政党の議員に投票する必要があるのだ。つまり、棄権では全く無力なのである。
現在の野党に魅力を感じなくても、今回はそれを度外視し、憲法改正を阻止するために投票する必要がある。
危機感を持って投票に行こう。
自民党の石破幹事長が、「個人の思想を公共の場に持ち出さないでくれ」と発言していました。