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20年もの間、家族の誰も整理しなかった母の遺品を整理していると、ある手紙が出てきた。丸みを帯びた整... 20年もの間、家族の誰も整理しなかった母の遺品を整理していると、ある手紙が出てきた。丸みを帯びた整った筆跡で、海外旅行の感想が書かれている。「こんな景色を見た、きみはどう思うだろうか」「次はきみと行きたい」。 何気ない言葉から好意が溢れ出ている。結びには「古城の騎士より」と書かれていた。送り主は私の知らない男だ。 「騎士」と書いて「きし」と読むのか、「ナイト」と読むのか……と、一瞬悩んだ。いやいや、そんなことよりも砂糖を煮詰めたようなペンネームにうろたえた。 遺品整理は、故人の生きた証を断捨離していくと同時に、人生を盗み見る行為でもある。心身が疲弊していく一方で、私の中に下世話な好奇心が湧いていた。 押入れから分厚いアルバムを引っ張り出す。20年以上も放置されたアルバムはビニールと埃が一体化して、在りし日をコーティングしているようだ。 重いアルバムを開くと、母の若かりし日の写真が並んでいた