バッファロー、8ch/8日間録画の全録レコーダ
-2TB HDD内蔵で実売10万円前後。「ゼン録」
8チャンネルを8日間できる全録レコーダ「DVR-Z8」 |
バッファローは、地上デジタル放送の8チャンネルを、最高で8日間録画できる全録レコーダ「DVR-Z8」を12月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は10万円前後。
「DVR-Z8」は「ゼン録」という愛称で訴求。また、レコーダの新ラインナップとして、3波のダブルチューナと1TB HDDを搭載した「DVR-W1/1.0T」(実売2万円台後半~3万円前後)、3波シングルチューナと500GBの「DVR-S1C/500G」(実売2万円台中盤)を11月上旬に発売。既に発売済みの地デジシングルで1TBの「DVR-1/1.0T」、地デジシングルで500GBの「DVR-1C/500G」とあわせたレコーダラインナップを「らくらくTVレコーダー」として展開する。
「DVR-W1/1.0T」と「DVR-S1C/500G」については、別記事で詳しく紹介する。
「らくらくTVレコーダー」のラインナップ一覧と特徴 |
「DVR-Z8」は、2TBのHDDを内蔵したレコーダで、Blu-rayなどの光学ドライブは非搭載。2TBの内、約1.7TBを常時録画用に使用、残りの約300GBを保存用の「内蔵ムーブ領域」として使用する。チューナは地デジ×8chで、BS/110度CSデジタルチューナは搭載していない。
常時録画機能「まるっと全録」は、MPEG-4 AVC/H.264の録画モードが選択可能。録画するチャンネル数も変更でき、これらの設定により、タイムシフトできる期間が変化する。録画モードは高画質(約8Mbps)、中画質(約4Mbps)、低画質(約2Mbps)が選択できる。高画質の場合、8chを録画し続けると2日間分の録画が可能。低画質モードでは8ch/8日間の録画が可能。4chを録画し続ける場合は、高画質で4日間、低画質で16日間。1chの場合は、高画質で16日間、低画質で64日間となる。
常時録画機能では、古い番組を自動的に削除し、録画を継続するモードと、HDDが一杯になったら録画を停止するモードが選択可能。なお、深夜帯は録画しないなど除外機能は無く、24時間録画される。また、気に入った録画番組は、前述の「内蔵ムーブ領域」にダビングし、自動削除されないように保存する事もできる。
録画モードと録画するチャンネルに対しての、録画可能期間を示した表 | 録画するチャンネルを指定できる | 録画モードを選択しているところ |
「DVR-Z8」 |
全録と並行して、ユーザーが番組を指定しての予約録画も可能。その場合はDRモードでの高画質録画が可能(AVCモードでの録画はできない)。予約録画した番組は、前述の「内蔵ムーブ領域」に保存される。ムーブ領域の容量変更はできない。
また、例えば8chを常時録画している場合、予約録画も行なうと、同じ番組をDRモードとAVCモードで録画する事になるが、DRモードのファイルがムーブ領域に保存され、常時録画領域にはAVCで録画したファイルが記録される。
これを実現するために、搭載しているチューナは8基だが、地デジ用のミニB-CASカードを背面に1枚、前面に8枚の合計9枚搭載。搭載チューナよりも多い1枚は、予約録画機能の制御用として使われている。東芝の「レグザサーバー」では、B-CASカードはタイムシフト用のミニカード1枚と、通常録画用のカード(青)1枚の計2枚だが、これは8月にB-CAS規定で同時にデータ処理できる速度が明確化されたため、実現したもの。バッファローの「DVR-Z8」では、開発スケジュール的に間に合わなかったという。
「DVR-Z8」の背面 | 前面パネルを外したところ。ミニB-CASカードが8枚挿入されている |
2TBまでのUSB HDDを増設する事も可能。残したい番組を内蔵HDDのムーブ領域ではなく、USB HDDにダビングする事もできる。その際はダビング10のルールを使用。また、予約録画時にUSB HDDに直接DRモードで録画する事もできる。
なお、USB HDDは全録用のHDD領域として使う事はできない。しかし、例えば2TBのUSB HDDを用意し、内蔵の1.7TBの全録領域をまるごとUSB HDDにバックアップする事は可能。
