いくぞ宇宙が待っている、二井です。
秋田県にある三菱重工業の田代試験場にてH-ⅡBロケットエンジンの
燃焼実験を行うという話を聞き、見学に行ってまいりました。
H-ⅡBといえばLE-7Aエンジン2基搭載です。
ぜひとも見たいと関さんと私と松本君が出張ってきました。
しかし、さすが三菱の実験場、一筋縄ではいきません。
秋田市から車で2時間ほど走り、田代試験場の看板を通り過ぎ
行けども行けども山の中、だんだん道も悪くなってきます。
本当にこの先にあるのだろうか?
道を間違ったのでは?
皆がそう思い始めたころ対向車が現れました。
「液体窒素運搬タンクローリー」
一同、「ああ、絶対こっちだ」と確信を持ち奥へ奥へと山道を走ります。
悪路を何とか走り抜けます。
ここで分かれ道に差し掛かります。
地図を見ても描いてありません。
どうするか迷っているとここでも運良く対向車が!
「液体酸素運搬用タンクローリー」
ああ、確定ですねこれは。
一応道を尋ねてみるとさらに奥とのこと
結構遠いです。
そしてついに田代試験場に到着しました!
山奥の秘密基地といった感じですね。
これなら事故が起こっても被害は軽微でしょう。
彼我の距離は500~600mほどでしょうか?
かなり近いです。
あ!あそこに見えるのはもしやLE-7Aエンジンですか!
実物だー!
JAXAiで見たことはありましたが、
実際取り付けられているものを見ると違いますね。
燃焼実験は13:30点火との事なのでしばし待機。
もれ聞こえてくる無線のやり取りを聞いているだけで楽しいです。
しかしここで遅れの情報が
どうやら14:00に変更みたいです。
さらに待つ、まあ私達は打ち上げが6,7時間遅れたことがあります。
よくあることです。(まったく自慢になりません、ISTSでは15分遅れでした。)
打ち上げ5分前になりカメラを構えスタンバイ
若干雨が降って寒いですがなんのその
ロケットエンジンは熱いんですからそれを思えばへっちゃらです。
刻一刻と時間が迫り、そして・・・・・過ぎました。
・・・・・・・あれ?
点火しません。係員の会話を拾い聞いてみるとトラブルの模様
再開するのか様子を見ていると液体酸素のタンクローリーが
エンジンが設置されている建物へ走っていきました。
どうやら液酸を追加するみたいです。
これはしばらく点火はしないなと車に戻ります。
心は燃えても体は冷えているんです。
新たなXが16:30との情報を得てしばらく待ちます。
そして迎えた16:25分
カウントダウンが開始され、点火まで後わずか
雨に打たれようがエンジンの燃焼を
この目で見れる喜びに変えたらへでもありません。
徐々に秒数が減っていき・・・・
点火!轟っという音とともに水蒸気が立ち上がります。
火炎もばっちり見えます。
カメラはシャッターを押すだけであとはひたすらエンジンに注目です。
この感覚は筆舌に尽くしがたいですね。
むやみにハイテンションになるというか・・・
燃焼時間は45秒ほど、体感ではもっと短かったですね。
以下、JAXAの公式発表です。
試験日 平成20年 6月19日
試験場所 三菱重工業(株)田代試験場(秋田県)
試験内容 BFTは、LE-7Aエンジン2基をクラスタ化した
第1段推進系システムの設計妥当性確認を目的としています。
今回は、2基のエンジン着火タイミングに差をつけて起動特性
への影響を確認するために必要な技術データを取得しました。
着火時刻 16時30分
燃焼時間 45秒(45)
エンジン燃焼圧力 NO.1エンジン
約 12.06 MPa
( 11.7~12.9 )
NO.2エンジン
約 12.3 MPa
( 11.7~12.9 )
以前みたM-Vロケットエンジンと比べて
M-Vが閃光とともに火炎が吹き上がったのに対し
こちらは徐々に強くなっていったなぁと
これが固体燃料と液体燃料の違いなのですかね。
どっちもいいものです。
こうして関さんと
「いやぁ、やっぱあの規模のエンジンつくらないと。」
「作りましょうよ、やってみますか。」
とか言いつつ田代試験場を後にしました。
まずはハイブリッドロケットエンジンから始めようと思います。