Eメール、グループウエア、Officeソフト、レンタルサーバ。用途が限定的なものは便益がすぐにわかるのでどんな企業だって導入できる。でも、業務システムは別。インストールすればいい、契約すればいいというものではない。ハードルがくそみそ高くなる。
経営に資するITを正しく手に入れる手順
- 自社の事業の全体図(ビジネスモデル)を描き
- それを支える業務プロセスを描き
- 何をITに載せる意味があるかを描き
- ITに落としこむだけの情報を揃えて
- 実際のITシステムを導入する
この5段階のプロセスを踏まねばならない。正しくやろうとしたら、ね。これを提供できる技術がITじゃないってことぐらい、誰でもわかる。何をITに載せる意味があるのかを見出すのが最も大切で、その意味にもベクトルやレベル感がまちまちだ。ある企業は見積のプロセスを強化したいだろうし、ある企業は在庫のリードタイム短縮を目指しているかもしれない。エンジニアの知見がなければ、正しく判断するのは難しいだろう。
エンジニアの技術力が活かせる保証がない
が、ここで問題がある。エンジニアを雇用すれば会社が経営に資するITを手に入れる確証がない。エンジニアがいなければその便益を謳歌できないとしたら、ITの便益を手に入れたいだけのユーザー企業がエンジニアの選別をしなければならない。エンジニアに的確な指示を出さねばならない。0か100か、というギャンブルになる。ROIを産むまでのプロセスがギャンブルですと言って、誰がそれをやりたがるというのか。
ROIを産むIT戦略を立てられないユーザー企業があかんと言えばそれまでなんだけど、それも提供側の理屈だよね。できないものはできないし、わからんものはわからん。戦略立案のお手伝いなら誰でも出来るが、それを"要件定義"することでITに落としこむ力が無ければ絵に描いた餅でもある。
コードありきではデメリットが大きい
コードを書かねば管理できないようなシステムはリスクが大きい。ユーザー企業が欲しいのはベネフィットであって、変更容易性だ。書かれているソースコードを適切に管理することがどれだけ難しく継続的な改善が必要か、エンジニアなら誰でもわかる。便益を得たいだけのユーザー企業は、そのような体制を構築する意味が無い。原則コードを書かない(ノンプログラミング)で業務システムが管理できるのがベスト。そのレベル感じゃないと、管理できないITに足を引っ張られてしまうとリスクが常に前に出てくる。
エンジニアのコードの品質が書いた人のレベルによってものすごい差が出るのは事実。でも、ユーザー企業の立場に立てば提供側の理屈でしかない。