USB HDDが同時に接続できるのは1台のみで、ハブなどには対応しない。USB HDDの登録は不要で、何台でも使用できる。ただし、録画に使用したレコーダと接続しないと、録画済番組は再生できない。
■番組表から録画済番組を再生
付属のリモコン。最終版ではないので「タイムシフト」ボタンが無いが、製品版では「ズーム」ボタンの代わりにタイムシフトボタンが入る |
常時録画ではデータ放送は保存されない。EPGは番組のタイトルなど、番組情報の上から3行程度の、概要のみを保持。出演者一覧など、詳細な情報は保存されない。そのため、出演者の名前で検索し、出演している番組だけを見る機能などはない。また、自動チャプタ機能も備えていない。
EPGは過去1週間と、これから先1週間分が表示される。録画されている過去番組には「録」マークが | 録画された番組を選択すると、再生するか、内蔵HDDのムーブ領域、もしくはUSB HDDにダビングするかが選択できる | 録画した番組をジャンル別に表示する機能も用意 |
録画番組の再生時には、録画中再生、追いかけ再生、音声付き早送り、巻戻し、30秒スキップなどの機能が利用可能。同じ時間に放送されていた別チャンネルへ切り替える事もできる。予約録画した番組は、専用の「録画番組一覧」メニューから再生する。同メニューでは、ジャンル別にソートする事も可能。
出力端子はHDMI×1、コンポジットとアナログ音声(RCA)×1を装備。アンテナ入出力は各1傾倒。HDD接続用のUSB端子も備えている。最大消費電力は31W、待機時消費電力(録画停止時)は24.5W。外形寸法は430×220×50mm(幅×奥行き×高さ)。重量は2.5kg。
■全録レコーダを、あえてシンプルに
デジタルホーム事業部の石井希典事業部長は、VHSやDVDレコーダなど、過去からの録画機器には一様に「テレビ番組をタイムシフトして視聴したい」というニーズが存在する一方、予約などの操作が難解だったり、記録メディアの進化で多機能化するなど、シンプルなものが少ないと指摘。「レコーダというのは録画する事が目的ではない。あくまで再生するため、見るために録画する。視聴に重点を置いたレコーダの製品化が必要だと考えた」(石井氏)という。
デジタルホーム事業部の石井希典事業部長 | 録画機として本質機能を追求 | 一般的な消費者が期待するレベルの中で、見るための録画機として、使いやすさを重視するという |
全ての番組を録画してしまえば、難しい予約録画が不要になり、いつでも好きな番組が再生可能になることから、「録画予約などの録画設定に徹底した簡便さを追求した結果」として全番組録画レコーダの開発を計画。放送時間にとらわれず、番組を自由に見られる機器であると同時に、「機能に特化したシンプルな機器」である事も重視したという。
石井氏は「見ようとした時に、既に録画されている。それが一番便利なライフスタイルだと考えている。ユーザーの視聴スタイルに重点を置いて、テレビ生活を変える事が我々のミッション」と説明。こうして開発された「DVR-Z8」では、録画・再生に特化したシンプルな仕様が特徴となっている。
BDドライブの追加接続や、録画番組のスマートフォン&タブレットへの配信など、今後の機能強化の可能性について石井氏は、「第1弾製品として、今回はあえて保存にはプライオリティを置かずに、見ることに特化した。(開発時の)議論の段階ではBSチューナをつけたり、いろいろな事を考えてはいたが、その結果難しくなるというジレンマに陥り、シンプルな仕様にした。まずは、お客様に“全録で世界が変わるな”とご理解していただいた上で、スマホで見ましょうとか、そういう提案はしたいとは考えている。BDへの書き出しも、それがやりたい人のために、どうしようかという議論は必要だと思っているが、機能を追加していくと難しくなっていく。今回はあくまで“テレビをもっと楽しんでください”という製品」と説明した。
最後に石井氏は「多機能なレコーダを求めるユーザーもいるが、我々としては(既存のレコーダは)too muchかなと考えている。一般の人達が期待するレベルの中で、本当に簡単に視聴できるものを届けたい。そして今後も、“視聴スタイル”を忘れずに製品化を続けていきたい」と、今後の意気込みを語った。
(2011年 10月 19日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]