ミニレビュー
映像配信最大の課題“作品を見つけられない”を解消? 「JustWatch」を試す
2016年10月17日 00:00
映像配信サービスは本当に便利だ。だが、多くの人が疑問も感じているはずだ。「どのサービスで、どの作品が見られるの?」と。
HuluやNetflixの“オリジナル作品”はすぐわかる。だが、海外ドラマは? 映画は? 見逃し配信配信は? あのアニメは? となると、もはやさっぱりわからない。定額制見放題のSVODはもちろんだが、単品でのレンタルや販売(EST)まで含めると、全容を把握している人などまずいない。
私(西田宗千佳)は、日頃記事の中で「コンテンツがないのではない。『見つからない』のだ。」といった主張をしているが、まあ、なんのことはない、自分だって見つけられてなんていないのだ。数日ごとに配信アプリをひらき、「なにが入ったかな?」とチェックする習慣がついているが、これだってめんどくさいことに変わりはない。
サービス横断で「配信された作品」が一目瞭然!
そんな時、いいサービスを見つけた。ドイツ生まれの「JustWatch」だ。
まあとにかく、次の画面を見て欲しい。上から順に、新しく追加されたコンテンツが並んでいるのだが、左端には「そのコンテンツが配信されているサービス」のアイコンがある。もうこれでお分かりかと思う。「各サービスにどんな作品が追加されたかが、時系列で並んでいる」わけだ。作品をタップすれば、その作品の内容などのほか、「配信されているサービス」の一覧も表示される。ここではテレビ番組だけを抽出したが、「映画だけ」「特定のジャンルの作品だけ」「特定の年代の作品だけ」「自分が知りたいサービスだけ」といった絞り込みもできる。
作品をタップすれば、そこから詳細を見ることもできる。詳細からは、「その作品がどこで配信されているか」「単品配信ならばいくらで配信されているか」がわかるし、各サービスの作品ページに直接ジャンプして、視聴することもできる。とにかく簡単だ。
JustWatchには「割引があった作品」の一覧もある。こちらは、単品のレンタルや購入に便利だ。
実は先日も、劇場で見る機会を逸していた「デッドプール」が割引されているのを見つけたので、ここからアマゾンへアクセスして視聴した。劇場公開時には見る気まんまんでも、何かの巡り合わせで見にいけなかった作品、は誰にでもあるはず。そして、そういうものに限って、そのうち忘れてしまってディスクの販売日などはチェックせず、なにかのきっかけがないと思い出さない。こういうサービスがあると発見の機会ができて助かる。作品は、予想通り下品で、とても満足した。
JustWatchにはウェブ版だけでなく、各種スマートフォンアプリもある。だから、移動中にスマホで見たい作品をチェックして「視聴リスト」に入れておき、あとからPCやタブレットで視聴、というパターンも採れる。
残念ながらSTBやテレビ向けのアプリはないが、そういう場合には、いったんスマホで「ちょっと再生してすぐ止める」という動作をし、その後テレビ側で「再生履歴から再生する」ことである程度カバーできる。
情報は不完全、「公式」データを使った同種のサービスが欲しい
もちろん不満もある。日本語化はかなり不完全だ。各サービスから公式にデータを取得しているわけでもないようで、実際には見られるのにJustWatchからは見つからない、という作品も少なくない。
できれば、各配信事業者が情報を公式に出して、この種のサービスが複数立ち上がることが望ましい。そうしないと、VODの抱える「見つかりにくさ」は解決しない。そうしたサービスが普通になった世界を想像する意味でも、JustWatchは使ってみる価値がある。なんてったって、「無料」なんだから。