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そのギルド事務所は、街の中央にあった。 ぱっと見ではよくわからない位置にある看板が光る。 築三十年... そのギルド事務所は、街の中央にあった。 ぱっと見ではよくわからない位置にある看板が光る。 築三十年の物件、蔦が生い茂った、輝かしいギルドの歴史を象徴する、小さくも堂々とした佇まいの建物。 そのドアの前で、一人の少年が立っていた。 年齢は十歳ほど。巻き毛の赤髪、低い背丈と成長途中の華奢な骨格。飾り気無く質素だが、手入れの行き届いた服装は父母の深い愛情を感じさせる。 あどけない、少女にも見える顔。青い両の瞳には、年齢にそぐわない憂いが宿っていた。 「――はぁ」 ゆっくりと息を吐く。 いつまでも、このまま立ち尽くしてはいけない。自分にそう言い聞かせると、少年はもう十分以上ドアノブに触れたままだった手に力を入れた。 チリン――と、涼しげなベルの音と共に、滑らかにドアが開く。 「あら、いらっしゃい、――ずいぶん小さなお客さんね?」 凛として張りのある、落ち着いた女性の声が出迎える。 入り口からすぐの
2011/09/30 リンク